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絵画的世界の66フォーマット

66フォーマットには様々な種類があり、いずれも楽しくかわいらしいカメラばかりです。自分自身、初めて中判フォーマットに意識的に触れたのは66で、それからずっと一番好きなフォーマットになりました。今回は66カメラの話です。

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Hasselblad 500C+Sonnar150mm4.0

66カメラは使いやすい

(1)66カメラは比較的軽い

中判カメラのフォーマットは代表的なもので645, 66, 67, 69があって、感覚的には印画紙(8x10, 11x14)のアスペクト比に近い67がモダンなカメラも揃っていて良いのですが、PENTAX67やRB67などいずれも非常に大きく重いです。
それに比べて、66カメラというのは二眼レフやスプリングカメラは構造的にシンプルで比較的軽いですし、ブロニカやハッセルのような一眼式も標準レンズは短く作られていて67に比べれば比較的小さくて軽いです。個人差もありますが、67より66の方がフォールディングもしやすいことが多いです。
個人的にPENTAX67とRB67は使ったことがあって、特にRB67はフィルムバックが回転して長辺方向を縦横に変えれて便利なのですが、とにかく重かったです。行住坐臥写真家、なんて考えていた自分には重すぎて、その後二眼レフへと移行しました。

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重さ比較(標準レンズ込み)

(2)66カメラは種類が豊富で入りやすい

66カメラはスプリングカメラ, 二眼レフ, 一眼レフと種類が豊富かつ、歴史も長いので、ローファイで安価なものから、ハイファイで高価なものまで、選択肢が豊富です。特に国産の質の良いモノ(Bronica, Mamiyaなど)は比較的安く手に入るので、結構おすすめ。
特に二眼レフは見た目が良いですし、被写界深度の浅いウェストレベルのファインダーは覗いていて楽しいです。比較的安く買えますしね。あと、二眼レフはなんとなく知られていることも多く、ぶら下げていると好奇心から話しかけられることもあったりして面白いです。二眼を一台とフィルム沢山持って旅行…、というのも良いですね。

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Rolleiflex2.8C Xenotar

(3)66のシンプルで絵画的な構図

66のフォーマットをノートリミングで使う場合、そんなに構図って練れないことが多いです。見たときの印象がどうしても中央にいってしまうフォーマットゆえに、日の丸構図になりがちです。
しかしながら、スクエアのフォーマットというのはCDやレコードのジャケットのような妙に安定した印象を受けます。それに合わせて中判フィルム独特の粒子の細かさ(実際にはほとんど見えないことが多い)とピントの浅さがあいまって、絵画調に感じることが多いです。135フィルムの写真では「映画のワンシーンのような…」という褒め事を頂くこともありますが、66になると「絵画のような…」という印象になって重厚感が増しているように感じます。

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Hasselblad500C+Planar80mm2.8

でも、12枚しか撮れないんじゃフィルム代が…

66に限った話ではないですが、中判フィルムは135フィルムと比べて、同じくらいの値段で撮れる量は減ってしまうので、なんとなく割高感があります。しかも、中判カメラって古いものや業務用のモノが多く、フェイルセーフが少なく、多重露光しちゃったりすることもあるので、どちらかというとミスも多いです。
しかしながら、135カメラと比べるとそもそも大きいので、撮影枚数自体はどうしても減少する傾向にあります。フィルムの消費スピードが低下するので、一度の撮影で使用するフィルムの量というのはあんまり変わらなかったりします。また、中判フィルムの方が引き伸ばし倍率が低い事から、高解像になり、いわゆる「歩留まり」がよくなるので、意外と納得感はあったりします。
誰かと旅行に行くと「なんとなく」の撮影量も増えるので135フィルムカメラくらいがちょうどいい気もしますが、一人旅や作品制作なら中判フィルムの高解像を利用するのも良いかと思います。

66の世界を楽しもう

フィルム代や大きさ, 重さの点から避けられがちな中判カメラですが、使ってみると結構楽しいものです。個人的な予算別オススメを少しだけ記載しておきます。フレネルグラスという、ファインダーが明るくなるスクリーンが入ってる方が楽しむ分には良いかと思います。予算が潤沢ならHasselbladやRolleiflexなど高級老舗ブランドが良いですが、描写に関しては国産高級機も侮れないものがあります。

~2万円くらい:Ricoh New Dia, 

4~6万円くらい:Rollei CordVb, MAMIYAFLEX

5~7万円くらい: BronicaS2+75mm2.8

最初はRicohNewDiaとかから入っても楽しいですし、ブロニカやハッセルのようなハイファイなカメラに行くと結構感動するのではないでしょうか。扱いやすく、美しいスクエアの66の世界に一度挑戦されてみませんか?

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