日記・胡桃堂喫茶店がすき。国分寺がすき。(お題「この街がすき」)
noteのサークル「創作をまなびあう会」で出題された「この街がすき」というお題を見て、一瞬"ここ!"という場所が思い浮かんだが、ちょっと違うような気がした。
国分寺が好き?
国分寺が好きだ。しかし正確にいうと国分寺にある胡桃堂喫茶店が好きだ。だから街が好きだというのとは違うのかも知れない。
国分寺は都心から離れ、街並みは地方の都市部のようで、地方在住の自分にとってみればその風景を見ると「帰ったような」気持ちになる。
新宿から中央線に乗って30分、国分寺駅に着くと東京にいるのに帰った気分になって落ち着く。駅から数分歩いたところに胡桃堂喫茶店はある。
胡桃堂喫茶店について、そのあたたかさ
初めて胡桃堂喫茶店を見た時、レトロ調のシックな見た目にお店の中に入る前から期待に溢れていた。扉を開けるとドリンクカウンターと大きなテーブルがある。
2階が客席になっていて、入り口を入って左手に階段が伸びている。壁側が階段に沿って本棚になっていて、様々な本が並んでいる。以前日記に書いた『キャッチャー・イン・ザ・ライ』はここで見つけた。
2階席に案内されると柔らかい光の空間を感じる。高い位置の窓に夕陽の色のガラスが嵌められていて、それが太陽からの光を採るとあたたかい色になってフロアに降り注ぐ。
柱の色が藍で染めたような深い紺色をしていて、その色がとてもいいなと思った。メニューの表紙も同じ色をしていて、おしぼりもこれに合わせた紺色だった。
注文した伝票が胡桃の形をしたマグネットクリップに挟まれて置かれる。僕はそれに感動してしまって、お店で売っていた同じマグネットクリップを買い、自宅にもお店で使っているものと同じものが2つある。
(胡桃堂喫茶店、胡桃のマグネットクリップ)
割った胡桃にマグネットを入れて皮を貼りつけている。かわいい形をしていて、面白い発想だと思った。
メニューの中に煎茶があって、これが国分寺で取れたお茶で、甘くておいしい。お茶って甘いんだと初めて知った。胡桃堂喫茶店ではコーヒーよりもお茶が飲みたくなる。
季節によって様々なメニューがあり、いちごのショートカステラとすもものフルーツあんみつをよく思い出す。四季それぞれ内容が変わる定食のやさしい味はゆっくりと食事を味わう楽しみを思い出させてくれる。
(胡桃堂喫茶店のデザートの写真。実は中国茶もおいしい。)
僕と国分寺との距離
少し前、胡桃堂喫茶店でアルバイトの募集をしていた。あのお店で働けたらなんて幸せなんだろうと思ったが、遠く国分寺の地でアルバイトをしてひとり生きていける自信がなかった。
多分いま頃、新しく入ったアルバイトの人が胡桃堂喫茶店に立っているのだろう。なんだかそれはとても羨ましいことだ。しかし国分寺という街のことはよく知らない。
国分寺の殿ヶ谷戸庭園に行ったことがある。国分寺駅の近くにある庭園で、深い谷と紅葉が印象に残っている。その深い谷を登った上に紅葉亭という日本式の建物があり、一部がベンチのある休憩スペースになっていた。
(2019年の夏、殿ヶ谷戸庭園、紅葉亭にて)
夏に訪れた時、谷の上から眺める青紅葉が綺麗だった。これから秋が深まれば赤く染まった紅葉が綺麗だと思う。
思う、というのは、実際には見たことがないからだ。見たこともなければ今年はまだ見にも行けなさそうだ。いま、地方に住む人間にとって「東京」というだけで足を運ぶハードルはかなり高い。
すべてが落ち着いたら真っ先に胡桃堂喫茶店に行きたい。最近よく通うようになったカフェで働くお二人とそんな話をした。実は国分寺と関係があって、そのカフェでは国分寺にあるTakaiTOCoffeeから豆を仕入れている。
そうやって近からず遠からず関係のある国分寺について離れていても思う時がある。住んだこともなければその辺りに詳しい訳でもないが、国分寺という地名を聞くとなんとなくそわそわして、胡桃堂喫茶店のことを話したくなる。
僕が好きな街、国分寺
「この街がすき」というお題に対して、少し的外れかも知れないという気持ちでいた。でも僕が胡桃堂喫茶店を思い出す時はあの国分寺駅の景色や青紅葉の風景が一緒になって現れる。胡桃堂喫茶店に行く時、僕は必ず国分寺を訪れている。
ひとつのカフェを中心にして、その街のことを好きになっていくのもアリなんだと僕はこれを書いていて気づいた。その街が自分の住まう街でなくとも、訪れればあたたかく迎え入れてくれる場所があれば好きになれる。好きな街が増えるって、帰る場所がもうひとつできたみたいで嬉しい。
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この記事は、noteのサークル「創作をまなびあう会」でお題を決めて書いた記事です。今回のお題は「#この街がすき」
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