「ありがとう、大丈夫だから、座ってて」って言うけれど、その結果…
私は、障害福祉サービスを提供する事業所を経営をしています。今日は、新人支援者の研修用に新しいスライドを作っていました。今回のスライドは、私がファミレスのアルバイトで学んだことと、アドラー心理学から学んだことが中心です。
アドラー心理学とパセージ
早稲田大学のエクステンションセンター中野校でアドラー心理学を学びました。その後、サークルに入りアドラー心理学を基本とする子育てにおける親の育成プログラム・パセージを学びました。パセージでは、子育てにおける心理面の目標があります。その目標は子育てだけでなく、あらゆる対人援助に有効です。
パセージのテキストから、心理面の目標を引用します。
・私は能力がある
・人々は私の仲間だ
(野田俊作,Passage)
あの頃にも注目
今回、私が作った研修用のスライドには、今、かかわっている利用者の若いころの写真をたくさん使いました。若いエネルギーがほとばしっている写真ばかりです。
新しく入った支援者は、目の前にいる利用者の今の状態に意識が向き、目の前にいる利用者は、動きが緩慢で、生活面の支援がたくさん必要な利用者だと思います。それは仕方のないことです。しかし、その人は、昔から動きが緩慢だったわけではありません。加齢に伴い動きが緩慢になっただけです。さらに支援者が必要以上に支援をすることで緩慢さ増してしまうことがあります。そこに注意をしなければいけません。
気遣いが裏目に出ることがある
私たちが経営する事業所の利用者の中には、元気良く飛び跳ねている若者もいます。支援者は、利用者同士がぶつかって、年配の利用者が転倒するリスクを重視します。その結果、年配の利用者にはできるだけ座っていて欲しい、と思うようになり、そういう支援をします。
食事を運ぶ、何かを取りに行く、そのような活動は、動きの速い元気な利用者の役割になっていきます。
ご年配の利用者が、何かをしようとすると、「ありがとう、大丈夫だから○○さんは座ってて」と声をかけます。その結果、その利用者は、やることが少なくなり、活躍の場が失われ、より動きが緩慢になっていきます。
支援者は、転倒して怪我をしてはいけないからと利用者を気遣っています。しかし、利用者は、自分には能力がない、さらには疎外感を感じるようになります。
今回のスライドでは、利用者の若いころの写真から、その利用者が持つ潜在能力に目を向けて、その利用者が今、一番輝ける活動を一緒に探すことを目的としています。
パセージの心理面の目標は、できないことに注目をするのではなく、できることに注目をする、この支援の原則につながります。
ファミレスのアルバイトで学んだことが、障害福祉サービスでも活かせています。以前、noteに書きました。よろしければお読みください。
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