[Agile Again] IMFによるGDP国際比較と経常収支について考察する

※ 自分の頭の整理のために書いていますがこれからの日本の革新に必要な要素だと思うので、稚拙ながら公開します。

/ 長らく世界上位で安定している日本の名目GDP

IMFなどが提示しているデータは、名目GDPにおいて日本は2018年世界第3位で約536兆円。米国(約2,222兆円)と中国(約1,443兆円)が圧倒的と言っていいレベルの数字を叩き出しているわけだが、日本に続くドイツで約100兆円差、イギリス、フランス、インドでさらに約100-150兆円差、イタリアがさらにさらに100兆円の差があるところをみても日本が長らく「一般的な豊かさ」を示していることになる。

参考名目GDP:
https://www.globalnote.jp/post-1409.html

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/ 名目GDPを構成しているのは何か?


東洋経済オンラインでは、この内訳を説明している。
記事によると、この名目GDP536兆円の構成比率は以下とのこと。

・民間最終消費支出(家計消費支出、民間非営利団体を含む)……55.6%
・民間需要(総資本形成)……24.3%
・政府支出……19.8%
・財貨・サービス純輸出(貿易収支など)……0.9%

貿易で外貨を稼ぐ時代は終わり、個人(民間)消費がGDPの半分を支えている。アメリカと中国という個人や民間の巨大な消費力を持っている国がGDPの高さに相関しているとも言える。

東洋経済さんの記事では、GDPでは国の豊かさ、もっというと国民の幸せなんて測れないんじゃないの?って指摘を入れているが議論が逸れるので一旦それは置いておいて。

/ 一人当たりGDPとの比較で考えるべきこと


さらに、名目GDPと一人当たりGDPを比較してこうも伝えている。

たとえば、日本はGDP全体の大きさは世界第3位なのに1人当たりの名目GDPは世界第26位(2018年、IMF調べ)。単純に考えれば、生産性が低く、賃金が上昇していないためで、安い賃金で働き続ける高齢者やいまだに旧態依然とした産業やゾンビ企業が数多く残っていることなどが指摘されている。

要するに、賃金が上昇していない。利益率の高いビジネスをしていないということだ。同じように頑張って、同じように苦労しても要するに浮かばれていない人たちが日本全国にゴロゴロいるってことだ。

/ 相対比較するってことは、「ぼく、去年と同じように頑張ったもん」を周りと比べられるので一概には評価されないってことだ

ここで少し、私の解釈を入れる。

去年と同じように頑張ったとする。去年と同じだけ頑張ると同じ対価が得られるとする。それが同じ値段で売れるとする。景気や雇用や経済状況で多少左右されるとしてそれを影響から外す。さらに為替って概念が面倒なのでこれも外す。そうすると、超シンプルに言って利益率は去年と同じになる。つまり生産性を維持出来る。しかし、日本以外の国が去年以上に頑張ったとする。もっというともともと頑張っていなかった人たちが急に頑張れる環境になったんだとする。すると各国でより利益率の高いビジネスが生まれる。生産性が上がるわけだ。この状況においては、相対的に見ると我々は去年と同じだけ頑張ったのでは、相対比較して利益は下がってしまうと言える。生産性も下がる。国際比較をする、ということはそういうことなんだと理解している。

だから、「個人個人がもっと必死に頑張れ!」ってことではなくて、どうやったら利益率の高いビジネスに質的転換かシフトを出来るかってのを考えていかなくちゃいけない。

/ 投資国家になっている日本

GDP以外の経常収支について東洋経済の先の記事ではこんなことも言っている。長らく貿易黒字で日本は稼いできたのは事実だ。しかしその黒字はじゃんじゃん減少を続けている。

実は、貿易収支以外の黒字が日本の国力を支えていると言っていい。

経常収支の中身は、次の4つで構成されそれぞれの割合が出ている。(数字は日本貿易会調べ)

・貿易収支……輸出から輸入を差し引いた収支(+1兆0480億円、2019年見通し、以下同)
・サービス収支……旅行や特許使用料などの収支(-470億円)
・第1次所得収支……配当・利子の収支(+21兆1190憶円)
・第2次所得収支……対価を伴わない無償資金援助などの収支(-2兆2450円)
実際のところ、現在の日本の稼ぎは貿易による黒字ではなく、投資収益や配当、利息などによって得られる金融収支の黒字が大きい。製造業を中心とした工業立国ではなく、金貸しや金融によって豊かになっている日本にわれわれは住んでいるわけだ。

利子・配当が他の所得を圧倒的にカバーしている。これがなくなったら経常赤字を引き起こすことになる。というのが今の日本の国家経営の状態である。

この辺りの経済論議はプロに任せたほうがいい、と考えている少し古くなるが2014年にEYの方が解説してくれている。(詳しく調べればもっとたくさん出てくると思う。)

10分でわかる経済の本質
~日本の経常黒字縮小傾向は何を意味しているのか?~ :
https://www.shinnihon.or.jp/shinnihon-library/publications/issue/eyi/knowledge/ec/2014-05-20.html

日本の経常赤字転落を回避するためには、前出の(B式)「経常収支=所得-内需」から明らかなとおり、生産活動を活発化させて、所得を増やせばよいということになる。そのためには、例えば、輸出競争力を高めてモノで海外から「稼ぐ力」を強めるとか、エネルギー効率の向上を通じて所得の海外流出を防ぐといった方策が考えられる。また、高齢者や女性労働者の活用で労働力化率を高めれば、所得の増加を通じて、経常収支の黒字化に寄与することにもなる。


/ あれ、仕事して働いて、稼いでいる人たちの実感ってあるんだっけ???

日本という国家をみるとGDPは世界3位で経常収支を20兆円という形で利益として享受していると言える。これは、国家が、国民へのサービスを提供しているという形での還元されているものだと信じたい。世界で三番目のGDPを持つ国として、経常収支が20兆円黒字の国家経営をしている国として、その多くはなんらかの形で還元されいてる、はずだ。だが、一人当たりGDPは全然改善しない。なんでなんだっけ?

働いている人たちは、毎年必死になって仕事をしている(これもそう信じたい。)しかし、どれだけ真面目にやろうが必死にやろうが利益率が高くないビジネスを続けている場合、毎年少しずつ貧しくなっていく。ちなみに、上記の状況にどれだけ絶望したからと言って、本来働くべき人が理由をゴタゴタならべて生産性を放棄してふんわり生きていて良い訳ではない


追記)
あと、タイトルが違うので若干、混乱しますが、OECDの労働生産性について、こちらにまとめています。


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