見出し画像

読書感想文的な9 『命の遺伝子』高嶋 哲夫

ベルリンでの講演直後、天才遺伝子科学者トオル・アキツは何者かに攫われ、爆破事件で吹き飛ばされた男の手首を見せられた。四十代のものに見える手首の主は、生きていれば百歳を超えるナチス武装親衛隊の大佐だという。謎を解明するためブラジルの奥地へ向かったトオルの前に、ナチスの壮大な陰謀が姿を現す。ナチス・遺伝子科学・バチカン。“永遠の命”それは禍か、救済か。

高嶋哲夫の本読んでいつも思うけど、この人、頭良すぎんか???
原子力、津波、地震、大雨、遺伝子って全部難しいやん。
それを普通の脳みそしか持ち合わせてないわたしでも面白く読めるストーリーにしてくれるのすごすぎんか???
(今わたし千鳥のテンションで文章書いてる。)

ナチスも遺伝子科学にもバチカンにも詳しくないけどちゃんと読めるし、くどくど理屈っぽい説明がないのも読みやすい。
他の本に比べたらやっぱり読むのにちょっと時間かかるけど。
これは個人の問題というか好みなんだけど、外国人がたくさん出てくる本は名前覚えられなくて避けがちだから時間かかったのかも。
あと高嶋哲夫の小説にしては珍しく、主人公の男性が過去の女性を引きずってなかった。女に未練たらたらな描写好きじゃないからよかった。女を思い出して苦しむシーンいらん。え、昔の女きっかけじゃなきゃ頑張れん?と思って冷めちゃう。


遺伝子の研究が進んで、老化を止めることができるならぜひ止めたい。
でもわたしがそう思うのは、不老不死が望みではなくて皺とかたるみとかを止めたいってこと。笑
死ぬのは、ちゃんと人間として自然に死にたい。
何百年も生きる世界、幸せか?
終わりがなくなったら頑張ることがすごく難しくなりそう。
わたしは追い詰められてから頑張るタイプなので…


不老不死って全然現実的じゃないし、お話の世界って思ってるけど、遺伝子の研究の最先端にいる人はどう思ってるんだろう?
クローンさえ遠い世界だと感じてる。
でもクローン人間はダメだという決まりがあるから作られない的なこと聞いたような気もするから、やろうと思えばできることなのかな。
羊のドリーは生まれたわけだし。
ここまで書いて、なんでクローンダメなのかがとても気になってきたのでちょっとだけぐぐってみた。

科学的な側面から見ると、クローン人間を作ったらダメだという主な理由は「安全性」らしい。
ドリー以降、牛、馬、犬、猫のクローン個体も作られたけど、健康的に生育する個体は少なく短命なものが多いという結果だった。(今はもしかしたら研究が進んでいてそんなことないかも。)
ただこの「安全性」に対する不安に関しては、研究が進めば払拭されるのではという意見も多い。研究とかわからないけど、わたしもそう思う。試行錯誤して改善、改良すればいいのでは?と。

ダメだと考える理由で多くあげられているのは、やっぱりクローン人間を人間としてどう扱うかに起因すること。
・臓器移植目的でのクローン作製
・人の尊厳を侵す、生命への冒涜である
・無性生殖は自然に反する
・親子関係

わたしはさっき「試行錯誤して改善、改良すれば」と書いたけど、人間を遺伝子とかの研究で試行錯誤していいとは思えない。
だからやっぱり安全性が確立されるまでは人のクローンを作ることに疑問がある。「失敗作」になってしまったクローンはどうするの?と。でも作らなきゃ安全性は確保できない。
そうなるととりあえず止めておきましょうっていうのが今なのかなと思う。

じゃあもし安全性が確保されたときは?

クローン人間を、わたしたちと同じ人間とするなら臓器移植目的でのクローンは許されることじゃないと思う。
というか、人間1人作るなら心臓作れんの?と思ってしまうんだけど。
あと例えば50歳で移植が必要になってクローン作ったとして、何年待ったら移植できるん?移植必要な状態でそんな待てるもの?
あ、そもそも作っとくってことか。それは予備っぽさがすごくて嫌な世界だな。
それはおいといて、腎臓とか他人からもらわん?骨髄とか他人からもらわん?それはよくて、クローンはダメなのなんで?

人の尊厳を侵すとか、生命とか神への冒涜とか、これは個人とか宗教とかで考え方がちがうかな。
だからこの部分にどう決着をつけるかが1番難しそうだと思った。
クローン個体の人としての尊厳を侵すかどうかは、クローンじゃないわたしたちの問題じゃないの?
神への冒涜については、各々の神様がちがうし、いないと思ってる人もいるし結論出すの無理問題。

子供を持つことを目的としたクローンはどうだろう。
自分と同じ遺伝子を持つ子供。
わたしはわたしが好きなので、絶対かわいいやんと思ってしまう。笑
クローンでも、どうやら全く同じ成体になることはないらしいので、子供を産め産めと言われるこの時代、その手段のひとつになり得るかもしれない。
でもどうやらそこに遺伝子的な進化?変化?とかはないらしい。
同じ遺伝子だから当たり前だけど。

「核を持つ真核生物のDNAは線状で端にメテロアがある。そして線状であることにより有性生殖を行ない、二つのDNAを組み合わせることができ、多様性のある子孫を生み出すことが可能になった。雌雄のセックスの選択こそが多様な子孫を残し、生物に進化をもたらした」

と、プロフェッサーアキツは述べておりまして、
(急に本のこと思い出した。)
たとえばわたしが生んだ子供が急激にすごい進化を遂げることはないけど、もしかしたら人類の進化のめちゃくちゃ小さい1歩になるかもしれない。
でも同じ遺伝子だと、そこは完全に停滞ということでしょ。
う~~~~~ん。。。
めちゃくちゃどうでもいいけど、今の若い子(10代くらい)ってスタイルいい子多くないですか?やせてるとかじゃなくて、頭が小さく手足が長い。
これも進化?と常々疑問に思ってる。

クローンの子供を作ることに対してもう一つ言われているらしいのが、「デザイナーベビー」について。
いやいやそんなことできるの?って思っちゃうけど議論になるということはできる可能性があるということなんでしょう。
生まれてくる子供に健康で生まれてほしいと思うのは当たり前だし、幸せになってほしいと思うし、できれば見た目がよくなればいいと思うし、勉強ができればいいなとも思うし、運動もできたらいいなって思う。
「あ、それできますよ~」っていう世の中になったら、みんなどういう選択をするんだろう。
でもなんかそこ遺伝子からいじっちゃったらプロフェッサーアキツの言う多様性が失われる気もするね…?
「デザイナーベビー」については、デザインした人とされた人の人間関係が非対称なものになると指摘する研究者もいる。デザインされた側は本質的に道具的である、と。
↓参考


ちょっともう分からん!限界!

多様性のある子孫残していこうな、人類!ということで感想とさせていただきます。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?