フィードバックについて 「怒らないから言ってみて」を考える
自分は少し前に「チャレンジングメッセージ(言いたくないけど言う必要があることを)をどのように伝えるか」というテーマのワークショップに参加したことがあります。こういった研修がある通り、言いづらいことを伝えるということは、時に非常に難しく、そしてスタンダードな踏むべきステップ、有効なスキルが存在します。
自分が利用しているエンゲージメントサーベイの項目の一つに、「あなたの同僚はハイクオリティな業務の貢献していると思いますか?」というものがあります。そして自分の統計上、個々の項目のスコアは概して高くない。このことから言えるのは、以下二つの点です。私たちはある一定レベル同僚の仕事ぶりをシビアに評価しているという点、もう一つはこのスコアを上げるために有効な手段は、どんな形であれ自分の期待を相手に伝えること、つまり、時に有効なフィードバックを行うことが必要であるという点です。
ネガティブなフィードバックを行うことで一番配慮すべきことは、相手を驚かせないことです。ポジティブなことでのサプライズはいいとしても、ネガティブなサプライズは絶対によくありません。不測の事態が起きてしまうことは仕方ないとしても、相手がいる対話においては相手に心の準備をさせることができます。しっかりと慣らして慣らして、本題に入ります。一番最悪なのは居酒屋なので突然説教モードに入る上司や先輩。お酒が入っているとはいえ本当に最悪なので、どんなに信頼関係があっても気を付けましょう。人間驚きがあると先の本題になかなか集中できません。反射的に一度拒絶したものを受容するとすると、しばらくの時間を要するので、話が入ってこない上に何となく嫌なことを言われたで終わってしまいます。これでは双方時間の無駄です。
とはいえ、様々出来る配慮をしても、実際のところ実行段階は苦しいです。なのでまずは入り口として簡単にできるステップを紹介します。
①外部環境など、その人の性格やスキル、姿勢などとは関係ない方面から攻める。→何かがうまくいかない時、ミスが起きるとき、必ず原因は複数あります。なのでまずは事実ベースでうまくいっていないこと、ミスが起きたこと、やり取りの不完全から混乱が起きたことを確認します。相手がそれを認めた段階で、それがどんな要因によって起きたかを自分なりに分析して相手に聞かせる。そしてそれを極力その人に依存する要素ではなく、業務フローや組織体制、その人以外の他者(例えば〆切を早く設定した業務依頼者)から挙げていく。最後の最後にその人に依存する箇所について、フィードバックを与えます。
② 事実として、マイナス面はプラス面の裏側であることが多いです。なので最初にプラス面に触れ、その後マイナス面、伝えたいフィードバックに移るという手法。例えば他部署と多くコミュニケーションを頻繁に取っていてその結果多くの仕事を抱えすぎて重要業務が漏れたということが起きた場合は、間違いなく前半部分はよいことなので、そこから話を初めて、その後伝えてたい部分に入るという手法です。
我々は皆、ネガティブなフィードバックなどわかってても聞きたくないものです。古代中国でも、臣下の諫言に耳を傾けることができた君主は決して多くはありません。よくフィードバックは金言だから言ってみて、ニュアンス上「怒らないから言ってみて」のように言ってくる人がごくごくたまにいますが、大体言っても聞かないか、もしくはものすごい努力家でストイックで実際ネガティブなフィードバックがないかのどちらかです。前提としてハードシップがあるからこそ、ある一定レベルのスキルが必要になる、そしてそれは知っておいて損はないと思います。