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悪寒から始まった、日曜日の出来事。

昨日の午前中、夫が「なんかやたら寒くない?」と数回言った。寒波襲来で寒いのは確かだけど、エアコンがついた室内でそれを言うものだから、ん?これはもしや、と察する私。案の定、一時間もしないうちに「やばい、悪寒かも」「ちょっと寝るわ」ときた。夫の体調不良は、いつもたいてい悪寒から始まる。


夫は毎週月曜から金曜まで関東に出張している。部屋を借りていた時期もあったけれど、幾つかの理由で今はずっとビジネスホテル滞在だ。この週末婚のような生活が始まって、もう三年目になる。
二週間前のこと、大阪に帰ってくる予定だった土曜の朝に夫が体調不良を訴えた。すぐに近くの医院に駆け込んだところ、インフルエンザB型の診断。当然帰阪は出来ず、そのままホテルにひとり軟禁状態になった。家にいる時であれば家族への感染など違う心配はあるものの、高熱で立ち上がることもままならない時に、ホテルで一人闘病するというのもなかなか辛いものがある。時折メールで状況を聞くほか、娘たちに「とーちゃん はやくげんきになってね」と喋らせた動画を撮り、それを送るくらいしか私には成す術がなかった。
結局夫は水曜までの五日間をホテルで過ごし、木曜の午後に大阪に帰ってきた。週末に大好きなとーちゃんに会えず寂しがっていた娘たちは、文字通り飛び上がって喜んだ。


そんな出来事があったうえでの、昨朝の悪寒カミングアウト。平日はコンビニや定食屋でほとんどの食事を済ませていることを知っているだけに、さもありなんと思わなくもないが、とにかく今は出来ることをやるしかない。
まずは我が家の定番、葛根湯一包とアコナイト200Cをひと粒。仙骨にカイロを貼って、布団の中には陶器の湯たんぽを仕込んだ。
待ちに待った週末、とーちゃんとお出かけできると思っていたのにそれが叶わず、意気消沈している長女をなだめ、次女を寝室に行かせないように目を配る。土日は昼夜共に夫が食事を作ってくれることが多いのだけど、それも急遽私担当に。昼ごはんを食べさせたあとは、次女を抱っこ紐で寝かせて夫の隣の布団に運び、長女が最近ハマッている「ナンプレ」にしばらく付き合った。

そうこうしているうちに夫と次女が同じタイミングで起きてきた。お腹は空いていないと言ったけれど、何か身体が温まるものをと思い甘酒を作ることに。麹甘酒の甘さが苦手な夫が好むのは、酒粕とはちみつで作った粕酒だ。それをふうふう飲んでいるうちに、悪寒はほぼほぼ治まったようだった。よかった、これできっと嵐は過ぎ去った。


自営業者は身体が資本。そのためには食事だよ、とはあまり口にしないようにしている。それくらい、私が言わなくたって夫本人もよくわかっているからだ。わかっていても、そこに時間や手間をかけるより、今はやりたい仕事をやりたいのが彼の本音なのだ。元気でいてほしい、でもやりたいこともやってほしい。本当はどちらかを犠牲にするようなことではないはずなのだけど、今はシーソーのような状況になっているのもまた事実。そして本人が本気でそれを変えたいと思うまで、こちらがすべきことは、意外と少ない。


夕食はあるもので簡単に済ませ、夫は娘たちとお風呂に入ることに。重曹とクエン酸をたっぷり入れた、高濃度の炭酸風呂だ。しっかり浸かって温まってねと言ったせいか、いつもより少し長風呂だった気がする。
娘たちを寝かしつけたあとは、二人でテレビを見ながらお酒を飲むのが常なのだけど、昨日はそのまま一緒に寝ることにしたらしい。カイロを貼り直し、湯たんぽのお湯を入れ替え、加湿器のタンクに水を補充し、私が寝室に行ったときには夫は既に半分寝落ちしていた。体力ゲージの回復まで、あと少しといったところだろうか。娘たちも完全に眠ったあと、私は寝室を抜け出してしばらくの間ひとりパソコンに向かった。

月曜の早朝、いつも夫はまだ寝ている私に「いってきます」と小声で声をかけて家を出て行く。今朝もそれは同じだった。
私や娘たちがのんびり起きてきた頃、スマホにメールが届く。昨夜早寝をした甲斐あって、夫の体力はすっかり回復したようだった。「いろいろありがとうね」うん、確かにいろいろ手を打ってみたから、どれかは効果があったのかもしれない。でも本当は、今日から口にするものにも気をつけて欲しいんだけどな。それを言うべきか、言わざるべきか。心配したり口うるさく言うのは簡単だけど、そうすることはときに自分の正義の押し付けや、相手への不信頼に繋がるから難しい。お酒やタバコを存分に嗜んでいても、偏食であっても、ニコニコ元気な人がいることも忘れてはいけない。そんなことを頭のなかでしばらく考えて、結局何も言わないことの方が多い。出来ることと言えば、元気でいてくれるよう祈ることと、何かあったときに決して責めずに寄り添うことくらいだ。


「今週もがんばってくるね」
「うん、ほどほどにね」
 

さあ私も娘たちの支度を整えて、家を出よう。今週はまだ、始まったばかりだ。

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