田んぼ 体温 6度8分
みな寝静まって夜の風情
歩く 歩く 歩く 歩く
カエルの鳴き声と
アスファルトを擦る靴底の声
ヘッドライトが植えたばかりの
稲を照らしては
また暗くなり
訪ねている
あなたは眠そうだ
視線を空に向けて
静かだ
ふわりと
シャツの袖揺れる
見ていたい 見ていたいな
夜が裏返って
また起きるまで
電灯のない道で
輪郭をなぞる
ひっそりとした鳴き声
ひっそりとした鳴き声
きりのない夜に
飽きたようにため息
歩調が早くなり
ため息は増え
輪郭をなぞる
空の黒に魅入られる
空腹を感じる
樹液で満たしていく
歩調が早くなる
ため息が消えていく
歩いていく 歩いていく
根まで動く木々のような行進
尽きない暗闇の中で呼吸していく
運命を悟る
手のひらから手のひらまでが染まる
歩調が早くなって
少し咳き込む
だいじょうぶ なんて
聞いたりするふりをして
にっこりと満月
苦しいかな 美しいかな
月が出ているのか
照らされて樹液が輝く
草や虫まで火照らすような
歩調が早くなる
潜ってゆく 潜ってゆくのか
何かはっきりと醒めたような
それでいて薄暗い感触に
満月に笑みを返す
いきましょう いきましょう
歩調が早くなる
歩調が早くなる
夜を一皮むいて
湖に星を返す
ひっそりとした
ひっそりとした
神話のお話
またきてね
酒と2人のこども達に関心があります。酒文化に貢献するため、もしくはよりよい子育てのために使わせて頂きます。