見出し画像

お店のオーナーにレシピを聞いて愕然としてしまったこと。。

出張先の栃木ではコロナ渦ということもあり、夕食を済ませるところが限られていました。そこで宿の紹介で、カウンターだけの小さい「おでんや」を見つけたので夕飯を済ますことにしました。

「おでんや」といっても30代くらいの男性オーナーがひとりでやっている居酒屋といった感じです。自然派ワインとおでんを一緒に食べるというなんとも粋な感じのお店となっています。

だれもいない席につくとすぐに、大根、たまご、はんぺんといった定番のおでんを注文します。口に入れるとそのどれも品がよくて心が温まり、ウーロン茶との相性も抜群でした(お酒が飲めぬです)。

またおでん以外のおつまみも格別です。ポテトサラダやチーズなどちょっとした一品がとてもおいしい。

なかでも「キャロットラペ」と「ブルーチーズきつね」は絶品でした。

「キャロットラペ」はさっぱり酸味の効いたにんじんサラダ。そのバランスのとれたほどよい酸味と、コリっとしたにんじんの歯ごたえが絶妙にマッチしています。

わたしはあまりのおいしさに「おいしい」とつぶやくと、無口でこだわりの強そうなオーナーに思いきって話しかけました。

「いやあ、キャロットラペおいしいですね!このドレッシングどうやってつくっているんですか?」

おでんと自然派ワインを提供するご主人ですから、さぞこだわったドレッシングを使っているのでしょう。ご主人の特性レシピを待ち構えます。「さあ、どんとこいや!」

ところが回答は思いもしないものでした。

「いえ、それはキューピーのセパレートドレッシングですよ。ど定番の。いちばん安いやつです」

わたしは意表をつかれて「ああ、そうですか。。」と反応。

さらにご主人は作り方までていねいにご教授してくれます。

「にんじんを切ってドレッシングをあえるだけです。ドレッシングは定番なのでどこでも売っていますよ。いちばん安いやつ。ほんとあえるだけです」

「は、はあ」

わたしはさぞこだわり抜いたレシピの説明を待ち構えていたので拍子抜けです。まるで、、、なんとも、、、絶賛したわたしが味オンチのような敗北感を味わってしまいます。

せめて嘘でも「ここで作った特製ドレッシングです!」と言ってほしかった。

このあとも「ブルーチーズきつね」(お揚げにブルーチーズを入れて焼いたもの)もおいしかったので、今度ばかりは工夫があるだろうとレシピを聞いてみます。名誉挽回です!

「簡単です。お揚げにブルーチーズを入れて焼くだけです。ブルーチーズはなんでもいいですよ。とりあえずおいしくなります」

とのご回答。

わたしは2度目の「は、はあ」。それからようやくの「やってみます。。」

このシュールな状況はなんだろうか。。。おいしい!と思ってレシピを聞くも、それがまるで誰でも作れる料理だったとき、いちばん安い調味料を使っていたという状況は、、ああ、まるで辱めを受けている気分です。悲しみ。

せめて、せめて「嘘でも見栄をはってほしかったなあ」という気持ちになりました。

というのも正直にそう説明されてしまうと、すごくテンションが下がってしまうのですよ。。

と、まあ気持ちを立て直せば「おいしかった」に変わりないのでOKなのですが、、、んむむ、やっぱり、ほんとうにおいしいものを食べたのかどうかわからない夜になってしまいました。

雨のなか宿に帰る道では、とぼとぼと下を向きながら「商売人があまりにも素直すぎるのはどうだろうか。。。」と考えてしまった不思議な1日でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?