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日記・あたたかさを楽しむ季節へ

 寒い。いや寒い。Macbookのキーボードを叩くとちょうど金属の辺りが手首に当たってひんやりしている。冬の金属の冷え方をしている。

 ユニクロの全部ボアになっているフリースを着た。これを買ってから冬はとても過ごしやすくなった。首元までジップを閉めるとマフラーをしたみたいに暖かい。

 冬なんていうのはね、「あたたかさ」を楽しむ季節なんだ。雨上がりに出ていた屋台の温かいフォーを食べた。うまい!煉獄さんの気持ちがよく分かる。最近鬼滅の刃を見始めた。隙あれば心にある日輪刀を振り回している。

 ところで温泉が嫌いだった。わざわざ服を着たり脱いだりするのが面倒だった。人の多い風呂というのが苦手だった。

 温泉の良さを教えてくれたのは温泉好きの友達だった。1泊1.5万円くらいの宿を用意してくれて車も出してくれたりする。お金さえ払えばあとはついて行くだけの楽ちん旅だ。

 でも初めて行った時は好きでもない温泉に入るのに1.5万円は高いと思っていた。カフェご飯だったら10回は行ける。そんな計算をしていた。

 しかしもう良さを知ってしまったもので1.5万円だったら全然安い。いい宿に泊まるならもっと出してもいい。

 旅館には早めにチェックインしたい。15時から旅館に入って人の少ない温泉にまったり入る。貸切気分で入る大浴場は格別。でかいヒノキ風呂を泳ぐことだってできる。思い出すだけでもちょっくら出かけたい。

 18時になったら夕食を食べる。1時間くらいかけて、食べ終わると部屋に戻って(本当だったら部屋食がしたい)、外の景色を見る。夜、北国や山の中で空気の冷え方がいつもと全く違うのを感じるのが好きだ。

 旅館の部屋で布団にくるまりながらテレビを見るのが一番好きだ。いつも見ている番組がいつもと違って見える。夜は早めに寝る。旅館の朝食の時間は案外早い。

 朝、朝食の時間の少し前に目が覚めて、きのみきのまま食堂に向かう。食堂には気の抜けた宿泊客がたくさんいて、それを見ているとなんだかリラックスする。女の人もほとんどすっぴんだったりする。

 いろんな人の朝食の部屋の風景が一堂に会している。コーヒー派の人、牛乳は絶対に外せない人、パン派、米派、普段は適当に済ませている朝食を珍しくしっかり食べようとして食べ切れなくなっている人。

 お腹いっぱいになったら朝風呂へ。ここでチェックアウトまで3時間はある。お風呂から上がったらまたテレビを見る。地方局のチャンネルでは全然知らないアナウンサーが映っていて面白い。この人誰、ここどこよ。

 10時チェックアウトって結構早すぎじゃんね、と思いながら荷物を用意する。昨日チェックインした時に部屋に置いてあったお菓子を食べ忘れていたのに気づいて食べる。なんとなくお茶を淹れたくなって淹れる。

 チェックアウトをするともう昼飯のことしか頭にない。なぜならこの辺りでおいしいご飯はリサーチ済みだからだ。振り返りながら「いい宿だったね」と写真を撮った。

 書いているだけで温泉に入りたい体がヨダレを垂らす気分だ。絶対にうまいだろうな、温泉。特にこうやって急に冷えた日はかなりそそられる。

 というわけで温泉嫌いだったはずが例に漏れず温泉に染められてしまった。でも温泉そのものが好きというよりは温泉を中心にした旅館での生活に魅せられているのだ。

 冬はそれを思い出させてくれるから好きだ。冬に思い出す旅館での生活が「温泉に行きたい」と思わせる。

 思えば旅館ってなんであんなにどこへ行っても浴衣一枚で過ごせるくらい暖かいのか、僕はいつ旅館に行っても疑問に思っていたが、浴衣で過ごすことが旅館での生活の一部なのだといまになって分かる。

 ここからさらに気温が下がれば冬はすぐそこに。あたたかさを楽しむ季節へ。



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