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2024.08.09 ライブナタリー Base Ball Bear‪ × Galileo Galilei @ Spotify O-EAST

かねてから大好きでライブにも数回足を運んだことのあるBase Ball BearとGalileo Galileiが対バンするということで、即チケットを申し込んだ今回のライブ。

運にも恵まれなんとかチケットをゲットすることができた。

あまりにも激アツな対バンすぎて即ソールドアウトしたこの公演。会場内は信じられないほどパンパン。それだけ多くの人が、この日を楽しみにしてきたことがわかる光景である。

筆者自身は歴史後追い勢でありながらも、この2組の共演を楽しみに待ってきた。夏は嫌いだけど、大好きなバンドが夏を歌ってくれるだけで見るものすべてが輝いて見える。

整番は最初の先行で当てたとは思えないくらい後ろのほうではあったが、そんなものはどうでもいい。私はこの夏をベボベとGGに捧げることに決めたんだ!!


ほら今 夏がスタート!


Galileo Galilei

会場が暗転したその瞬間から広がった大きな拍手の中、一番手として当時したのはGalileo Galilei。この日の編成はメンバー4人にサックスやフルートなどを担当する大久保さん、BBHFのギタリストDAIKIさんを加えた計6人。さまざまな形態でライブを行うGalileo Galileiのなかでも、かなりゴージャスめな編成である。全員が野球のユニフォームをモチーフとした衣装を着用している。

メンバーが定位置につくと早速演奏されたのはまさかの「ドラマチック」。初っ端からBase Ball Bearのカバーである。Galileo Galileiがこういうギターロック全開の楽曲を演奏することはあまりないため、サウンドの全てが新鮮だった。

歓声と拍手が早くも最高潮に達する中、ほぼ間髪入れずに演奏されたのは「夏空」。歌い出しから完全に会場の空気感を掌握している。

Galileo GalileiとBase Ball Bear、このふたつのバンドにはいくつかのつながりがある。そのうちのひとつが、どちらもアニメ「おおきく振りかぶって」の主題歌を担当したことがあるという点である。「ドラマチック」からの「夏空」の流れも、これを意識したものだろう。

会場にはこれらのアニメが放送されていたあたりの時期に思春期を通り過ぎた世代の人々が多く詰め掛けており、この一連の流れは一瞬にしてオーディエンスの熱量を上昇させた。


ここからはいつものGalileo Galileiが行うライブのモードにシフトチェンジ。ライブ定番曲である「バナナフィッシュの浜辺と黒い虹」を披露した。


「僕が高校生のときから聴いてきたBase Ball Bearと一緒のステージに立てる機会をいただけて嬉しいです。ありがとうございます!」

と、Vo.尾崎雄貴さんは憧れのベボベと対バンできる喜びをこのように語った。


ガリレオとベボベのもうひとつのつながりは、10代のアーティストによるコンテスト、「閃光ライオット」である。Galileo Galileiはこのコンテストの初代王者となったのだが、この時の審査員を担当していたのがBase Ball Bearだった。

「閃光ライオット」の企画の一環で、ガリレオのメンバーがベボベと直接電話をしたこともあったようだ。雄貴さんたちは当時とても緊張していたみたいだけど、ベボベ側はこの時のことを全く覚えていなかったらしい。

この日のために野球のユニフォーム風の衣装を作ってくるくらい、この日のガリレオは気合いでいっぱいである。「一球入魂、全力投球でいきます」と話す雄貴さんの声はとても力強い。


その後披露された「ファーザー」「ノーキャスト」「ピーターへ愛を込めて」は、いずれも昨年リリースされた『Bee and the Whales』に収録されている楽曲である。「夏空」のあとに聴くと尚更、このバンドが時間をかけて成熟していったことが分かる。

