モンブランと今川焼
ユーハイムのクランツを買おうとしたら売り切れで、ユーハイムのすぐ前にあったアンジェリーナに。両親の誕生日と命日は何か買うことにしている。今回は父のため。信仰はないが信心がある私の習慣だ。もちろんコンビニやスーパーでアンパン一個買って終わりにすることがほとんどなのだが、父を思いながら食べることは毎年変わらない。
もちろんこれまで食べたモンブランの中では別格でおいしいけれど、正義先生ご夫妻がお好きで「そのうち買って行くことをお約束していたがついに叶わなかった」経緯があり、寂しい思い出がついて回る。今回も「クランツ」が売り切れていたという流れでなければ購入していない。――ああこれ脱線しそうだな、父じゃなくて正義先生の話になるなあ。まあいいか、
私が正義先生のご生前、ハトコ夫婦に手配を頼んだのはアンジェリーナのモンブランではなく銚子「さのや」の今川焼だった。ハトコが一個一個丁寧にラップで包んで冷凍し郵送した「さのや」の今川焼を正義先生はとても喜ばれた。「さのや」は銚子にある小さなお店だが、ここの今川焼が旨い。
あんこは少ないほど良くて、皮が食べたい、そして絶対的こしあん派の私が、そうした嗜好と真逆の「さのや」の今川焼は好きで好きでたまらない。それほどでなければ、パリ本店でモンブランを食べていたようなご夫婦に差し入れられないものだ。二枚を合わせるのではなくたこ焼きのように転がして焼かれた皮が香ばしく、他より少しだけ勝つ餡の塩味がたまらない。
誕生日おめでとう。あなたに会えなくなって、36年になる。今でも会いたくなる。どう生きればいいのか示唆を与えてほしくなる。――多分それはこの先も変わらないけど、自分があなたの答だと思うことで生きている。さあそろそろ誕生日は終わり。また自分の混沌に戻るよ。お休み。
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