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それでも、やっぱり本物を学びたい

フランスで働き始めた時は、いつも新しいことばかりで常にワクワクしていた。知らなかったことばかりだし、全て学んで自分のものにしてやるぞ、と気持ちが高まっていた。

扱われている食材や、器具が今まで使ってきたものとは大きく違っていて、最初は大変苦労しました。

勉強すればするほどフランス料理に惹かれていき、もっと奥の方を知りたい、と思っていた。

働き始めて数ヶ月経つと、フランス語もだんだん理解できるようになり、自分の仕事にも余裕が出てきて、周りの様子も見えてくるようになってきます。最初はシェフの指示に従うだけで精一杯でしたが、この頃からは自分から積極的に主導権を取って仕事に取り組んでいました。

その頃から、残念ですがフランス人同僚の仕事がとても情けないな、と感じていました。

いつも愚痴ばかりなのです。

朝からなんでもないことを愚痴っています。なんでいつもこの人たちはイライラしているのかな、と。

仕事もなんというか、「幅」がなくて、周りのことが全く見えていません。自分の仕事が終われば、すぐに帰ってしまいます。チームの団結力みたいなものは全く感じられませんでした。

キッチン内でのヒエラルキーも強いため、知らずのうちにライバル心を燃やして、周りに冷たくしていたのかも知れません。そこにチームワークはありませんでした。同僚が人のミスの粗探しもよくしているのも目にしました。そんなことよりも自分の仕事を反省しないといけないはずなのに。本当にみっともないな、と思っていました。

フランス人みんながこんな人だとは思っていません。

ただ、僕の最初の職場の同僚はみんなこんな感じの人だった。

料理への興味、情熱が全くなくて、お金のための「労働」になってしまっているからだらしない仕事しかできなくなっているんだろうな。


それでも、やっぱり学ぶことはたくさんあった。

いろんなテクニックを学んだ。前菜、メイン、デザート、全てのポジションも経験することができた。

いろいろな食材に触れることがとても嬉しかった。

でもこのチームではこれ以上のことは学べない、と働き始めて1年がたった頃、この職場を退職して他のレストランで仕事を探すことを決意します。

その前にも仕事を変えたかったけど、1回目のロックダウンと重なり、タイミングが合わなかった。

その後、辞職届を出し、しっかりと契約期間最後まで働いた後に、他のレストランで試しに働いてみることにしました。

3つのビストロで試しに働いてみたけど、正直どこも同じ感じで大きく失望しました。

全てのレストランから、一緒に働きたいと契約書の準備までしてくれたけど、結局全てお断りすることにしました。

というのも、すべて「本物」とは程遠いと思ったからです。

全ての工程が簡素化されすぎていて、自分が学びたかったフランス料理とは全く違うと感じていました。

ガストロノミー、ビストロノミーって一見かっこいいおしゃれな雰囲気を出しているけども、実際はうわべだけで、そこには本で見るようなフランス料理の威厳さや伝統は全くみられなかった。

あ、全く別物なんだ、と思った。

流行りのものをチョチョイと皿の上に乗っけて、盛り付けのそれらしいハーブを添えたら、それで出来上がり。

3軒ともこのような感じだったのです。


僕が住んでいるの場所が地方だから、っていうのもきっとあるんだろう。

パリだと、いろんな選択肢があるんだろうな。


そしてまさかの、転職活動をしていた時に2回目のロックダウン。

今後どう動くべきなのか正直わからないけど、こればかりは仕方がない。


それでも、やっぱり「本物」を学びたい、と思うけど。









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