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地方大学生のぼやき#20「都会で暮らす」

東京に行った。僕が現在通っている大学から東京は電車で2時間弱の場所に位置しているのだが、最近はコロナ禍の影響や自分の懐事情が重なり、一年半以上訪れていなかった。

東京に行った目的として、観たい映画が近場で東京でしか上映していなかったこと、東京のレコードショップに行きたかったこと、喫茶店巡りをしたかったことの三つがあった。

東京は訪れる度に新たな発見を与えてくれる。

今回訪れた喫茶店は新宿の「珈琲タイムス」と吉祥寺の「ルノアール」。どちらも喫煙可能な喫茶店ということで訪れてみたかった。両者の喫茶店に共通して気付くのだが、東京は本当にいろんな人がいるなと感じる。そして、多分僕が行った喫茶店がたまたまそれに該当したのだけれど、程よい賑やかさがそこにはあった。

喫茶店を見回すと、何かを抱えたサラリーマン、新聞紙を広げた老人、常連と思しき老夫婦、映画や音楽の話をしている若者と世代問わず様々な人が客として喫茶店に足を運んでいる。そして僕はその光景を見て、ニヤケが止まらなかった。そのニヤケの正体は恐らくみんなベクトルは違えど、その瞬間を前向きに「生きてる」ということを感じたからである。

ただのありふれた喫茶店の一コマ。僕にはそれだけで一本の映画を見ているような充実感があった。耳を済ませてみると、隣に座っている若者二人の会話が聞こえる。好きな映画監督の話をしていたのだが、なかなか職場には同じ趣味の人がいなくて困っている。だからこうして同じものを好き同士で会話できるのが楽しいという内容だった。どうやら二人は、今日初めて会って自分の好きなものを気兼ねなく話せることに喜びを感じているようだった。縁も竹縄状態。

僕は友達が少ない。いや、相手は友達と思っていても僕は友達にカウントしていない場合もあるから難しいのだけれど、頭に浮かぶ友人の数はやはり少ないと感じる。そんな独りの時間を過ごすことが多い僕にとって、その程よい賑やかさと一人一人生きている姿を見ると、孤独が少し軽減されて安心感を覚える。

都会に住む人と地方に住む人がいる。両者どちらもそれぞれの生き方があり、そこに良し悪しはない。まずひとまとめにするのも難しい話なのだが、僕は多分都会に住む方が向いているのだと感じる。

これは向き不向きの話なので、地方を決して非難したい訳じゃないのです。かけがえのない友人と地元で楽しく過ごすことも素敵な生き方の一つです。けど、僕にはそれに足る人間関係を現在地方で生活していて満たしていない。大切な友人はいる。しかし、それもまた数は少ないので基本的に1人でいる時間が多い。そうすると時たま孤独感が爆発しそうになるので自分と直接的な関係はなくても人の姿を見るために外に出るが、そもそも人の数が少ないので僕の気持ちはさらに暗くなってしまう。

まあ、あと東京は僕の趣味にもフィットしてるんですよね。レコード、映画、本、ライブ、喫茶店、散歩、食事などなど。栄えている分、自然とその母数も増えるので僕の生活にとって必要なもの、そしてその選択肢が無限に広がっている。

けど、今地方で生活してるからこそ自分が都会に住む方が向いているんだと気付くこともできたので良かったとも思います。

別に東京じゃなくてもそれらを満たせる場所はあるんだろうけど、結局ただ単に憧れてるんでしょうね。東京での生活に。


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