見出し画像

JR高速バス新東名スーパーライナーで名古屋から東京へ

これまで高速バスの旅行記を書いたことはなかったが、今後は高速バス旅についても書いていきたいと思う。回数は少ないかもしれないが、鉄道に引けを取らないくらいの旅行記を書いていきたい。

そんな中で今回は東名・新東名高速道路を経由する名古屋ー東京間の新東名スーパーライナー号の乗車記をお届けしたい。


東名ハイウェイバスの歴史

東名ハイウェイバスは、東京から静岡、浜松を経由して名古屋へ、東名高速道路・新東名高速道路などを経由して結ぶ昼行便の高速バス路線である。正式な路線名は東名高速線。

1969年(昭和44年)6月10日 、日本国有鉄道自動車局(国鉄バス)によって運行開始された。

1987年の国鉄分割民営化後は東日本旅客鉄道・東海旅客鉄道が運行し、翌88年以降はバス部門を独立させ、ジェイアールバス関東・ジェイアール東海バスとして運行している。2005年にジェイアールバス関東の系列会社であるジェイアールバステックが参入し、3社での共同運行となった。

「急行」や「特急」などの種別は停留所の数の違いで、運賃や特別シート料金以外に急行料金等は不要である。
便により、3列シート・4列シート・ACコンセント有無・補助席有無など車内設備が異なるが運賃は同額。特別シート(プレミアム、ビジネス)を利用する場合のみ運賃+特別シート料金が必要となる。
東名ハイウェイバスは昼行便のみ運行で、夜行便はドリームなごや号系統やドリーム静岡・浜松号がある。
新東名スーパーライナーは2016年2月13日に開通した新東名高速道路浜松いなさJCT - 豊田東JCTを当初通らなかったが、同年4月4日のダイヤ改正より開通している全区間(御殿場JCT ー豊田東JCT)を経由するようになった。

急行(全停留所に停車)
東京駅 - 静岡駅(1日6往復)
静岡駅 - 名古屋駅(1日1往復)

特急東名ライナー:東京駅 - 浜松駅(1日3往復)

超特急スーパーライナー:東京駅 - 名古屋駅(1日7往復)

新東名スーパーライナー:東京駅 - 名古屋駅(新東名高速道路経由、1日8往復。東京駅 - 名古屋駅間ノンストップ)

新東名スーパーライナー新宿号:東京駅・新宿駅 - 名古屋駅(新東名高速道路経由、1日3往復。バスタ新宿 - 名古屋駅間ノンストップ)

途中休憩
乗客も車外に出られる、いわゆる開放休憩となる。渋滞や遅延の影響で場所・時間が変更になる場合があるが、1箇所あたり10〜15分程設けられる。

東京駅 - 静岡駅系統:愛鷹PA。

静岡駅 - 名古屋駅系統:(下り)美合PA / (上り)赤塚PA。

東京駅 - 浜松駅系統:足柄SA。

東京駅 - 名古屋駅系統(東名経由):足柄SA・日本坂PA(JRバス関東とJRバステックのみ)・(下り)美合PA / (上り)赤塚PA。

東京駅 - 名古屋駅系統、東京駅・新宿駅 - 名古屋駅系統(新東名経由):足柄SA・遠州森町PA(下り1本は海老名SA・清水PA・長篠設楽原PA)。

乗務員交代
JR東海バスは超特急スーパーライナーと東名ライナーの一部便が東名静岡バス停で乗務員交代がある。

JRバス関東とJRバステックの特急・超特急は途中交代が無いため、JR東海バスよりも休憩が1回多い(日本坂PA)。

直行「新東名スーパーライナー」はJRバス関東の一部便において道の駅もっくる新城(新城インターチェンジ近接)での乗務員交代がある。JR東海バスとJRバステックでは途中交代無し。

新東名高速道路について

新東名高速道路は御殿場インターから静岡方面に進んだ御殿場ジャンクションから分かれて豊田東ジャンクションまでの約228Kmをつなぐ道路で2016年までに暫定開通している。

暫定としたのは御殿場から東側の区間、新秦野インターまでの建設工事が継続しているためである。全線にわたり直線区間が多く、高規格道路であるため路盤も安定しており、静岡県区間の浜松いなさJCTー御殿場JCTは6車線化され、最高速度が120km/hに引き上げられている。

2箇所の休憩で快適移動

今回は名古屋駅から東京駅日本橋口までの5時間弱を存分に楽しむことにしよう。

名古屋駅JRハイウェイバス待合
乗り場は4箇所あり、ハイウェイバスは新幹線口から発車する。
15:00前後に各方面へのバスが出発する。

名古屋駅は新幹線が発着する太閤通口のJRハイウェイバスターミナルから発車する。乗車するのは名古屋駅15:00発の新東名スーパーライナー18号である。新東名スーパーライナーは概ね1時間おきに運行しており、高速バス路線では高頻度運行路線に分類できる。

