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「資産所得倍増プラン」を読んで、投資ではなく労働をしようと思った話

この記事は書こうかどうか迷っていました。
浅学な私が急場しのぎのことを書いたとて、専門の方からすると突っ込みどころだらけだろうし、ネットに乗せてしまうと、記事やその内容があらぬところに流れ着いてしまうかもしれない。

とはいえ、専門家でないイチ生活者はこう思ってますよという意味で、そして自分自身の意識の言語化のために発信しようと思います。

1.「資産所得倍増プラン」とは?

さて、先月末(2022年11月28日)、岸田内閣は「資産所得倍増プラン」(以下、「プラン」)を正式に決定しました。

このプランは次の3つの目標からなっております。

1.投資経験者の倍増を目指す。具体的には、5年間で、NISA総口座数(一般・つみたて)を現在の 1,700 万から3,400万へと倍増させることを目指して制度整備を図る。

2.投資の倍増を目指す。具体的には、5年間で、NISA買付額を現在の28兆円から56 兆円へと倍増させる。その後、家計による投資額(株式・投資信託・債券等の合計残高)の倍増を目指す。

3.中間層を中心とする層の安定的な資産形成を実現するため、長期的な目標としては資産運用収入そのものの倍増も見据えて政策対応を図る。

文字が多くて私の頭で処理することが困難なため、要点を書きだすと

・期間は5年間
・KPI①はNISA総口座数(一般・積み立て)の倍増(1700万→3400万)
・KPI②はNISA買付総額の倍増
・KPI③は家計中の投資額の倍増

ということです。

2.プランの違和感

あれ?
と思いました。

「所得」倍増のはずが、「投資額」倍増ではないでしょうか。

巡り巡って投資のリターンが所得に昇華するとした場合、5年間で所得倍増を成しえるためにはどのくらいの投資を想定しなければならないのでしょうか。

私は算数が嫌いなので、同じことを考えている記事を出典として紹介させていただきます。

曰く、14.4%の超絶高利回りを5年間達成する必要があるとのこと。
素人でもその名を聞いたことのある、投資界のレジェンド、ウォーレン・バフェット氏の平均利回りは年20%と聞きます。
一般的な投資信託としては5%でよい商品、平均的には3%だといいます。

つまり、市場の平均的な利回りの約5倍もの利益を稼ぎ出す、レジェンドクラスの目利きが選んだポートフォリオでやっと「所得倍増」となるということです。

また、曰く、長い間保有(長期投資)することを推奨しているため、若者が投資をすることを想定しているようですが、そもそも年功序列が強く残る日本において、若者の投資に回せる余剰資金は限られており、所得倍増とするにはあまりにも非現実的ではないかと思うのです。
投資の握力を鍛える前に、握るものを持たなければ思うように増えるものも増えません。

3.過去の「所得倍増」政策

実は、このプランと同じような政策が過去の日本でも実施されたことがあります。

「国民所得倍増計画」(以下、「計画」)です。

計画では、輸出強化による外貨獲得それに伴うGDPの増加、結果としての国民所得の増加というものでした。

非常に単純で明瞭、プランと違い、GDPと国民所得が対応するものとなっております。

上がるか下がるかわからない投資によって、国民所得が増加するかもしれないというプランよりは成功が見えている計画だと、個人的には感じます。

結果として、ベトナム戦争やアメリカの好景気といった副次的要因はあれど、計画策定から6年後には「いざなぎ景気」という戦後最長の好景気に突入したことも、この政策の成功を証明しているといってもいいのではないでしょうか。

4.ではどうするか

結論を言えば、小銭で投資をする前に、投資額を大きくするために労働所得を上げることが最優先だと私は考えました。

プランではこの点を第四の柱の一部に記載しているのみとなっており、プランの机上の空論感が否めないと感じています。

勤労所得の拡大に向けて、労働市場改革として、①雇用者に成長性 のある企業・産業への転職の機会を与える企業間・産業間の失業なき労働移 動の円滑化、②リスキリング(成長分野に移動するための学び直し)のため の人への投資、③これらを背景にした構造的な賃金引上げ、の3つの課題を 同時解決していく。
資産所得倍増プラン(案)10頁

正直な話、この項目こそが本プランの一丁目一番地ではないでしょうか。
投資に回す十分な資金があるからこそ、大きな利回りを得ることができると思うのです。
ダムの水源の降水量を増やすことなく、貯水量だけを増やせ(貯金+投資)というオーダーでは、日常生活に使える水の量は減るばかりです。
その結果、市場に貨幣は出回らなくなるデフレーションの加速を促進するのではないでしょうか。

このプランを見て思ったことは
①明確な賃上げプランを明示していないゆえ、政策として賃上げは消極的
②投資額の増加には積極的なので、企業への出資には積極的

という「法人を生かすために国民を苦しめる政策」だなあというものです。

私はノンポリなのですが、過去の計画と比較した本プランはあまりにも現実的ではなく、素直に従うのはあまりにも私の生活を制限するものと考えました。

非常に心無いことを考えるのであれば、
・本プランは若者が長期投資することで初めて効果を得る
という一点にのみ価値があると感じているので、
「外国」又は「日本の老人」から「日本の若者」が金融貨幣を獲得する戦略が最も国益に適うと考えます。
加えて、本プランを悪用活用して「投資アドバイザー」といった適当な肩書をつけて老人向けにセミナーを開き、会費を徴収することが最も合理的な労働所得獲得手段ではないでしょうか。

最後のほうはちょっと私のなかのフラストレーションが溢れてしまった文章になってしまい誠に申し訳ございませんでした。

個人的なメモとして記録したかっただけなので、特定の誰かを貶める意図はございません。

以上、備忘録まで。


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