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カチョエペペ はローマのパスタのレシピ?東京の味?その2

さぁ続きです。

私はカチョエペペなるパスタを映画「二ツ星の料理人」を通じて知ったわけですが、色々調べる前に自分で仮説を立ててそのレシピがどんなものかを当ててやろうと試みました。

下記はそのレシピになります。


もくじ

■りょうりんの想像による作り方
材料
作り方
■カロリー
■作り方の手順
ラルドから脂を出す
茹で汁と白ワイン、パスタを加える
火を止めてチーズをぶっ掛ける
皿に盛る
■何故、こういう作り方を思い描いたか
チーズと背脂どっちを選ぶ?
高級レストランではまず出てこない
両方やってみて分かったこと
サーブする間にチーズが固まる
プロっぽい人は油脂を使わない
■ラルドを選んだもう一つの理由
チーズはそこそこ、ラードをたっぷり
フェットチーネを使ったのは映画を踏襲してのこと
クリーミーに仕上げようとすると低音調理するしかない
■まとめ
知りもしない料理を探究する事は楽しい


■りょうりんの想像による作り方

えー、結果はだいぶズレてました(笑)

ですが何の根拠も無くこのようなレシピになったわけではないのはご理解ください。

パスタだけはですね、ちょっと太いのを切らしてしまいまして家に常備しているフェデリーニで作ってしまいました。

太いパスタを選ぶ理由は後ほど説明致します。

材料
・スパゲッティ(なるべく太いもの) 60g
・ラルド 15g
・黒胡椒 適量
・白ワイン 15g
・ペコリーノ・ロマーノ 20g


作り方
①深鍋に水を張り、1%の塩を加えて沸騰させ、スパゲッティを茹でる。
②フライパンにラルドを入れて火に掛け、脂を出す。
③②にパスタの茹で汁をお玉2杯分、白ワインとスパゲッティを入れて煮焼きにする。(①の深鍋は火を止める)
④茹で汁が煮詰まってきたらフライパンの火を止め、すりおろしたペコリーノチーズを加えて手早くかき混ぜる。
⑤皿に盛り、黒胡椒をたっぷり掛けて完成。

■カロリー

りょうりんのカチョエペペ一人前は大体 448 キロカロリーくらいです。

■作り方の手順

ラルドから脂を出す

ラルドってのは豚の背脂の生ハムなんですね。

コロンナータ村のラルドが有名なんですが、こちらは【ラルド・ディ・チンタセネーゼ】というチンタセネーゼ種の豚さんのラルドになります。

いっぱい脂が出ます。

茹で汁と白ワイン、パスタを加える

スパゲッティはまだまだバリカタの状態でフライパンに移し、このまま煮焼きにします。

煮詰まる頃にはイイ感じにアルデンテになっているんですね。

煮詰まるとこんなん。

火を止めてチーズをぶっ掛ける

もっさり、念のため30gほど削りましたがハッキリ言ってこんなに要りません。

20gで十分です。

こんな感じにパスタの熱でチーズが溶けてくれるんです。

皿に盛る

トングで掴んだらお玉の上に乗せてクルクルクルクル回して形を整えて、ゆっくり移すと。

こんな感じで丸く綺麗に装えるわけです。

■何故、こういう作り方を思い描いたか

チーズと背脂どっちを選ぶ?
ローマの伝統的なパスタがチーズ主体というのは知っていましたが、てっきりそれは【グリーチャ(アマトリチャーナ・ビアンカ)】の事だと思っていたんですね。

チーズのパスタはシンプルなだけに歴史が古いであろうと考えた私は、1900年代初頭ローマで大人気だったとされるアマトリチャーナを思い出しました。

アマトリチャーナはグァンチャーレ(豚ホホ肉の生ハム)から脂を出して作るパスタ料理なんですが、現代でも「イタリア中部の油脂はラード」と言われるように、この流れはローマのムーブメントだったんじゃないかと考えたわけです。

また、具材が少なくて庶民の味方そのものとも言えるカチョエペペですが

「チーズと背脂、安いのはどっち?」

と考えた時に、私は日本人ですから即答で

「背脂!」

と答えるわけです。

ちなみに私が買ってきたラルドは100gで1,130円もする嗜好品ですが、手間さえ惜しまなければ100g当たり39円ほどで手に入る背脂でラルドを作る事が出来ます。

それで「ローマの大衆食堂がチーズよりラードを選ばない理由は無いよねぇ」と思ったわけです。

高級店のように売価を上げられず、原価を下げるしか儲ける方法が無いのが大衆食堂ですからね。

高級レストランではまず出てこない
数年前、私がフィレンツェのレストランで食事をした時は4品頼んで100ユーロでした。

テーブルチャージやタックスも含めますが、ざっと平均して一品当たり4,000円です。

もし4,000円も払ってこんなもん出て来たら、私が「ちゃぶ台返し」ってもんを教えてやりますよ、イタリア人に?

