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チェンジマネジメントとの出会い

1年半前、私はアメリカのIT企業の日本支社での職に就いていました。私は、B2Bのセールス組織に所属し、営業、マーケティング、プリセールスエンジニアなど、約150人のスタッフと協力し、一般的に「チャネル」や「流通」と呼ばれるステークホルダーと協力してビジネスを展開していました。

パートナーマーケティングマネージャー(シニア担当者レベル)として2年が過ぎた頃、事業部長であるYさんから、本社の指示で新設される事業部長直下のリーダーロールを提案されました。当時の直属の上司であったTさんは、「役割やスコープなど未知の要素が多く、動きが難しい可能性もあるが…」と心配そうに語り、積極的に勧めているわけではありませんでした。

"Partner Transformation Change Management Strategy Lead"とは?

この名前はこれらの単語を6つ並べたものですが、正直に言うと、「パートナー」以外の5つの単語から、どのような文脈や内容を指しているのか理解できませんでした。「トランスフォーメーション」、「マネジメント」、「ストラテジー」、「リーダー」。これまで15年以上にわたり、IT業界でのセールスおよびパートナーマーケティングの実務経験があり、これらの単語はなじみ深かったものの、積極的に考えたことはありませんでした。

私自身、これまでは顧客やパートナー企業と接し、裁量のある現場の仕事が好きでした。一方で、何かを管理する仕事にはあまり興味がありませんでした。私自身や身の回りのことに関しても、物事、時間、お金、人間関係など、整理することが得意ではありませんでした。というわけでこれらの単語の中で、私から最も遠いものは「マネジメント」でした。

また、これらの単語が一堂に並ぶことに疑念を抱いており、特に「チェンジ」には違和感を覚えました。日本語では「変更」?「変革」?事業部長のYさんは以前の職場で、M&Aの際などに「チェンジマネジメント」の経験があると言っていました。将来的にはリーダーのポジションを目指してほしいという前向きな提案であり、新しい役割であり、前任者がいないため、挑戦してみることにしました。

スポンサーの重要性

最初に、米本社が規定している「役割と責任」に含まれていた、日本支社でのチェンジチームの構築に取り組みました。これまでの担当者の役職から2つの階層上の新しい役割を果たすことは、注目され、さまざまな期待を背負いました。特に、これまで各営業やマーケティングなどが扱っていた難解な中長期的な課題を私が解決し、実行することが期待されました。ただし、本社からはこのロールが戦略的で高度なものであると強調されていたため、私一人ではなく、本社が計画しているチェンジプロジェクトが日本に与える影響を考慮し、事業部長や他のリーダーと役割と責任を話し合いながら(時には課題に直面しながら)、日本支社でのチェンジチームの構築案を作成し、事業部長から承認を得ることにしました。

その後、すぐに「Prosci®チェンジマネジメント」の認定資格を取得し、その方法論を学びました。その中で、Prosci® PCT ™(Prosci® Change Triangle) Modelはプロジェクトの成功において重要な要素を表すものでした。

出典:Prosci®社 PCT™ Model

・Success(成功):プロジェクトの背景、理由、目的、利点
・Leadership/Sponsorship(リーダー、スポンサー):プロジェクトに対する指示やガイドを行い、戦略や方向性に責任を負う。
・Project Management(プロジェクト管理):機会を活かし、問題を解決し、変更の技術的側面に対応するソリューションの設計、開発、提供を行うチーム。
・Change Management(変革管理):変更に影響を受ける個人が変革を受け入れ、確実に適応できるようにする方法に焦点を当てる。

Prosci®によれば、これらの3つの要素が欠けたり、それぞれの要素が不足している場合、中心の成功が揺らぎ、プロジェクトは失敗する可能性があるとされています。

私が特に重要視したのは、スポンサーの指名です。支社では、米本社が立案した戦略を実行する変革プロジェクトに対する関心が薄く、結果的に計画した目的が達成されない状況がいくつかありました。これを回避するために、組織の方向性と変革プロジェクトの一致を確認し、なぜそのプロジェクトが優先事項であるかを定義し、プロジェクトに対する権限とリソースを持ち、意思決定を行い、社員やパートナーに対してプロジェクトの進捗を示す役割としてスポンサーが重要であると考えました。そのため、事業部長であるYさん直下のシニアリーダー3人に、各変革プロジェクトのスポンサーを引き受けてもらうことにしました。

このPCTモデルを理解することで、私は少し安心しました。なぜなら、チェンジマネジメントリードの役割は、変革に影響を受ける社員やステークホルダーをサポートする黒子のような役割であり、表部隊に出るのは主に従業員の行動変革を働きかけるリーダーやマネージャーという整理ができたからです。

今後、Prosci®のチェンジマネジメント方法論に基づいて、組織の変革を成功させるためのアプローチを適用し、スポンサーとしてのシニアリーダー、米国本社のプロジェクトメンバー、そして他の地域のチェンジマネジメントリードと協力しながら、仕事との関係に新たな視点を持つこととなった経験を共有したいと思います。

参考:Prosci®


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