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インドで下着をつくりたい その3

前回のつづき。

意欲溢れる人達のパワーを活かさないと、もったいない!

そう思いながら1回目の滞在(2010年10月~11月)を終えた私は、2011年1月、再びSaurath村に戻りました。

「おかえりなさい!」

「帰ってきたのね!!」

村の人たちが、「本当に帰ってきた!」と驚いていました。「また来るよ」と言っても、まさか本当に戻ってくるとは思っていなかったようです。

おしゃれな女性達

インド滞在の楽しみの一つ。それは、インドの衣装はとても美しく、見ていて飽きることがないことでした。特に女性達はとてもお洒落で、一人一人着ている物の色や柄が違い、布の巻き方を工夫したり、アクセサリーの付け方を工夫したり、そのセンスに私はいつも感心していました。

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ところが、一緒に過ごしているうちに、その衣装の下に見え隠れする下着が気になり始めました。

インドの衣装は体にフィットして襟元が大きく開いたデザインが多いため、下着の形がくっきり見えたり、ストラップが見えることがよくありました。でもお世辞にも、そのチラ見えする下着は素敵とは言えず、外見のおしゃれとは対照的な”ダサい”物でした。

それに、呼吸が心配になるほどギューッと食い込んでいる人も多く見かけました。

こんなに素敵な衣装を着ているのに、下着がおしゃれを台無しにしているサイズの合わない下着は不快だし、健康にも悪そう。

みんな、どうやって下着を買っているのだろう?

そう思った私は「女性用の下着屋さんに行きたい。」と伝えました。


下着屋さんで受けた衝撃

そして到着したのが、車で30分のMadhubani townにある、こちらのお店。

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↑とても親切な店員さんでした

!!?

なんと、女性の下着を売っているのが、男性だったのです。

さらに。写真の通り、沢山の物が積み重なっていて、この人に希望を伝えないと、商品を見ることもできません。

「下着が欲しいのですが」

そう伝えると、

「サイズは?」「どんなタイプの物がいいの?」

と聞かれました。

「サイズがわからない」

と言うと、

「うーん。このくらいのサイズかな?」

と、私の身体を見て、適当なサイズの物を出してくれました。

・・・・・。

男女の差がはっきりしているこの土地で、女性達はこの男性に下着のサイズや好みを伝えられるのでしょうか。「もっとセクシーなのが良い」だの「可愛いのがいい」だの、言えるのでしょうか。

女性のみんなが感じていたこと

村に帰って、女性達に「下着はどうやって購入するのか」聞いてみました。すると、

「自分で買うのは恥ずかしいので、家族に買ってきてもらう」

「男性から買いたくないので、出稼ぎの家族に頼んで送ってもらう」

「サイズが合わなくても、そのまま使っている」

「ブラジャーのサイズは難しくてよくわからない」

多くの女性達が、下着を買うことに恥ずかしさや不便を感じていました。

さらにメーカー勤務の私としては「お客様とコミュニケーションが取れない!?え!?どうやって商品企画するんだ?」と驚きました。下着メーカーにとっても、これは悪い状況なのではないか?と。


そこで、

「インドで下着をつくりたい」

となったわけです。

(実際は、その前に女性店員の女性のためのお店を立ち上げました。そのお話はまた今度)


インドは仕立て屋文化があるので、服を作る人は沢山いる。沢山の色柄の服がある。でも、この色柄の下着を作っている人はまだいない。

インドの衣装のように、見るだけで、選ぶだけで楽しい下着を

あの意欲溢れる女性達と共につくりたい!

こうして私は、その後8年間「インドで下着をつくりたい」と、人に話すようになったのです。

〜「インドで下着をつくりたい」おわり〜


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↑スパンコールの刺繍ができる女性も村に沢山います。デザインはオリジナルだそうです!