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エンタープライズセールスに必要なスキル

イネーブルメントの中で、営業のスキルに関しては触れられるようで触れられないトピックな気がしています。スキルとして何十個も分解されてしまっていて、改善に至らない複雑すぎる構造化がされているケースが多い気がします。

特に昨今エンタープライズセールスという言葉を聞くことが多くなり、かつなりたいという人も増えていると思いますが、言語化していただいている先人の方々の内容に加えて私なりに構造化してみました。

このnoteでは、極力シンプルに営業のスキルを分解し、エンタープライズセールスという職種の採用、そして如何にトレーニングするかに関して言及出来ればと思います。


営業のスキルとは?

エンタープライズセールスに入る前に、営業のスキルってなんだっけ?と言うところに関して最初から超絶に単純化してご説明すると、こちらのウルフオブウォール・ストリートの営業が語っているように、その人が「エキスパートか否か?」が全ての解だと考えています。

別のデータでも「顧客は営業にどうあって欲しいか?」という問いに対して、LinkedInの調査によると、91%の方は自分たちの業界についてよく理解していて88%の方は信頼できるアドバイザーであって欲しいと答えている。このことからも十分わかるように、あらゆることより優先して、その営業の「エキスパートレベル」を顧客は見てくるのです。

LinkedIn調査より

「あなたは営業として自社の扱っている領域に関して何時間も討論できますか?」という問いに対してどれだけの人がYesと答えられるでしょうか?

セールステックを扱ってるなら営業を語れて当然、マーテックならマーケティングのアドバイザーになれる、リーガルテックなら法律に関して弁護士レベルで語れる、など。

例えば、自分が家を買うときに、「この家は大変防寒性が優れていて」とプロダクト売りしてくる人と、何のために家を買うかを理解し、どこの業者が悪徳業者で、今後の土地の値上げが大きい場所をよく知っているアドバイザーから買いたいかと言えば聞かれるまでもないかと思います。

とはいえ、「エキスパート」ってどうなるの?というご質問があるかと思うので、エキスパートへのなり方、並びにその他の営業スキルの分解を記載します。

営業のスキルとは?

各種構造化の方法はあると思いますが、シンプルに私が分解したのが下記4項目です。

4つのスキル

①対人関係構築能力

人との関係構築の方法です。この能力の要素分解が最も難しいのですが、下記の構造化である程度分解することができます。


人間関係の4象限

ラポール形成などの小手先の技術もあるのですが、大きな目線で大別すると上記A/B/C/Dの構造になります。X軸がエキスパートとしての信頼で、Y軸が好感度です。

経験や圧倒的ナレッジを持って、X軸を右に動かすことができるので、登場人物が多く、多くの人により信頼されにくいエンタープライズセールスでは経験年数がある程度ある方々が活躍する傾向にあるのはこれが所以です。そしてY軸はシンプルに好感度で、自己紹介で出身が同じであったり、何かしら共通点を見出したり、服装などの見た目が信頼出来るかなどジャッジするのはこちらのベクトルになります。

もちろん目指すべきはAなのですがチャレンジャーセールスでも出てきているようなローンウルフなど、一匹狼的属性の方で職人気質の方々もいます。一定の成果はあげますが、超巨大組織を相手にした時にどこかで躓く可能性があるので、エンタープライズではBは目指す方向性は避けた方が良いように思えます。

そしてよくあってかなり母数が多いのがCのパターンです。めちゃくちゃ親しみやすくて飲み会も来て多少面白いこと言えるけど、それだけ、というパターンです。実はこのケースでも一定のブランドやプロダクトがある場合は結構売れます。会社としてX軸を動かせる能力がある、つまりプリセールスやエンジニアなどを連れてくることが出来て解決出来るという場合はCでもパフォーマンスを見せることができます。

私が先日Xにポストした初期の採用で失敗する例を説明するのが上記になります。

②プロジェクトマネジメント力

セールスイネーブルメントやエンタープライズセールスでよくトピックにあがるのがプロジェクトマネジメントのパワーです。私の訳したマイクカンクルの「THE BUILDING BLOCKS」の書籍でも、バイヤージャーニーの作成とその活用によるプロジェクトマネジメントについて書かれていますが、エンタープライズセールスを中心にこの能力は限りなく必要な能力となってきます。

