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生活の質(QOL)を高める

ときどき、私が仕事をしている部屋には、眠くて眠くてたまらない利用者がやってきます。「昨日、眠れなかった?」「不安なことがあった?」と話しかけている内に寝息が聞こえてきます。睡眠はだいじなものです。生活の質(QOL)を高める、支援はそこを意識しなければいけません。

小さな社会福祉法人は「兼」ばかりです

私は、障がいのある人が利用する社会福祉法人を経営しています。小さな社会福祉法人です。事業所の建物も小ぶりです。部屋数が少ししかありません。もともと密な事業所です。今は、密を避けるためすべての部屋をフル稼働させています。

私は、事務室を離れて会議室で仕事をしています。この会議室は、用途がたくさんあります。「応接室」兼「会議室」兼「相談室」兼「静養室」です。静養室の役割もあるので簡易ベッドが置かれています。そのため、不調を訴える利用者が仮眠にやってきます。

薬を飲んでいるけれど…

私の法人の事業所を利用している人の多くは、知的障害のある人たちです。また、安定剤を服用している人がたくさんいます。どちらも副作用として眠気の強い薬です。

安定剤を飲んでいる人は、落ち込みすぎて不安が大きくなりやすい人や、気持ちが昂ってしまいがちな人たちです。そこを安定させるために薬を飲んでいます。しかし、薬ではどうにもならないことがあります。

日中で眠くなる理由

不安が大きくなって夜に眠れない人がいます。たとえば、お金のことが心配になって眠れません。すでに福祉サービスを利用しているので、お金がなくなって生活ができなくなることはありません。説明をすると「わかった」と言います。それでもすぐに不安はやってきます。眠れなくなってしまいます。翌日、日中活動に行ってから眠くなります。

反対に気持ちが昂りすぎて大きな声を出したり、飛び跳ねたりする人がいます。見ていると本人も辛そうです。また、一緒に活動する人たちも気になって辛いです。そこで安定剤を服用することがあります。しかし、薬の分量の調整は難しいです。ほんのちょっと薬が増えただけで、眠気が強くなり日中にウトウトします。また、本人の体重の増減で薬の効き方が変わってきます。そんな利用者も静養室のベッドで横になっています。

薬の副作用で眠いのは辛い

しかし、日中に仮眠することに反対する支援者もいます。それがクセになるとか、生活リズムが崩れる、という理由です。「仕事中ですよー、寝ないでくださーい」と、必死に声かけをしている支援者を見かけます。また、寝ないために無理に体を動かすようなプログラムを組み込んだりします。しかし、それは危険です。事故につながります。

私は、睡眠導入剤を服用しています。アトピー性皮膚炎のかゆみで入眠が妨げられるからです。私が初めて服用した日の翌日は、薬が効きすぎてフラフラでした。薬で眠気が強くなってしまったときの辛さを知っています。

生活の質(QOL)を高める

日中で眠気が強いとそこばかりに注意がいきます。しかし、私たち支援者の役割は、利用者の生活の質を向上させることです。

グループホームの支援者は「早く、寝なさい」と声をかけます。日中活動の支援者は「仕事中ですよ、寝ないでください」と声をかけます。しかし、注目するのは、睡眠だけでなくその人の生活の質(QOL)を高めることです。日中に眠気が強い、ということをきっかけにしてその人の生活全体を見ていくことが必要です。そんなことを思うことがあります。

連続投稿1000日まで、あと5日。

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