【漫画】僕の生涯の夢ー新米国連職員のぱにゃにゃん日記 Vol.18
サバイディー!リョーヤです。
前回の「新米国連職員のぱにゃにゃん日記」では、僕が学生時代にJICA海外協力隊(旧:青年海外協力隊)として赴任したザンビアでの経験を例に、途上国で活動するうえでのマインドセットについてお話しました。
今回は、アフリカ・ザンビアでの生活についてご紹介したいと思います。
ザンビアの僕が生活していた村に到着すると、「リョーヤの家は新築だよ!」と教えていただき、期待に心を躍らせながら家に向かいました。
「コンコンコンコン、カンカンカンカン」
家に到着してみると、なんとそれは建築中。新築中の新築です。完成までにはまだ何週間かかかりそうな気配でしたが、どうやら僕が生活できるようなスペースだけは前日までに完成させてくれていたようで、こうした「最後はなんとか帳尻を合わせる」という仕事の仕方はアフリカらしいなと今では思います。
JICA海外協力隊(以下、協力隊)に参加して一番よかったと思っていることは、現地の人たちと同じ村やコミュニティの中で生活できたことです。国連やNGO職員として開発途上国に駐在すると、その国の首都で住むことが多く、フィールドワークで村へ行くことはあっても、村で夜を越したり、コミュニティの人たちと一緒に生活をする機会はほとんどありません。
ザンビアでは、まさに村の人たちに囲まれた環境で24時間生活していたので、早朝から朝ごはん作りのために火おこしをしたり、日曜日の午前中にみんなが行く教会に顔を出したりと、それなりに現地の人たちと近い生活を体験することができたと思います。
こうした経験は、実は国際協力の仕事をしていても協力隊くらいしか経験できません。首都の良いお家で生活して、たまに村へ数時間滞在したくらいでは、そのコミュニティのことは絶対にわかりません。一度でも四六時中その村で生活する経験をしていると、彼ら彼女らの生活に対する「想像力」や「解像度」は圧倒的に高くなります。
僕が国際協力の仕事を目指す人に協力隊をオススメする最大の理由はこの点です。協力隊でしか絶対に経験できない視線から途上国を知ることができ、それは間違いなく国際協力の仕事をするうえでの財産です。
ちょうど広瀬アリスさん出演の新しい協力隊TVCMも公開されていました。広瀬アリスさんが体験されているような華やかなことばかりではないですが(笑)辛かった経験も含めてすべてが今に繋がっているなと思います。当時はできないことばかりだったけど、協力隊のキャッチフレーズでもある「いつか世界を変える力になる」という言葉は、協力隊に参加して本当に強く思いました。協力隊にご関心のある方、国際協力の世界へ一歩踏み出してみたい方は、ぜひチャレンジしてみてください!
さて、「ザンビアの村ではどんな食事をしていたのですか?」と聞かれることも多いのですが、実は家が建設中で台所も完全に整っていなかったこともあり、隣のお家の人にお呼ばれして食事をご一緒させていただくことが多かったです。
隣人のザンビア人の家庭は決して裕福な家ではなく、むしろ厳しい生活を送っていたと思います。9人家族で子沢山。子どもたちとはよくタイヤ遊びをしたり、レモン探しをしたりして遊んでいました。
その家のお母さんが、外国人である僕をいつも気にかけてくれていて、夕ごはんの時間になると毎日のように「家で食べていきなさい」と僕を誘ってくれました。英語もまったく通じないので、現地語(トンガ語)でコミュニケーションをとっていたのですが、正直ほとんど会話も成り立ちません。まさに心と心だけで通い合っている感覚でした。
どうしてよそ者の僕を毎日ごはんに誘ってくれるんだろう。決して裕福ではない生活を送るなかで、他人である自分なんかより少しでも多くのご飯を子どもたちに食べさせたいと思うのが普通じゃないか。日本から来たばかりの僕はそう考えていました。
でも隣のお母さんは、「1人子どもが増えるようなもの。そんなに変わらないわ。ごはんはみんなで食べた方が美味しいでしょ」と言って、いつもあたたかく迎えてくれました。このときのご飯は、本当に一生忘れられません。
お母さんの言葉に甘えて、よく食事をいただいていたのですが、それと同時に、「このザンビアの家庭のような人たちがもっと満足に食事ができるような環境をつくっていかなければいけない」と強く思いました。
当たり前のようで全然当たり前でないこと。
「世界中の人たちが毎日おいしいごはんを大好きな人たちと一緒に笑いながら食べられる世界をつくること」
僕の生涯の夢であり、今僕が国連職員としてWFP(国連世界食糧計画)で働いている理由は、ザンビアでのこの経験から始まったのかもしれません。
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このマンガ連載は、マンガ家の織田博子さんにご協力いただいております。織田さんのプロフィールはこちら!