東名、新東名高速道路経由のバスは3番のりばから発車する。新東名スーパーライナーの後に東名高速道路経由のスーパーライナーが発車する。スーパーライナーも満席であった。

この日使用されたのは4列シートのハイデッカー車で標準的な車両と言える。JR東海バスでは一部便で2階建てバスによる運行もある。こちらは2階席に座席間隔の広いビジネスシードが設定されており、快適な移動が楽しめる。

①名古屋駅新幹線口→遠州森町PA

名古屋駅新幹線口を15:00定刻に発車した。発車後は名古屋の摩天楼の間をくぐり抜け、一般道を走行する。およそ15分で名古屋高速山王入口から高速道路に流入する。

笹島交差点

ここから首都高速霞が関出口まで高速道路(都市高速を含む)を走行する。名古屋高速4号東海線を南へと走る。4号東海線は名古屋高速の中でも新しく建設された道路である。名古屋港を右横に眺め、左手には大小の工場群を横目に東海ジャンクションまで進む。東海ジャンクションで伊勢湾岸自動車道に接続し、豊田方面へと進む。

バス車内では休憩箇所と降車停留所が案内される。

ここからは高速道路となる。3車線道路で住宅街走行する区間もあり、全線にわたって高架と防音壁に覆われ、景色を楽しむことはできない。刈谷PA、豊田南インターまで進むとトヨタ自動車の工場も見えてくる。ここから全国へ世界へと向け自動車が生産されていることを実感する。進路を北東寄りに変えると豊田ジャンクションを通過する。東名高速道路と接続するが、当便はさらに直進する。

豊田東インター出口案内板。
1番が豊田東ジャンクションとなる。

左手に豊田市の街並みが望める。豊田東インターを通過する。豊田東インターの先で矢作川を渡った先の豊田東ジャンクションが伊勢湾岸自動車道で、ここで東海環状自動車道と新東名高速道路が分岐する。

矢作川
豊田東ジャンクションの案内。東海環状自動車道は左側から分岐する。

新東名高速道路の特徴は東名高速道路の代替であるが、極力、カーブを少なくし東名高速道路と比較しても距離が短くなるよう設計されている。山合に建設しているため、トンネルが多いのも特徴である(豊田東ジャンクションから御殿場ジャンクションまで約50箇所)。

岡崎東インターから長篠設楽原PAまでの区間、観音山トンネルから雁峰(がんぼう)第一トンネルまでは9本連続するため、トンネル入口の長さ表記の右側に「〇/9本」と記載されており、1本目なら1/9といった具合である。9本の連続トンネルを越えると長篠設楽原PAである。ここは長篠の戦いで有名な場所で周囲には古戦場が残っている。新城インターを降りた国道沿いには道の駅・もっくる新城があり、長距離夜行バスなどは乗務員交代が行われる。新城インターを過ぎると、次の浜松いなさJCTから静岡県に入る。新東名高速道路が最初に開通した区間の終点であり、ここから連絡線で東名高速道路・三ケ日JCTに接続していた。現在は飯田方面の三遠南信自動車とも接続している。

ここから上下6車線区間となる。最高速度120km/hの表示が目に留まる。引佐トンネル、三岳山トはままンネルと距離の長いトンネルを越え、浜松SAを通過する。スマートインターが併設されており、新東名高速道路にはこうした場所がいくつか存在する。ETC設置が主流となった今では当たり前となっている。浜松浜北インターを通過し、新天竜川橋をわたる。連日の大雨で濁流であった。名古屋駅を発車して約1時間30分で最初の休憩地遠州森町PAに到着した。このPAは一般車と大型車の駐車スペースが区分けされており、高速バスは大型車区画に停車した。

遠州森町PAに休憩する旨の車内案内

②遠州森町PA

PA入口。飲食店がありそばが有名らしい。

ここで15分間の休憩が設定された。どのように過ごすかが重要であるが、まずはお手洗いを済ませ、PA内を散策した。発車までの15分は長いようで短い。車内禁煙が徹底されており、喫煙スペースを利用する人も多く見られた。

③遠州森町PA→足柄SA

16:50頃にPAを発車した。
しばらくは3車線の高規格道路を走行する。東名高速道路と比較して山あいを走るためトンネルが多いことは先述したとおりである。掛川PAー島田金谷インター間にある粟ヶ岳トンネルは全長4,522mで上り線最長である。トンネル出口すぐに大井川を渡り、大井川鉄道の線路も確認できた。島田金谷インターから藤枝PA間の矢倉山トンネルから寺島トンネルまで5本のトンネルが連続する。静岡SAから新静岡インター間にも5本の連続トンネルが存在する。新静岡インターチェンジ手前から雨が降り出し、時折強く打ち付ける降雨の中を走っていた。