彼らの一番の代表曲である「青い栞」のイントロが流れると会場からは歓声が沸く。この曲を聴く度に、名曲は時間が経っても名曲であるということを実感させられる。


「僕たちは喋れば喋るほどにリスクを背負うバンドでして……(笑)言いたいことはいろいろあるんですけど、何も言わずにこのまま(演奏を)続けます」

その言葉の通り、ここから先はMCなしで「あそぼ」「ヘイヘイ」「燃える森と氷河」を流れるように演奏する。Galileo Galileiほど作り手のライフステージの変化がそのまま音楽になっているバンドは多くない。ひとりの青年が大人になり、そして父となる。その過程が音楽を通して分かるから、彼らはMCが少なくても十分に言いたいことが伝わるライブになるのだと思う。

どのライブでもほとんどラストに演奏される「Sea and the Darkness II (Totally Black)」が、今回も最後に演奏された。今回もガリレオらしい流れのライブだった。


1.ドラマチック(Base Ball Bearカバー)
2.夏空
3.バナナフィッシュの浜辺と黒い虹
4.ファーザー
5.ノーキャスト
6.ピーターへ愛を込めて
7.青い栞
8.あそぼ
9.ヘイヘイ
10.燃える森と氷河
11.See and the Darkness II (Totally Black)


Galileo Galileiの出番が終わり、しばらくすると会場中から緊急地震速報の音が鳴り響く。1300人分の音が小さい箱で鳴るので何事かと思ったら、神奈川周辺で比較的大きめの地震が発生したということである。

幸いにも渋谷はそこまで大きく揺れることはなかったためほっとした。その後スタッフさんからライブの続行が発表されると、会場はあたたかい拍手で包まれた。


Base Ball Bear

メンバーがステージに登場してすぐに鳴らされたのは「17才」のイントロ。最初から思春期を思い出すような爽やかな楽曲を披露するのはずるすぎる。

2曲目に「Short Hair」が続くあたりも本当に容赦がない。一瞬にして観客のノスタルジーは刺激され、過去を懐古するモードへと突入した。

そんなリスナーたちのことを「懐古厨のみなさん」と呼びつつあいさつをするVo.小出さん。Dr.堀之内さんから「そんなこと言わないの!!」と注意をされるところも含めて、いつものベボベという感じである。

こうやって過去を懐古しているがバンドは今が一番最高だという流れから「今日はお客さんのことボコボコにしてやりたいと思います!!そんなこと今公の場で言ったら炎上しますからね!!でもボコります」と突然暴走を始める小出さん。これに対し「さっきから何言ってんの!?」と突っ込む堀之内さん。堀之内さんはいつも我々が言いたいことを代弁してくれる。

そんな感じの流れで披露された3曲目は「プールサイダー」。筆者はこの曲きっかけにベボベ知った勢なので嬉しい。そこから「真夏の条件」と新旧夏ソングが立て続けに披露された。こうしてふたつの曲を聴き比べてみると、ベボベも時間をかけて成熟していったんだなということが分かる。同じ夏ソングというカテゴリーではあるけど、見つめているポイントが違うというかなんというか。

5曲目に披露された「夕日、刺さる部屋」は、最新ミニアルバム「天使だったじゃないか」収録曲。このアルバムからは視点が完全に“日常”ベースに切り替わり、バンドの変化をもろに感じさせる1枚になっていると感じる。実際にライブで聴くと、今のベボベのサウンドに最も寄り添ったナンバーだなということを改めて実感した。


「冒頭からドラマチックやってくれて、びっくりしたよね」
と小出さんは先ほどのGalileo Galileiのステージについて話す。今回ガリレオによって披露されたカバーは「おおきく振りかぶって」のアニメサイズver.らしく、ベボベでもどうやって演奏するかよく分からないらしい。

小出「バンドメンバーにサックスの方がいましたよね。時々フルートもやったりして。あれはずるいね」
堀之内「俺もサックス練習しようかな…それだとドラム叩けなくなるけど(笑)」
とGalileo Galileiの編成の分厚さを羨ましがるベボベメンバー。長きにわたって試行錯誤しながら幅広い音楽性を追究するGalileo Galileiの凄さを語る。

