あなたが命がけでつくったものだから、ぼくは伝えたい
はじめまして!
小澤 亮(Twitter @ryo_eflab)と申します。
大学では建築デザインを専攻し、IT企業に勤めた上で独立。いまはマーケター、シェフ、科学者の3名で、食の生産者を応援する会社を経営しています。
会社は4年目を迎え、これまでに以下の事業をアウトプットしてまいりました。
そして、着想から8年、準備に3年をかけた念願のサービスを2021年4月に発表しました。“食品の見えない価値を可視化する”事業です。
ものづくりに懸命に向き合っている生産者が、これからも存続していくために、もっと経済的に潤って欲しい。そんな想いから生まれました。
もしよろしければ、ご覧いただけますと嬉しいです!
食品の品質を科学的に証明する“成分分析ブランディング”
成分分析ブランディングでは、食品の味の良さ、栄養、機能、安全性といった目には見えない価値を数値化し、わかりやすいレポートにして納品します。
自社と他社の食品それぞれの品質を数字で比較して、飛び抜けた品質を証明することで、ブランド価値を向上。それにより、いいものをつくる生産者が品質に見合った価格をつけることをお手伝いします。
つまり、食品の品質を科学的に証明する(=生産者の努力を可視化する)ことで、ブランド力の向上をサポートするサービスです。
先行事例では「市販品よりも旨味が約150倍多い椎茸」など、品質の高さを武器にした一点突破を期待してしまうような、飛び抜けた才能を可視化することができました。
このように、驚くような事例が生まれつつある成分分析ブランディングですが、このサービスを通じてこんな世界を実現させたいと思っています。
品質の証明をきっかけに、次々と新しいスター生産者が生まれる。そんな、ポジティブな方程式をつくれたら嬉しいです!
「市販品よりも旨味が約150倍多い椎茸」って、めちゃくちゃ食べてみたいですよね(こんど発表するのでお楽しみに)!
高級レストランに相場の35倍の価格で広がった先行事例
前述したように、成分分析ブランディングは、着想から8年、準備に3年。
立ち上げまでに、かなりの時間を要してきました。
それは、研究者や大学とのチーム組成のほか、食品の品質を証明することで「本当に良いものは適切な値付けができて、その価値をユーザーも理解してくれる」という考えの検証に、しっかりと時間をかけていたためです。
具体的には、食品のブランドを自らプロデュースすることで、品質が高いものを適切な価格で売るテストをしていました。これは、自分たちの考えを、机上の空論ではなく、説得力をもった実体験にするためです。
そこで、まず第一にチャレンジしたのが、自然栽培の食用バラYOKOTA ROSEのブランド化でした。いまから3年前の取り組みです。
(横田敬一さんのYOKOTA ROSE)
生産者である横田園芸の横田敬一さんは、見た目だけでなく、香りや味にも妥協を許しません。自ら200品種以上のバラを食べ比べ、そのうち香りがよく味が優れた4品種を栽培しています。
その栽培方法は実にストイック。化学農薬、化学肥料、除草剤を一切使わない自然栽培です。
「うちよりも香りがある食用バラは無いと思う。食品の品質には自信があるが、地元のマルシェなどで売ってみても価値が伝わらない。どうにかブランド化できないか?」
横田さんからそんなご相談をいただいたことが、活動のきっかけでした。(ぼくたちの活動は、大体が生産者からのHELPをきっかけに生まれます)
このように、食用バラのブランド化について考えることになったのですが、みなさんは花を食べたことはありますか?
