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復帰二日目、浮き足立つ

この4月から PTA 役員を引き受けることになった。
忙しいのに PTA なんてできるか! というツイートや、引き受ける義務はない、なぜならば、というブログポストをたまに見かける。

この点、僕はどちらかというと楽しんでやっている。
いままでは長期休暇状態だったし余裕もあった。これは多分に大きい。
そしてでも、なにより以前に書いたこれ。

僕らは、いや、主語をあえて小さくするけれど、僕とその家族は地域社会で暮らしている。こどもは望むと望まぬとに関わらず地域に任せ育ててもらうほかない。そして僕は、年間たかだか10数万円の人頭税で任せっきりにしていいとはおもえない。
いや。おもってはいけないと考えている。

まあいい。

かつかつで働いている人たちにとって、さらなる仕事を背負い込むことが辛いのは察するにあまりある。僕ももう40を過ぎて、僕らの暮らしている社会が、いまにも切れそうなほど伸びきったゴムのように弾性力を失っていることなんて、言われなくてもわかっている。ギリギリで稼いだお金を対価として搾り取られるとおもえば、せめて流した汗と悔し涙を補うくらいのサービスが欲しいと、そりゃあおもうだろう。余裕のないギスギスした社会。

そんなことを言いながらそれでも僕だって、歯車のひとつとして「復職」して働くことを(それほど真剣に悩むこともなく)決めたわけだ。ただ、ありがたいことに死ぬまで働けと言われるような職場ではないし、勝手に僕が働きすぎるだけで壊れかけただけ。
だから仕事一辺倒の価値観を崩すためにも、いろいろな世界とのつながりを持たないといけない。そんな風に考えている。
そして PTA 役員活動はそのうちのひとつ。そう考えている。

前フリが長かった。

明日はその PTA 役員として強制参加の雰囲気が強い「給食試食会」というイベントがある。お昼を挟んでいるから、そして僕の通勤時間は軽く1時間を超えるので、午前休・午後休、どちらを取得してもどちらにも食い込む。つまり全休以外の選択肢がないということだ。

だからね、明日は休みなんだ。

そしてもうひとつ。
勝手に友人枠に入れてもらっているつもりでいる、料理漫画研究家で同人誌醤油手帖の作者で白熱日本種教室の著者でもあり、エキサイトレビュー通称エキレビの丁寧なレビュワーでもあり、いろいろな顔を持つ「むむ」さんに、今日、大木屋に連れて行ってもらう約束をしていた。

そんなこんなでタイトルのとおり「浮き足立って」いたんだ、今日は。

むむさんを中心に、僕のツイッタータイムラインで頻繁に「肉のエアーズロック」テロを巻き起こしていた(僕の中での)伝説の店、大木屋。(もう一店、ローストホースというのがある)

これが……! 肉の、エアーズロック!
ほんとうに、あったんや〜!

カツオのタタキから始まって、塊肉、ホタテ貝柱に、両手からはみ出すほど大きいメンチカツ、そして鉄板を覆い尽くしなお余りあるもんじゃ。もんじゃの海が、溢れておる……!

肉は赤身で脂身は少なく、それでもヘラで押し切れるほどに柔らかく、レアのように見えるのだけれど口に放り込むとやけどしそうなくらいに熱く、ああ、肉だ、肉を食べているんだ。肉、これが肉。肉、うまい、肉、すごい、さすが肉。肉。そろそろ肉の文字がゲシュタルト崩壊する感じになってきたけれど、肉でした。肉。おいしかった。

そしてメンチカツ。「ハンバーグだ、これ」と同席の棋士がおっしゃっていましたが、まさにそれ。ナツメグなどのスパイスをきかせたミンチ、そして衣。山のような千切りキャベツで包囲してからの戦闘開始。しかるに形勢をはかるまでもなく、見る間に切り崩され消えてゆく、山。メンチカツ。
たいへん美味しゅうございました。

そしてそう。今日はむむさんのお知り合いの日本将棋連盟の棋士や女流棋士の方がいらっしゃっての食事だったんです。

仕事(?)の話にしてしまうのは申し訳なくもありながら、興味には勝てず、どうやって局面を読んでいるのかお尋ねしたりしてしまいました。現役棋士に! なんという贅沢!
そして皆さんの若いこと。
なんというか、プロスポーツ(?)って、若さ、華やかさなんだなあと、変に感心してしまいました。

あまり踏み込めなかったのですが、よく言われるように、自分も相手も、自身が一番有利になるように指し合う前提で、次の可能性を読む、とのこと。続きをどれだけたくさん読めるかの差が強さに現れる。
よく言われるように、いや、そう聞いてしまったからそういう答えになったのかもだけれど。

棋士は何手先くらいまで読めるのだろう?
一般的に対局では100を超えるくらいの応手が続くはずで、終盤ともなればひょっとすると読み切ることも可能かもしれない。
でも初盤〜中盤は、相手がどう応じるかは未知数で、読んでも読んでも読みきれない。読むほどに可能性は爆発する。

僕が将棋を指せないのは、どの手筋が「ありえる」のか決めきれないからで、強い棋士ともなれば初盤の数着手で中盤にお互いが狙う盤面が浮かんだり、するんだろうか。
駆け引きで落とし穴にはめたり、その手には乗らぬと鮮やかにさっと躱したりするのだろうか。
読んでいるとき、盤面の全体が駒の形や手触りまで含めて想起されているのか、それとも盤面の一部が記号として浮かんでいるだけなのか。

ああ。

やっぱり、僕は、はやく、僕の将棋AIを作らないといけない。

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