遼短歌、初夏
パーカーのフードをかぶってキスすると世界が全部お前になる気がして
鼠蹊部の血管伝いに舌這わせ脈打つ命をずっと聞いてた
カクテルにきゅうりを落とすその指で心の底まで蛇腹に裂かれて
ぬるいままのテタンジェ開けて廻し飲み無駄にするから美しい酒
八つ裂きにした生魚指でつまみ皮膚の塩気でねじ込んでほしい
「つまみがねえ」ボヤくお前にサッポロ一番開けてやって麺だけかじった
悪い予感しかない性病検査の日ハーゲンダッツを買ってくれたね
ストゼロのダブルレモンのような夏俺は確かに二人を愛した
三日三晩風呂にも入らずやりまくり男の身体はクミンの香り
カレー色の男に抱かれた翌日にラッシーみたいな男を抱いた
歯磨き粉口移ししてかき混ぜるヒューガルデンの泡と似ている
胸焼けにのたうち回ると知りながらやめられなかったフライドチキンみたいな恋
ニコチンとカフェイン絡まり合った唾液糸を引いてそれから千切れた
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