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「地域で暮らす」、そこでお話をしたこと

私がnoteに仕事のことを書く目的は二つあります。一つは、自分が誤った支援をしないように、気がついたことを言葉にしておくことです。もう一つは、私がかかわる福祉分野とはまったく関係のない人の目に触れてもらうことです。

私は障がいのある人が利用する事業所、社会福祉法人を経営しています。社会福祉法人の使命は、利用してくれる人たちの支援だけでなく、地域福祉の推進を図ることです。地域住民の皆さんと一緒に、より良い地域づくりに取り組みます

「理解する」とは予測すること

私たちは、「理解」という言葉を日常的に使います。しかし、理解するとはどうすることかわかっていません。私は、以前、理解するとは予測することだと教わりました。相手の反応を予測することができると相手との距離が近づくということです。

地域福祉の推進、地域の理解者を増やすためには、生きづらさを抱える人は、どんな生きづらさを抱えているか伝えることから始まります。知ってもらうことが必要です。

地域住民に近いところで活動します

私が経営する事業所は小さな事業所です。住宅街にあり、地域の人たちとの距離が近いことが特徴です。そこで、事業所を作るときは、早い段階から地域住民の皆さんに相談をしながら進めます。そこの地域でやるかやらないかはっきりわからない内から地域に話を通します。

行政や建設業者は、工事を始める直前になってから地域住民への説明を始めます。これがこじれる原因の一つです。しかし、地域住民が求めていることは、その話が持ち上がったときから話を通して欲しいということです。ただし、初期段階から町内会の集まりに参加をして話を詰めても実を結ばないこともあります。そのかわり、話がまとまったときは、その地域にお住いの人たちがスタッフとして働いてくれます。これは大変ありがたいことです。

なぜ反対運動が起きるのか

障がいのある人が利用する事業所を作ろうとすると、地域から反対運動が起きることがあります。そういうことがあると福祉関係者は「障害者に対して理解がない」と、言います。しかし、地域住民の話を聞くと話がちがいます。私が直接、地域住民から聞いたことを書きます。

・すでにゴミ置き場があふれている、グループホームができたらゴミ置き場がもっと大変なことになる
・大きな車(送迎車)が住宅街に入って来て住民の車が通りづらくなる
・従業員のカーステレオやバイクの音がうるさい
・町内会には参加してくれるのか、福祉の人が来ても町内会を支えてくれない

事業所を作ったとき、事業所の敷地内にゴミ置き場を作り、地域の人にも使ってもらうようにしました。送迎車は、通行時間を限定し、狭いところでは住民の車を優先すること、支援者の通勤時のマナーを徹底することも約束しました。また、町内会の活動には私が率先してかかわるようにしています。

福祉サービスを提供している事業者は、社会貢献をしていると思っているので、その土地に前から住んでいる人の視点が抜け落ちます。

つながることがだいじです

また、最近は事件が増えたことで「何か起きたらどうする」と、不安を口にする人たちもいます。ただし、事件を起こしてしまった人たちと、私たちがかかわる人たちとは大きな違いがあります。それはどこかとつながっているということです。

昨日、精神疾患の患者さんたちの家族会でお話をさせていただきました。テーマは「地域で暮らす」でした。そこでは二つのことをお願いをしました。一つは、社会福祉法人と一緒に地域を作ること、もう一つは、必ずどこかとつながっていて欲しいということです。

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