地球のために 第8話「ぼくのプリンセス」
家の近くの観光街にある広い公園で、ぼくと麻衣は遊んでいる。
あれ? 麻衣、それって幼稚園の制服? ぼくも?
ああそうだ。いつも幼稚園の帰り、母さんたちにカバンを渡して、そのままふたりで道草していたんだっけ。
ぼくら、あのころから今まで、本当に仲良しだよね。
ブランコを漕いでどっちが高く上がれるか競争したら、次はシーソーでギットン、バットン。
すべり台で心行くまで遊んで、公園内を思い切り走りまわり、砂場で泥んこになる。
毎日服が泥だらけになっても、母さんは叱りもせずに笑顔で「お帰り」って迎えてくれる。
その日ぼくと麻衣は、いつものように公園を走りまわっていた。
いつの間にか足元の影が長く伸び、街が赤く染められている。どこかの家からおいしそうな匂いが漂い始め、ぼくのお腹がぐうっと鳴った。
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