新清水JCTでは東名高速道路への連絡線と中部縦貫自動車道身延・甲府方面に接続する。新清水インターを通過し、芝川高架橋を過ぎると全長4,503mの富士川トンネルに入る。富士川トンネルは粟ヶ岳トンネルに次いで2番目に長いトンネルである。富士川トンネルを出ると新富士川橋を渡り、左手に富士宮市街が見渡せる。好天であれば雄大な富士山も見渡せるが、この日は小雨が降りしきり雨雲に隠れてしまった。

長泉沼津ICを過ぎるとしばらく上り坂が続き、右手から現れた東名高速道路をまたぎ、御殿場ジャンクションには17:59に合流した。

ここから東名高速道路を走行する。なお、新東名高速道路はこの先の新御殿場インターまで開通している。新御殿場インターは山中湖、河口湖方面への渋滞緩和の一環として先行開通している。

一気に交通量が増えてくるのを実感しながら御殿場インターを過ぎるとすぐに2か所目の休憩地足柄SAに到着した。遠州森町PAからおよそ1時間15分の乗車であった。

④足柄SA

こちらでも15分間の休憩が設定された。足柄SAは東名高速道路の主要SAの一つで御殿場インターを過ぎてすぐの場所にある。近くには御殿場プレミアムアウトレットがあり、アウトレットそばを東名高速道路が走っている。

足柄SA。横長で売店や飲食店のほか足湯コーナーもある。
広大な駐車スペース。奥には御殿場プレミアムアウトレットがある。
左手に写るバスは先に発車した東名スーパーライナー号

さすがは巨大サービスエリアである。駐車場の広大さに圧倒されがながら、構内を散策した。乗車したバスが到着した目の前に1時間30分前に出発した東名スーパーライナーが休憩のため停車していた。13:30に名古屋駅を発車し、東名高速道路の主要停留所に停車しながら東京駅へと向かう便であるが、高速道路の走行距離が長いことやルートが異なるとはいえ、新東名高速道路経由が東京ー名古屋間の時間短縮に大きく貢献していることを実感した瞬間であった。

新東名スーパーライナーの行先表示

スーパーライナーは先に発車したが、綾瀬バス停で追いつき、当該便が先を行くこととなった。

⑤足柄SA→東京駅日本橋口

18:21頃に発車し、東名高速道路を走行する。大井松田インターまでは下り勾配が続く。新東名高速道路と比較して土木構造物に年季が入っていることが確認できる。この間は上り線と下り線で別々のルートを取っており、上り勾配が続く下り線は右ルート・左ルートに分かれている。大井松田インターを過ぎると平たんな区間が続き、秦野中井インター、厚木インターと順調に通過していく。厚木インターの先で海老名JCTで圏央道と接続する。サービスエリアでは全国的にも有名な海老名SAを通過し、緩やかな上り勾配が続く。この上り坂が渋滞を発生させる要因ともなっており、ピーク時はこの辺りを起点に長い渋滞が発生する。この日も渋滞情報が発報されていたが、2キロの程度の渋滞で済んだ。

渋滞区間を抜けると順調に流れ、横浜町田インター、横浜青葉、東名川崎、を通過し、東京料金所には19:17に通過した。東京インターを通過すると首都高速道路区間となりすぐに用賀料金所を通過して用賀パーキングエリアに特別停車する(19:24)。時刻表上に表記はないが、PA内にバス停は設置されている。用賀PAは高架上に位置しており、階段を下りた場所に東急田園都市線の用賀駅がある。螺旋状の大橋ジャンクションを通過し、渋谷駅をオーバーパスする。西麻布、六本木を通過し、地下トンネルに入ったところで霞が関料金所を19:37流出し、およそ4時間に及ぶ高速道路の走行が終了し、一般道路を走行する。省庁が立ち並ぶ霞が関バス停での降車はなく、日比谷公園の交差点を左折し、外堀通りを走行し大手町交差点を右折し、山手線と東北新幹線の高架をくぐると東京駅日本橋口には19:48着した。大和トンネルでの渋滞が短かっこともあり、定刻より25分ほど早く到着した。

4時間50分で東京駅日本橋口に到着した

利用者の多さに驚き

東京駅の降車は日本橋口に統一されており、各地からのバスは日本橋口が終点となる。なお、乗車は八重洲口から。

ここで東名ハイウェイバスの乗車率に言及しておきたい。乗車した6月29日は土曜日ということもあり、終日満席に近い乗車率であった。5時間弱の乗車時間は東海道新幹線とは比較にならないが、運賃だけで見れば、新幹線のおよそ半額、時間に余裕があるならばコスパの高い交通手段である。在来線を複数回乗り継ぐ苦労を考えれば、高速バス優位となる。バス車内はWi-Fi完備で座席も4列シートでも快適であり、全く窮屈さを感じることもなかった。新幹線利用とは異なる新たな移動手段であることを体験できた5時間であった。

この記事が参加している募集

#わたしの旅行記

726件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?