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個人が経験するチェンジのプロセスを理解しよう

例えば、あなたは女性向けにプラントベース食習慣改善プログラムを主宰しているとします。参加者向けに1日3食×4週間分のメニューを開発して渡せば、皆がそれを見るだろう。皆がすぐにそれを使って新しい食事を作り始めるだろう。皆がそれを効果的に使うだろう。プログラムが終わっても、その習慣は続けられるようになっているだろう。もし、これらの仮定が正しければ、参加者の変化は毎回望ましい結果をもたらすでしょう。

しかし、現実はそうはいかないことがあります。あなたがそれを開発すると、一部の人々はそれを活用しますが、必ずしも全員がそうするわけではありません。一部の人々は変化を受け入れず、代わりの方法を見つけたり、単に選択をやめたりするかもしれません。始めるのに時間がかかる人もいるかもしれません。一部の人々は速く変化するかもしれませんが、他の人々は非常にゆっくりと動くかもしれません。最後に、それぞれの人がそれを異なるレベルの熟練度で使用します。一部の人々は非常に効果的に、一部の人々は適切ではない使い方をするかもしれません。

チェンジはスイッチではない

変化とは、現在の状態から移行状態を経て、将来の状況に至る動きです。また、変化はスイッチ1つで完了するものではなく、3つの状態で表現されるプロセスです。そのような変化をマネジメントする目的とは何か。それは、将来の状態が実現され、変化の目的が達成される確率を高めることです。チェンジマネジメントは、現在の状態から将来の状態への変化の人的側面を管理するためのプロセスとツールの適用と位置付けられます。

State of Change

例として、私自身のプラントベースの食事習慣への変更をプロセスとして捉えてみます。

Current(現状):肉や魚を中心とした標準的な食事から、プラントベースの食事に切り替えようという意識が芽生え、食事の選択や調理方法について学んでいる段階です。好奇心旺盛で挑戦的な状況です。

Transition(移行期):学んだ知識を実際の食事に活用し、肉や魚を少しずつ減らし、野菜や果物、豆類、穀物などのプラントベースの食材を増やしていく段階です。この期間は試行錯誤が多く、ある日は成功を感じ、ある日は挫折を感じることもあります。実践者であり、冒険的な態度を持ちながらも、まだ模索中の状態です。

Future(将来):プラントベースの食事に完全に切り替え、それがライフスタイルの一部となっています。肉や魚を欠いても満足感のある食事を作ることが自然とできています。また、体調やエネルギーレベルの変化を感じ、自身の健康に対する意識が高まっています。達成者であり、自信に満ち、健康志向を持っています。

個人のチェンジマネジメントにADKAR®を使用する

このように個人がプロセスとしてのチェンジを経験するときには、変化の経路として5つの段階があることをADKAR®モデルは示しています。

Prosci ADKAR® Model

• Awareness:変化の必要性に気づくこと
• Desigre:変化に参加し、支援する意欲
• Knowledge:変化の方法に関する知識
• Ability:新しいスキルや行動を実施する能力
• Reinforcement:変化を維持するための強化

適用例として、プラントベースの食事習慣へ変化する際に、私がたどった経路をADKARを使って説明します。

A
(Awareness):環境問題への意識や自身の体調、健康への配慮、またイギリスにおける食事の多様性(ハラール、ベジタリアン、ビーガンなど)からプラントベースの存在を知り、また身近な人が取り組んでいることからも興味を持ちました。

D(Desire):肉や魚を主菜とした食事を変えることは簡単な決断ではありませんが、長期的に自分自身の健康や食事にまつわる負担軽減を考えることで、その欲求が形成されました。

K(Knowledge):プラントベースの食事への切り替えには、栄養素のバランス、適切なメニュー、食材など、新しい知識が必要でした。専門家からの知識を得ることで、健康的な食事習慣の維持や負荷の軽減を実現しました。

A(Ability):食材の調達やレシピの試行錯誤、自身の体調や反応の観察など、具体的な行動に移り、それを自身の能力としました。

R(Reinforcement):新しい食事習慣が続くように、プラントベースの食事がもたらす健康や気分の変化を確認したり、新しい食事スタイルによって個人経営の農家に貢献していることに意識を向けました。また、食事を振り返ったり、同じ価値観を持つ人々との交流なども意識しています。

組織においても変革の成果は個人の変化の集合結果です。そのため、マネージャーが変化に対するメンバーそれぞれの移行状況を把握する際に、ADKAR®をコーチングツールとして利用することができます。その際、対話を変化の経路に集中させ、単に変化への抵抗という非生産的な会話を避けるようにコミュニケーションを明確にすることができます。
変化のためのフレームワークを持つことは、ビジネスリーダーがぼんやりとしたメッセージをメンバーに送ったり、誤ったトピックに時間を費やすことを避けるのに役立ちます。

参考:


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