堀之内さんが「いや〜、なんか感慨深いね!こうやって自分たちが(閃光ライオットで)審査員を務めたバンドと対バンするなんてね……」と話すと、

「はい出た!!感慨深い!!感慨深いおじさん!!!」とおちょくり始めた。小出さんの観客全員敵に回していくスタイルはこの日も冴え渡っている。


ここでベボベもガリレオのカバーを演奏することに。カバー曲はガリレオがまだ10代だった頃にリリースされた楽曲であるということが告げられた。

小出さんはこの曲を「あの頃にしか書けない筆致ですよね」と評価しつつ、
「10代の頃に書いた曲がこうして今でも聴かれて、ライブでも演奏されたりしているのはすごいことですよね、僕が始めて曲を書いたのは15歳の頃なんですけど、あまりにも黒歴史すぎて誰にも聴かせられない…(笑)」と話す。

曲名を先に発表してから歌うか、先に歌い出して「あ、○○だ…!」と判断できるようにするかの二択を提示された我々オーディエンス。
お客さんのひとりが「歌い出し!!!」と叫んだことにより、曲名はこの時点では明かされない形となった。

静かになった会場に鳴り響く3人のアンサンブル。最初はアレンジも入っていたためわからなかったのだが、歌い出しの〈青い風の吹く 高い丘の上〉というフレーズで「管制塔」であることを確信。う、嬉しすぎる…。。なんて最高の対バンなんだ……。

バンドとしてのキャリアがベテランの域に突入してきているベボベだが、その演奏には青さ、そして初期衝動のようなものが感じられる。改めて「管制塔」という楽曲の良さを体感することができた。


ここからの流れは怒涛だった。「Endless Etude」で怪しげな空気を醸しだしたかと思えば、小出さんのアカペララップから始まる「The Cut」で一気に会場の空気を引き締める。普段音源で何回も聴いてきた楽曲だが、この場で改めて聴くと、小出さんのラップスキルに驚かされる。おととしベボベのライブを初めて見たとき、「この人ラップも上手いんだ…すごい……」となったことを思い出した。

「The Cut」での興奮冷めやらぬまま、演奏は彼らのキラーチューンである「LOVE MATHEMATICS」に突入。あのイントロは一瞬で人を惹きつける。この圧倒的なライブ運びの上手さが、今でも多くのファンの足をライブに向かせているということの証左である。ラストを爽やかな夏曲「BREEEEZE GIRL」で締めるという隙のなさすぎるセットリストで、ステージ本編は終了した。


アンコールは「さきほどGalileo Galileiがカバーしてくれた曲で終わります」と、「ドラマチック」を披露。夏のベボベをこんなに堪能できるなんて幸せすぎる。私の夏、もう思い残したことないです。ありがとうございました……


1.17才
2.Short hair
3.プールサイダー
4.真夏の条件
5.夕日、刺さる部屋
6.管制塔(Galileo Galileiカバー)
7.Endless Etude
8.The Cut
9.LOVE MATHEMATICS
10.BREEEEZE GIRL

〈アンコール〉
11.ドラマチック


最後はGailieo Galileiのメンバーもふたたびステージに登壇し、写真撮影タイムとなった。

ベボベの演奏に対し「ところどころ泣きそうになりました。『管制塔』のカバーも解像度高くて嬉しかったです…ありがとうございました!」と素直な心境を吐露する雄貴さんに対し、「本当ですか……?」と疑り深い返事を返す小出さん。

これに対して雄貴さんが「誰のことも信じていないような目をされているじゃないですか。そういうところがずっと好きでした…!」とファンの総意みたいなことを言ってたのがとてもよかった。


どこで話していたかは忘れてしまったけど、小出さんは今回のライブを「回顧的ではあったけどなんかフレッシュでした」と話していた。いまのガリレオ、ベボベがベースとなったライブを行いながらも、ところどころで若さ、そして青さの片鱗が見えたライブであった。筆者は歴史後追い勢なので、このバンドを「青春だった」と懐古できる人たちがとても羨ましいなと思った一日だった。

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