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虹の彼方に 第11話 虹のステージ

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 唐突に店内の照明が落とされ、あたりは薄暗くなる。あたしは不安と期待が入り混じった気持ちになり、思わずそばに立っている水野先生の腕をつかんだ。
 先生は今どんな気持ちなの? 得能くんたちのライブが上手くいくか心配? それとも楽しもうと思っているのかな。

 人々のざわめきが徐々におさまり、みんなの目がステージに向けられる。

 ボーカルの独唱が突然響いた。
 とても伸びのある、そして力強い声が、あたしの耳を通り過ぎて心の奥にまで真っ直ぐに飛び込んでくる。

 ああ、これが得能くんの歌声なのね。

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2,014字
全部で10話ほどですが、1話は短めです。原稿用紙100枚を目処に書いた中編小説を改稿したものです。文字数換算すると、3万字強になります。

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