この能力はしっかりネクストステップを握り、タスク整理してプロジェクトを前に進めるための能力です。

以前、私もnoteに記載しましたが、バイヤージャーニーをゴリゴリ進めていく能力というのは、他のスキルの①の③や④にバックアップされていますが、大変重要なスキルとなってきます。

このスキルはあらゆるフレームワークなども出ていますが、複雑なので別の機会に改めて整理したく思います。

③ナレッジ(プロダクト・ビジネス・ドメイン)

「エキスパート」と呼ばれるためには、これが最も大事と言っても過言ではないと思います。一般的にナレッジの構造は下記のようになっています。多くの営業組織でプロダクトナレッジのトレーニングはするのですが、それ以外のドメイン知識のトレーニングはあまり行われていないように思います。

営業のナレッジの3構造

知識はエキスパートになるためのソースです。再三になりますが、自社が扱っている⚫︎⚫︎(自社の専門領域)について数時間討論出来る能力がないのであれば、購買者に信頼されるはずもありません。

④トーク(プレゼン・ヒアリング)

トークはシンプルに2つの構造、ヒアリングとプレゼンに分かれます。ヒアリングした内容をベースにプレゼンをする、というシンプルな形かと思います。

以前質問を構造化する内容でnoteを書いたので、是非ご覧いただけますと幸いです。

永遠に語られていますが、プロダクト売りの肯定派否定派がいますが、バイヤージャーニー次第でワークするかしないかが決まります。プロダクト売りがワークするケースで言うと、バイヤージャーニーがある程度進んでいる企業や会社限定になります。ですので、実はトークスキルの詳細の分岐は会社のブランド力などに大きく依存してきます。

エンタープライズセールスの採用

では、エンタープライズセールスはいかにして採用するのか?採用時に見極めるポイントはどこなのか、というのを言語化してみたいと思います。

SMBセールスとエンタープライズに求められる能力の違い

完全に主観で必要なスキルレベルを記載しましたが、画像のような形となります。つまるところエンタープライズセールスに必要なスキルは全てでハイレベルになると言うことだと思います。ただし、会社のブランドがあったり、強力なマーケティングでバイヤージャーニーを進める能力があったり、チームでのサポートが出来るような場合は一定強力なナレッジがなくても売れるケースは多くあります。なので事業や会社のフェーズによっては③はある程度妥協しても問題ないケースはあると思います。

エンタープライズセールスを探しているけど、どこにもいない!と言っている方々が多いのは正に上記したように全てハイレベルの人材を採用しなくてはならず、一方でそう言う方は営業をやっていなかったり、外資の高いOTEをもらっていたりする状態が故になかなか市場に存在していないという整理になります。

トレーニングの方法

上記の採用にもつながるのですが、トレーニングのしやすさでいうと

③(ナレッジ)>②(PM)>④(トーク)>①(人間関係構築能力)

だと考えられます。今まで私たちがお話ししてきた方々の中でも、④から入ろうとされる方が多いのですが、知識がない状態でトークを直そうとしてもエキスパートとは思われないです。ナレッジはひたすら我々のような商談解析ツールでトップパフォーマーの商談を見たり、そもそも好奇心や負けん気があればあらゆる情報から勉強してアウトプットをしていくだけでついていきます。イネーブラーはナレッジトレーニングにフォーカスした方がより効果が出るはずです。

PMは営業においては一定定型化していくことが出来る内容なので、色々な組織で教えられることが多いスキルだと思います。高橋さんの無敗営業や営業の科学などに記載されている方法で実行していくことができればクリア出来そうですね。

そんな当社もエンタープライズセールスを積極的に採用しております。未経験でも教えられる範囲でお教えしますし、皆で試行錯誤しながら成長していきたい方がいらっしゃいましたら是非お待ちしております!


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