精神科で働くということ
私の職業は看護師だ。一重に看護師と言っても内科や外科などの診療科、または病棟か外来かクリニック勤務なのか等々によってかなり仕事の内容は違ってくる。
自分が新卒で入職したのはとある混合科病棟だった。自分で希望した配属先だったが、数か月で休職してしまった。病棟看護師としてバリバリやっていけると信じていたが、無理だった。理由は詳しくは書かないが、心も体も不調になってしまった。
しばらく休職させてもらい、転属させてもらった先は精神科の病棟だった。今もそこで働いている。
精神科というと看護師、看護学生は一度は領域実習でお世話になっているからわかるとおもうが、かなり独特だ。「精神科で働くなんて絶対無理」「精神科実習で結局何を成し遂げたかわからなかった」という意見は自分の周りの看護師でも結構多い。私も最初はそう思っていた。
精神科に入院している患者さんの多くは統合失調症と診断された人たちだ。(閉鎖病棟なのか開放病棟なのかによって割合は変わってくると思うので、多いんだなくらいに思っていて欲しい。)幻聴が聴こえたり、妄想に囚われてしまい生活が成り行かなくなってしまった人たちが入院している。次に多いのが躁鬱、そして認知症、と続く。ざっくりいうと私たちの仕事は、薬の調整ができるまで患者さんが安全に不安なく過ごせるように身体面、精神面からサポートすることだ。
いわゆる「癖のある患者さんたち」と接する毎日は驚きと戸惑いだらけだったが、なんとか今日まで働けている。なぜ続けられているか、一番の理由は人間関係の良さだと思う。なぜだか精神科の病棟というのは意地悪な先輩、怖い先輩が少ない。これは私のいる病棟だけでなく全国的にそのような傾向がある気がする。(傾向がある、というだけで必ずしもそうであるとは断言しないが。)コミュニケーションが仕事の半分以上を占める精神科看護師という仕事柄、相手のことを考えて声を掛ける風土が出来上がっているのかもしれない。そもそも看護師という職業なら他人の立場に立って声をかけるというのは基本中の基本だが。まあ「看護師は気が強い」なんて言われる事も多々あるように、命のやりとりかある場面では悠長にそんなことは言っていられないこともあるだろうけど。
看護師を目指している人、もしくは一度配属された場所で上手くいっていないと思っている人がいたら精神科で働くことも視野に入れてみて欲しい。(もちろん精神科なので身体科の技術や知識は増やすことが難しい場合もあることは考慮したほうがいいかもしれない。)