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「恥をかける人 - 無難な自己紹介篇」

こんにちは、中川リョウ(@ryonotrio)です。
1988年生まれで、
広告代理店でコピーライター・PRアーキテクトという仕事をしています。

前回は、高校生に向けて講義をさせてもらった
恥をかける人」というテーマについて書きました。

ついつい無難な自己紹介

ほんと失礼な話なのですが、僕は人の名前を覚えるのが苦手です。
大体一回聞いただけでは覚えられません。

なので、名刺交換のときには
必ず「〇〇さんですね」と交換した相手の名前を声に出して読み上げます。
一回口に出すことで、脳に定着しやすくなる気がするからです。
さらに、珍しかったり素敵なお名前だと感じたら、声に出して褒めます。
その話題を交わすことで、脳に定着しやすくなる気がするからです。

あとすぐにFacebookでフレンド申請をします。
そうすることで、検索履歴に相手の名前が残るので
「今日お会いしたあの方のお名前なんだっけな〜」ってなっても
すぐにわかります。

では逆に、
自分のことを知ってもらいたい時はどうしたらいいでしょうか。

社会人になると自己紹介をする機会も増えてきます。
自己紹介なわけですから、自分のことを知ってほしいわけで、
自分のことを覚えてほしいわけです。当たり前ですが。

でも無難な自己紹介を、ついついしてしまいます。
名前だけ言って、よろしくおねがいします。みたいな。

自分がこれだけ覚えられないんだから、
自分も覚えてもらうための工夫が必要だ。

あるときからそう思い始めました。

ちゃんと覚えてもらうための自己紹介ができない原因が、
やっぱり「恥」です。

変なこと言って、変な奴だって思われたらどうしよう。
余計なこと言って、めんどくさい奴だって思われたらどうしよう。
恥ずかしい・・・。

まず大前提として、
自分が思っているほど
誰も自分なんかに興味なんてないわけです。

そんなことを思い、
最近意識して名字ではなく、名前で名乗るようにしています。

「はじめまして、リョウです。」と言うと、
先方のリアクションが大体「ん?」ってなります。
合わせて名刺の名前も「中川リョウ」にしました。
漢字よりも名前が印象に残りやすいと考えたからです。

名字で自己紹介をすると、相手との距離を縮めるのに時間がかかります。
名前で呼ばれるようになると、
相手との距離がぐっと縮まって仕事もやりやすくなりました。


自己紹介を見直したきっかけ

2019年の6月、僕はフランスのカンヌにいました。
世界最大の広告クリエーティブの祭典、
カンヌ国際クリエーティビティフェスティバル内で行われた
「ヤングライオンズクリエーティブアカデミー」に参加するためです。

世界中のU30の若手クリエーティブを対象に、
世界トップレベルのクリエーティブディレクターをはじめ、
メーキャップアーティストやシンガーソングライター、脳科学者まで
様々なジャンルの講師たちとみっちり5日間ワークショップを行います。

世界中から集まった25人の若者たち。
9割が欧米の広告エージェンシーで働く若手クリエーティブ。
日本人は僕一人だけでした。

カンヌ国際クリエーティビティフェスティバルは、
有名な「カンヌ映画祭」からかつて広告映像部門が派生したイベントで、
映画祭の後の期間にレッドカーペットの残る同じ会場で行われています。

アカデミーの初日、1人1分の自己紹介の時間が与えられました。
自己紹介を考えるうえで、もった課題意識は以下の3点でした。

・5日間という短期間で講師陣や参加者たちに興味を持ってもらいたい
・短期間で海外の聞き慣れない名前 x 24人を覚えるのは結構大変
・出身の国も違う上に、初めて会う人たちなので共通の話題がない。


Far Eastから来たCopywriter

そしてやってきた自己紹介の時間。
「私は日本のコピーライターなので、あなたの名前を日本語に変換します」と宣言しました。

そして5日間のあいだにアカデミー参加者全員の名前を、
漢字の当て字で書くことにしました。
まずは学長の名前を事前に漢字に。
その当て字の意味をストーリー仕立てにして紹介しました。
皆にお土産として100均の筆ペンを参加人数分持参しました。

書き終えた参加者の名前と当て字の意味を本人にプレゼントしたうえで、
アカデミーのメッセンジャーに定期的に投稿していきました。

結果的に、
参加者全員から自分の名前もRyoに書いてほしい
と言わせる構造をつくりました。
共通の話題も生まれ、5日の間に24人全員と1対1で話すことができました。
自分自身も一度当て字を考えるプロセスを経ることで、
参加者全員の名前をスムーズに覚えることができました。


アビリティよりメンタリティ

この「筆ペンチャレンジ」思いついたはいいけど、
本当に実行するか迷いました。

英語ネイティブでもない日本人が、
世界中から集まったトップクリエーターの前で自己紹介をする。
スベったらかっこ悪いし、恥ずかしい。
必要最低限の情報だけ話せばいいかなと。

ただ前回のエントリーでも触れた
自分に課しているマイルールといのが僕にはあります。

「迷ったら、めんどくさいか、恥ずかしいと思う方を選ぶ」
迷った末、実行することにしました。

自分が思っているほど
誰も自分なんかに興味なんてないわけです。

言語や文化の異なる人に、
理解してもらうためには
相手の消化しやすい文脈や言葉に調理し直して提供する
と受け入れてもらいやすくなります。

1相手のもっている”イメージ”を利用する
日本から来たコピーライター
→筆で相手の名前を漢字で書くという企画に

2相手にとってのメリットを提供する
自分の名前を漢字で書いてもらえる(当て字だけど)

この2つを意識した結果、5日間という短い期間の間に
アカデミー参加者全員とコミュニケーションをとることができ、
親友と呼べる友達もできました。

カンヌから半年後メルボルンで再会した2人。

恥ずかしがって、必要最低限の自己紹介だけしていたら、
他の24人とロクな会話もできないまま終わっていたと思います。

英語でコミュニケーションがとれるかどうかという「能力」より、
どうやったらコミュニケーションをとれるかと考える「意識」が大切

だと気付かされた体験でした。

アビリティよりメンタリティです。

最後に、
プレゼントした筆ペンで
CHEメルボルンのアートディレクターのMattが帰国後に
教えてもないのに自分で書いて送ってくれた言葉で締めたいと思います。

2020年クリエーティブアカデミー

ちなみに2020年のヤングクリエーティブアカデミーの受講生の
募集が始まっています。

https://www.canneslions.com/learn/young-lions/creative-academy

応募のプロセスやアカデミーの中身そのものについては、
去年アドバタイムスにて
細かく書いたので応募を考えてる方はそちらを参考にしてください。
https://www.advertimes.com/20190712/article295538/

Twitter @ryonotrio
Instagram @ryonotrio

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