高級店はそれなりの値段を取る分、原価もそれなりです。

4種のチーズとかならあり得そうにも思いますが、パスタよりもずっと原価の高いリゾットでようやく成立するような商品だと思うのでやはりチーズだけのパスタは高級レストランにおいては商品になり得ない気がします。

両方やってみて分かったこと

サーブする間にチーズが固まる
私は作った先から熱々のまま食べられるのであまり気にする必要もありませんが、飲食店を経営していればきっとサーブまでに時間が掛かる事もあるでしょう。

カチョエペペのレシピで「太めのパスタを選ぶべき」と上述したのは【細いパスタだとチーズが固まってダマになるから】なんですね。

恐らく、ローマの現地人と思しき人たちが一生懸命チーズを茹で汁で伸ばしてクリーム状にしているのはチーズが固まってしまうのを防ぐためなのだと思います。

私も盛り付けがド下手クソなので、手間取っているうちにトロトロだったチーズがだんだんネットリしてきた事に気付きました。

給仕が客席に持って行く頃に丁度良いトロみ具合で提供出来るのが理想だと思いますので「やっぱり多少緩める必要があるかな」とも思うに至ったわけです。

プロっぽい人は油脂を使わない
これはちょっと不思議に思いました。

アマトリチャーナ・イン・ビアンコと差異を図るためでしょうか?

もし、カチョエペペが【油脂を一切使わずに作らなければならないもの】という縛りがあるのなら、料理としての難易度はググッと上がり、チーズに茹で汁を加えようとするのも理解出来ます。

油脂も料理をジューシーに保つための要素ですので、油脂を使わない代わりに茹で汁のみでチーズのクリーム状を保持するとなると温度の調整などがなお難しくなるからです。

しかし「そもそも2人前のパスタを作るのにペコリーノ・ロマーノを50gも使うんだったら普通にアブラ使えって(苦笑)」とか思ってしまう私は不真面目なんでしょうかねぇ?

■ラルドを選んだもう一つの理由

チーズはそこそこ、ラードをたっぷり
私が映画「二ツ星の料理人」にチラッと出てきたものとウィキペディアの情報以外何も参考にせず、想像で作った最初のカチョエペペは市販の生パスタ(フェットチーネ)130gに対してペコリーノチーズが20g+飾り程度でした。

チーズはラードに比較すると脂肪分の割合が低く、大量の胡椒とぶつけると負けてしまいます。

カチョエペペは「ぺぺ」と言うくらいですから、胡椒を効かせる料理だと考え【あえて油ギッシュに、重ための口当たりにする】ためにラードを使おうと思ったわけです。

チーズに生クリームを合わせてペーストを作るならまだしも、塩湯のみでは胡椒の強さに対抗出来ず味に一体感が生まれないと思ったんですね。

フェットチーネを使ったのは映画を踏襲してのこと
映画「二ツ星の料理人」で、エレーヌが作ったカチョエペペはフェットチーネでした。

シンプルなだけに恐らく古くからあるパスタなのだろうと考えましたが、地元ローマでもやはり生パスタ【トンナレッリ(スパゲットーニ)】を使うのがポピュラーなのだそうです。

また、作中で主人公の天才料理人アダムはエレーヌの作ったカチョエペペに2つのダメだし、というか要求をします。

①黒胡椒を乾煎りして香りを高める事
②セージを使う事

ラルドを選んだもう一つの理由は、味付けに様々なハーブやスパイスを使っているからです。

セージ、ローズマリー、黒胡椒、にんにく、ジュニパーベリー、シナモンetc……。

セージはバターと合わせるのがイタリア北部料理におけるセオリーですが、バターを使いたくなかったのでハーブ風味のラルドで解決を図ったわけです。

まぁ美味しければバターでもオリーブオイルでも何でもいいんですけどね、ですパズルを紐解くようにセオリーを組み合わせて考えるのが私のイタリア料理の楽しみ方でもあるので、ここら辺は結構真剣勝負だったりします(笑)

クリーミーに仕上げようとすると低音調理するしかない
ある動画では、プロと思しき料理人はパスタにも拘わらずアッロンダ(チーズとデンプンを揺すって馴染ませる工程)しまくっていて

「カチョ・エ・ペペはパスタのリゾットなのか……?」

とも思いました。

彼らは非常に慣れた手付きで合理的にクリーミーなチーズパスタを作るものですから、さもこれが本物のカチョエペペかのようにも思えましたが……忘れてはならないのは、それは一つの解に過ぎないという事。

とはいえ優れた料理は合理的なものですので、彼らのカチョエペペも本物である事は間違いなさそうです。

■まとめ

知りもしない料理を探究する事は楽しい
私たちは日本人ですから「お雑煮」や「肉じゃが」を知っています。

しかし「本当にお雑煮を知り尽くしているか?」と聞かれれば答えはNO。

私は千葉県出身で茨城在住の母親の作るお雑煮しか知らないわけで、北海道や富山、名古屋や博多などで食べられるお雑煮など知りもしないのです。

肉じゃがだってそう、関東風の肉じゃがしか知りません。

ビーフシチューが伝わった出島でその味を知り、料理人が江戸へ戻って何とかその味を再現しようと和の食材を作って思考錯誤した末に完成したのが肉じゃがなので、ルートから外れる鹿児島以南や東北以北では全く違う肉じゃがが存在していたとしても不思議ではありません。

知らないのは外国の料理だけに限ったことではなく、逆もまた然りなのです。

だから私は一度しか行った事のないイタリアの料理に恋焦がれるんですね。

もう今日は胸焼けして、当分チーズ食べたくないですけど6(^^;

こんな余計な事ばかり書いているとまたグーグルに評価を落とされて検索エンジンに引っ掛からなくなってしまいそうですが、皆様応援のほど宜しくお願い致します(笑)

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