ぼくは、ほとんどありませんでした…。なので、この食用バラをどう評価したらよいか、皆目検討がつきません。
そこで思ったのが、この食品について一流のシェフからフィードバックをもらうことでした。
真っ先に相談をしたのが田村浩二くん(Twitter @Tam30929)。実際に生産地に同行してもらいました。
その時の田村くんの一言をぼくは忘れられません。
「この食材は世界で通用する。」
そう言って、横田さんの食用バラをコースのデザートに採用してくれました。
(ぼくにとって人生最高のアイス。YOKOTA ROSEのアイスクリーム)
一流のシェフからフィードバックをもらった上で、次におこなったのが大学と連携した成分分析です。同じタイミングで農業の科学者である木村龍典くんとの出会いがあり、YOKOTA ROSEの香り高さについて島根大学と数値化することになりました。
すると、驚くべき結果が出たのです。
一般流通する食用バラと比べて香り高さが約3,840倍であることが証明されました。(横田さんの努力が報われた瞬間です。あと、シェフの感覚は正しい)
“圧倒的な香り高さのエビデンス”と「もっと価格をとった方がいい」という“シェフからの助言”があったことで、YOKOTA ROSEの価格を再設定。
このタイミングで、田村くん、木村くんとは生産者を応援するための会社を創業。食べられる花屋EDIBLE GARDEN(TwitterID @EDIBLEGARDEN2)を立ち上げて、YOKOTA ROSEを中心に販売を開始しました。
(YOKOTA ROSEをブランド化した上で販売する食用花事業)
YOKOTA ROSEは相場※の35倍の価格をつけましたが、その奇跡のような品質を武器に、トップシェフの間でドンドンと広まってご愛用いただけるようになりました。
また、田村くんからの「世界で通用する」という言葉通りに、海外からも指名が入るように。シンガポールの星付きレストランBéniには、毎年のようにご愛用いただいています。
(Béniで供されたYOKOTA ROSEのデザートたち)
このように、品質の証明をブランド化の武器にして、リブランディングに成功。「本当に良いものは適切な値付けができて、その価値をユーザーも理解してくれる」という考えに、一歩自信がもてるようになりました。
今回の流れをまとめると以下の通りです。
ぼく自身が花を食べる経験がなかったので、最初は不安でしたが、マーケター、シェフ、科学者の連携により、1人のスター生産者が誕生しました。この体験こそが「成分分析ブランディング」の原型です。
(YOKOTA ROSE×成分分析ブランディングのストーリー)
続いては、伝統食をつくる老舗メーカーと加工食品のブランドをつくった第二・第三のチャレンジについてです。
干物を究極のうま味料理へ アタラシイヒモノ
釜戸と薪火でつくる究極の餅 THE OMOCHI
それぞれベンチャーではなく歴史のある家業。それゆえ、歩みはゆっくりです。しかしながら、堅実に成長を続けてくれています。
これらのように、食品のブランドをつくり、品質に見合った価格をつけて販売をする。それにより「本当に良いものは適切な値付けができて、その価値をユーザーも理解してくれる」という考えを検証する…。
時間はかかりましたが、衰退傾向にある伝統食でも結果が出たことで、とても良い経験を積めました。
ここまで時間をかけて検証したのは、先ほども記載しましたが、自分たちの考えを“机上の空論”ではなく“説得力をもった実体験”にするためです。
成分分析ブランディングを自分たち自身が使いこなしてこそ、発言に説得力が生まれます。
具体的には、品質に見合った価格で売りつづけて結果を出すこと。これは、事業に取り組む上で、大切な姿勢だと考えています。
このように、3年をかけた先行事例を経て、2021/04/01に、成分分析ブランディングは正式にリリースすることになりました。
サービス開発のきっかけは東日本大震災での玉砕
成分分析ブランディングをやろうと思ったきっかけについて。
ぼくの原体験は東日本大震災でした。これは、自分の価値観や行動を、大きく変えた出来事になりました。新卒で入社したヤフー3年目の出来事です。
当時の、何も行動を起こせなかったことへの後悔と、復興に貢献する能力がないことへの無力感は、いまでも心の底に原動力として残っています。
もっと成長の角度を上げたい。生産者の助けに応えられる自分になりたい。その思いは強くなる一方でした。
そんな、こみあげる焦燥感もあって、プライベートではボランティアで通販の実務経験を積み、ヤフーではより実践的なスキルが身に付く広告運用のノウハウをもったチームに異動して、修行をさせていただきました。そして、2012年に、さらなる成長を求めてフリーランスとして独立しました。
フリーになってからは、いまは上場したBASE株式会社の黎明期のマーケティングや、地方の会社でお菓子の通販事業のプロデュースなどを経験させていただきました。ヤフーではできなかったマーケティングの全体を見ながら成果をあげる仕事です。
日々、成長を実感すると共に、それらの結果が順調だったことから「今こそ東北の生産者を応援するために行動を起こしたい!」と、思うようになりました。
そこで、東北の現場を周りながら、自分にできることを探すことに。しかしながら、結論としては無惨に玉砕することになります。
というのも、当時はコンサルタントとしては正しいことが言えるものの、写真撮影やWebサイトの制作など、自分自身で何かをアウトプットをするスキルがないので、予算がない環境だと常に空振りする状態だったためです。
終いには、生産者から「君は何もできないし、もう帰れば?」と言われてしまう始末。
生産者を応援するために勉強し、独立したのにも関わらず、その生産者からは「不要」と言われてしまいました。
すると、その日の夜にショックで40℃の熱を出し、翌日に実家に泣きながら帰省するというコンボを繰り出すありさまでした(いまでは笑い話です)。
このことがきっかけで、納品を自己完結できることの大切さを痛感することになったガラスの20代。
そして、強く思うようになりました。口だけのコンサルタントからは脱却して、どんな状況でも生産者に貢献することができる本物になろう、と…!
