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ドアと鍵の物語2〜第一章 2

かなり久しぶりにフランスへ到着し、タクシーの中から街並みを眺めている。18年前に立ち寄った時の印象は淡いキレイな街並み、その印象は基本的には変わらない。3月下旬の午後のパリ、今朝家を出る時東京はすでに春だった。ダウンジャケットを直前まで着ていたのだけど、流石にもう春なのに季節外れと我慢できずに極薄い春向けのジャケットに着替えたところだった。モロッコへは来て行った中厚手のジャケット。パリはまだ寒いことを3年の間にすっかり忘れていた。3年前に行ったアムステルダムは12月でもかなり寒かったではないか。ヨーロッパの緯度は北海道あたりに相当することを覚えてはいるのだけど、つい薄着で出かけてしまった。どうしよう。

結局友人にカシミヤのセーターを借りることにして、街中で毛糸の帽子と手袋を購入し、家に何着もあるダウンジャケットを買うのはやめてした。確実に東京では邪魔になるからだ。

タクシーは半時間ほどでパリ市内の友人のアパートへ到着し、ドアを開けて階段を登っていく。玄関のドアは一階にあり居住空間は2回から始まる。階段の上に取り付けられたモロッコの照明が光と影を壁に落としていた。モロッコから繋がる旅の第二章、ここではどんな出会いがあるのだろうか?そして開かなかったドアと開けられたドアはどこへ行ったのだろうか?書いていくにつれハッキリしていくに違いない。だから続けて書いてみよう。

荷物を開けてタバコを取り出して彼に渡す。日本のデザインのタバコを空港の免税店で買ってきてほしいと頼まれていたのだった。今や日本でのタバコの値段はヨーロッパで買う値段の1/4から1/5で、1カートンで20ユーロほどだというと、信じられないという表情をしていた。60〜80ユーロくらいするらしい。

さて、フランス語習い始めて2ヶ月。アルファベから挨拶、自己紹介などを習ったけどレストランでの注文もできる気がしないし、何かをフランス語で伝えることが全く想像できない。英語が通じるから使わないのかもしれないけど、今半年経って振り返るとフランス語のインプットの絶対量が足りていない感覚だった。お店に行って買い物をしたり、電車の行き方を尋ねたりするにはある程度の聞き取りが必要で、この時点では地下鉄の駅の窓口で回数券を買うのがやっとだった。

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