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我が家の鑑賞ルール

私や弟、妹の3人が映画を見始めたきっかけはやはり母である。



前回までの記事でも少しずつ触れていた、映画好きで英語教師の母の影響で幼少期から我が家の2階の襖の裏にある棚には違法コピーダビングされ、手書きのタイトルシールがふられたVHSたちが約300〜400本びっしりと詰められていた。



日曜日の朝になると兄、弟、妹3人でその中からみたいタイトルの作品を引っ張り出してきて観る。



小学生男子にとってはまだ読めない漢字のタイトルなどもあったりはしたが、たいがいは気に入ったタイトル作品群たちのルーティンに落ち着く。





なにより手書きのタイトルシールは字体の特徴を捉えやすかったのかもしれない。



とにかく母が観たい、あるいは観ておもしろかったという母の視点部門のみでのチョイスが蓄積されていくような襖裏の棚はR指定もPG12指定もあったもんじゃなかった。




既出の記事でも紹介の「ターミネーター」のモロベッドシーンも覚えているし、「羊たちの沈黙」でバッファロービルが例のドレスで1人舞うようなシーン…




シュワちゃん、ブルースウィリス、セガール、メルギブソン辺りの当時のスターたちがバンバン殺っちゃっていってるシーンなんか日常風景かのようにみていた。




そのためジャンルも多岐に及んだ。アクション、ホラー、恋愛、SF、ドラマ、もちろんファミリー向けやディズニーとか普通に…普通にといったらおかしいけど、誰が観ても楽しい作品たちも含めて楽しんでいた。



そうそう、だけど基本中の基本として全部洋画


邦画をジャンルとして括れば、そのジャンルだけはなかったということだ。


だから同年代のみんなが観ていた「ドラえもん のび太と〇〇…」シリーズや「ドラゴンボールZ 〇〇戦士 〇〇!!」みたいなのは観たことはなかった。



もちろんアニメシリーズはテレビで毎週みていたから知ってたけど、劇場版というものがあることを知らなかった。



そりゃそうだ。母が観たい、観ておもしろかったものしかないのだから。



そしてもうひとつの基本中の基本が字幕版のみである。



こちらも既出の記事「オズの魔法使い」に紹介したが、英語教師という職業柄なのか音は英語。内容は字幕で追う。というのが我が家の暗黙の鑑賞ルールだと思っていた。



やはり英語教師としての教育の一環。であればまだマシだ。



後年、母に聞いた理由は







「吹き替えは気持ち悪い」




であった。


無論、今でこそ吹き替え声優さんたちの素晴らしさを知っている私は否定するが、こういった点にも基本は母が観たい、観ておもしろかったが徹底されている。




こうした映画の英才教育?の賜物なのか、同年代の子らが洋画を見始めたであろう頃にチラホラ耳にした〈外国の俳優さんの顔の違いわからない問題〉や〈名前と顔が一致しない問題〉とは全く無縁であった。



顔の違いがわからない。なんて感覚がむしろ理解に苦しむ…くらいに洋画にすっかり慣れ親しんでいた私たち兄弟妹には洋画独特のリズム感やテンポも身に染み付いていた。



特にそのリズム感やテンポを感じるのはコメディだと思う。みんな大好きな「ホーム・アローン」や「天使にラヴソングを…」とかはもちろん何度も観たけど、ターミネーターのシュワちゃん主演の「ツインズ」、「キンダーガートンコップ」




または「ダイハード」シリーズのブルースウィリス主演の「ハドソン・ホーク」やメルギブソンの「リーサル・ウェポン」シリーズも大好きで何度も観た。



大スター、キアヌリーヴスの無名時代の「ビルとテッドの大冒険」と続編「ビルとテッドの地獄旅行」も好きだった(数年前に新作公開したが未鑑賞)




もちろん英語ではなにを言ってるのかは分からない。でもこれはコメディ映画なんだ!ってわかってて観ていたのはやっぱり洋画のリズム感とテンポを理解していたってことなんだと思う。



あとはレスリーニールセン主演の「裸の銃を持つ男」シリーズ。このシリーズも大好きで何度も観ていたのだが、この映画自体が他の映画のパロディが散りばめられたコメディ。





パロディーということは元ネタの映画を知ってることが楽しめる前提みたいなところがあるけど、そういう意味でも全部じゃないにしろ元ネタをわかって面白がっていた記憶がある。



他にかなり変わり種で「アーネスト 監獄に行く」「アーネスト キャンプに行く」などシリーズ全5作のアーネスト・P・ウォレルというおっちょこちょいだけど憎めないキャラクターが主人公のドタバタコメディシリーズ。





この辺りはもうマニアックすぎて兄弟妹間の内輪ネタみたいになっている。誰かご存知の方みえませんか?



様々な角度から我が家の鑑賞ルールというのをご紹介したくて振り返ったけど、むしろこれはほぼノールールだったじゃないか…と今は思う。



全ては母チョイスから始まってはいる。


だが、その中から毎週末、選択していたのは自分たちだったんだし結果的に数十年経ってもこうして映画好きでいられるのは、なんでも自由に観ていたからこそ、今でもジャンルも言語も表現もレスで受け入れられる素養が育ったのかもしれない。



ところで前述の「吹き替えは気持ち悪い」という母の鑑賞ルールにより音声は英語のみ。内容は字幕で観ていた甲斐あってか英会話はペラペラ〜……とは私はならなかった。



弟はリスニングと簡単な会話ならできる。妹は英語のスピーチコンテストで準優勝。



そして私は漢字の読みだけは小学生のくせにやたら読めるという方向に才能が開花した。


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