(あの日の気仙沼的な写真です。)
全国の生産者を訪問しながら見つけた「ぼくが解決したい課題」
「納品を自己完結できるようになろう!」
再スタートは、カメラ教室に通うことからでした。
自分のアイデンティティーがかかっていた分、本気度が違ったので、スポンジのように技術を吸収し、アウトプットの機会を欲するようになりました。
そこで、全国の生産者の現場を訪問しながら、写真を無料で撮影。さらに、時にはWebサイトを1日でつくってプレゼントして、また次の生産者に会いに行く、というまるで武者修行のような全国行脚を開始しました。
現場まで会いにいって、小さなGIVEを繰り返す日々。そこから、また次の生産者をご紹介いただける。そんな循環が生まれたことで、2年間で合計250名以上の生産者を周ったと思います。
当初は、納品を自己完結するための実務スキルの習得が目的でしたが、行動の結果として信頼でつながった生産者とのネットワークが残っていました。これは今でも一番の財産です。
(全国を武者修行した時に撮影した写真。YOKOTA ROSEの横田敬一さん、アタラシイヒモノの青木良磨さん、THE OMOCHIの笠原公平さんとも、この全国行脚で出会いました)
そして、現場で生産者と会話をする中で、自分がもっとも解決したい課題を発見することができました。
それは「品質への努力は必ずしも価格競争力に結びつかないこと」です。生産現場でのこだわりが、買い手には伝わっていない。ゆえに、高く売りづらい。そんな状況が生まれていました。この課題を解決する仕事がしたい、そう思ったのです。
生産者のこだわりが正しく評価される新しいものさしをつくる
いまは「食べチョク」や「ポケットマルシェ」をはじめとしたオンライン直売所が、新型コロナウイルスをきっかけに大きく浸透しました。
それは、価格以外の購買動機も重視するユーザーに対して、食品を自由に値付けして販売ができる環境が整ってきたことを意味します。
したがって、これからはよりいっそう「ブランド化」と「値付け」が大切になります。
そこで、着目したのは「品質の高さを科学的に数字で証明すること」です。
そんな想いから、食品の品質を科学的に証明する成分分析ブランディングが生まれました。成分分析ブランディングは、いいものをつくる生産者のブランド化と、品質に見合った適切な値付けを応援します。
最後に
ぼくたちのチームは、品質の高い食品をつくる生産者を応援するために生まれました。
全身全霊でものづくりに向き合っている生産者がこれからも存続していくために、もっと経済的に潤って欲しい。なので、より多くの生産者に、品質の高さを証明することをきっかけに、納得感のある値付けをして、食品が評価をされる喜びを味わって欲しい。そう願っています。
そもそも日本には、食品の品質で世界のトップを目指せる生産者がたくさん存在します。そんな飛び抜けた才能たちを可視化するのが、成分分析ブランディングです。より多くの才能を可視化し、発表していくことで、スター生産者の数を増やすことが、ぼくたちの役割です。
まだまだ勉強中がゆえ、至らぬ点も多いかと思いますが、この道を諦めずに追求していくので、もしよろしければ応援していただけますと嬉しいです!
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