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行動を誘うデザインパターン集

人の行動を誘うデザインパターンを101個集めた「Design with Intent 101 patterns for influencing behaviour through design」から興味深い事例を紹介します。

どの事例もシンプルで簡単なものばかり。小さいデザインでも大きく人の行動に影響することを実感できます。多くの事例に共通していることは「なるべく人に熟考させない」「フィードバックを与える」の2つな気がします。

Creative Commmonsで配布されており無料でダウンロードできるの更に詳しく知りたい方はこちらから

「周囲の環境」をデザインすることで建築だけに限らず、都市計画や犯罪防止、交通マネジメントなどにも応用できる考え方です。プロダクトデザインやインタラクションデザインの参考にもなります。

例えば角度を付けることでちゃんと捨てさせる灰皿。きちんと入っていない吸い殻はこれでなくなりそうです。

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空港によくある歩く歩道。これは移動を早くするだけでなく、グループ旅行者が横並びで歩き、通路のブロックしないようになるため混雑を避けられる効果もあるんだとか。たまにブロックされますけどね!

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次は人が間違いをしないように(もしくはできないように)するようなデザインです。多くは人間工学デザインの分野に見られます。人の態度を変化させるよりは「目標とする行動を必ず取ってもらうこと」に重きを置いているそう。

例えばATMではカードを取らないと現金が出てこなかったりします。

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SIMカードは向きを間違えないように角が削られていますし、USBメモリーも同様に裏表を間違えない工夫がされています。

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インタラクション的な事例もあります。人とシステムの相互作用で行動に影響を与えようとする考え方です。主にPCやスマホが提供する情報で人の行動にどんな影響があるのか研究するPersuasive Technology(説得的技術)の分野で見られるそうです。

例えば、海外でよく見るスピードメーター。車体ナンバーを撮影し、宝くじに自動でエントリーさせてくれたらもっとドライバーが速度を守りそうです。

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また、どれくらい進んだかを見せてくれるプログレスバーなど。これは転職サイトやLinkedin、アンケートフォームでよく見ます。

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とはいえ、楽しくないと続けられないのが人間です。ゲームや遊び心ある仕掛け、社会心理学を活かしたデザインの事例です。

例えばお金がくるくる回る募金箱にしてみる。もやは募金が目的なのか、遊びたいのか分からない2重の目的性があるようです。

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当たるかどうか分からない不確実性を加えてみたりすることもできます。だからギャンブルはやめられません。

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次は記号論、生態心理学、ゲシュタルト心理学などを合わせ目に入ってくる情報だけでなく音、匂い、触覚を使って人の行動を変えようするデザインです。

例えばダイソンの掃除機は吸ったゴミが見えるようになっています。ゴミ捨てのタイミングもよく分かりますし、ダイソンがいかに効果的な掃除機なのかも実感できます。

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看板や明確な境界を作らないことで逆に歩行者、車、自転車がそれぞれに注意を払うようになります。安全であると感じるほどリスクのある行動を取ってしまうペルツマン効果を逆手に取った例です。

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最後に行動経済学、認知科学から来るヒューリスティック(=経験や勘)、バイアス、意思決定の知見を活かしたデザインです。

例えば先に良いことをされると「お返ししなければ」と思ってしまったり、

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他の人がどんな行動を取っているか教えたりすることです。これで何冊本を買ったかわかりません。

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あ〜こんなアイディアを簡単に思いつきたい方のためにDan Locktonさんは他にもNew MetaphorsというカードキットをPDFで無料で配布しています!

引用[Design with Intent 101 patterns for influencing behaviour through design by Dan Lockton with David Harrison & Neville A. Stanton]


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