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【#読書感想文】 『営繕かるかや怪異譚 その弐』 小野不由美

 怪異譚というだけあって、和の幽霊が古いものに棲みつき、それを営繕することで「退治」するのではなく「折り合いをつける」話です。
 今回読んだのは第2巻。前巻同様、営繕屋尾端がちょっとした手を加えることで、怪異と人間がうまい具合に同居したり、いつの間にかいなくなったりします。

 今回は一作目「芙蓉忌」が一番怖いと感じました。
 他の話はある意味いい感じに和解するのですが、あのラストだけは少し違った感じで尾を引きます。その違いは、読んでのお楽しみということにしましょう。 

 この話に出てくるどの幽霊も、主人公に何かを訴えていいます。それが善意なのか悪意なのかも含め、はっきりとした言葉では話してくれません。
 ゆえに伝えられた人間は、幽霊の目的が解りません。
 私がそれについて考察してみたところ、怖さとは相手との距離であり、言いたいことが汲み取れないところに根ざすものかもしれないと思いました。逆にいえば、姿形がどんなに怖く感じても、コミニュケーションが取れれば恐怖ではなくなるのでしょう。
 その間をとりもつのが尾端の行う営繕なのかもしれません。
 それに気づいたのが、最後に収録された「まさくに」を読み終えたときでした。

 怖いけど怖くない怪談、いや怪異譚、それがこのシリーズの魅力です。

 その参も最近発売されました。1と2を文庫本で買っているので、手に取るのは少し先になりそうです。


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