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最低食事水準（MAD）の計測方法について

田才諒哉 ｜Ryoya Tasai

栄養状態を測る指標にはいくつかあり、そのプロジェクトのターゲットや目的に応じて、最適な評価指標を選択する必要があります。

前回のnoteでは、「Minimum Dietary Diversity for children 6-23 months old (MDD/MDD-C)」について紹介しました。

今回は、「Minimum Acceptable Diet (MAD) for children 6-23 months old（最低食事水準）」の計測方法について紹介します。


MADとは

最低食事水準（MAD）は、Infant and Young Child Feeding（IYCF）を評価する8つの指標のうちの1つでもあり、「MDD (Minimum Dietary Diversity) + MMF (Minimum Meal Frequency)」の2つの指標から計算され、対象地域の6-23か月の乳幼児のうち最低限の食事水準を満たしている乳幼児の割合を知ることができます。注意点としては、「6-23か月」の乳幼児だけに使用できる指標であるということです。

MDDは、8個の食品群のうち、5個以上を摂取しているかどうかで計測されます。MDD計測の詳細については、こちらの記事をご覧ください。

MMFは、MDD同様、24時間思い出し法（24-hour recall）を用い、24時間以内に何回食事を摂取したかどうかを尋ねます。注意点としては、年齢および授乳しているかどうかによって最低限必要な食事の頻度が異なることです。

具体的には、

  • 授乳を受けている6-8か月の乳幼児：2回

  • 授乳を受けている9-23か月の乳幼児：3回

  • 授乳を受けていない6-23か月の乳幼児：4回

となり、この回数を満たしている場合はMMFが達しているとみなされます。

MDDとMMFの両方を満たしている乳幼児の割合がMADの数値となるのですが、授乳を受けている乳幼児とそうでない乳幼児は別々で計算され、その合計がMADの数値となります。


MADの強みと弱み

MADは栄養状態の計測方法としては比較的シンプルであり、特に成長阻害（stunting）の予防を目的としたプロジェクトでは指標としてよく用いられます。

一方で、最低限のバランスの摂れた食事と頻度はわかるものの、一回に摂取している「量」までは計測できないことがMADの弱みとなります。ただし、基本的には、15g以上（テーブルスプーン1杯くらい）を摂取していない場合は計測のなかに含めないことになっています。


MADは栄養プロジェクトでは頻繁に使用される指標なので、覚えておくと役に立つと思います。