一生分のたいくつさ

エクアドルのバナナが
売られている店先
おじいちゃんが眠り
ちびっこが踊る

中型バイクで二人乗りする
ペアリング上々な横顔に
脱力して　
また前を向く

やけに新しい銀色のシャッター
開けた日々を思う
たくましい身体がひかり
直立不動の出で立ちで

コンビニから聞こえる
しゃーせー　ちわー
しゃーせー　ちわー
省略でなく　それが言葉で

手元のコメントを眺めて
同一地点の満足と不満足
家に帰って電子私信を送る
赤子と何ら変わりない仕草

ため息が
ブランケットになればいい
ため息が
枕くらいになればいい

納豆と飯で
今日も午後を乗り切る
虫がなくキッチンで
名前を知らないポップスを唄い

そうして気がつくと
サンダルでアスファルトを踏みしめて
「暑いな」
なんて思ったりして

今日も一生分のたいくつさ