見出し画像

西巣鴨短歌、植物

君の指きゅうりと共にしゃぶりあげ蛇腹切りはエモいと思う

開襟の小花を散らした赤いシャツこんな色の夢を見たような

夕闇にベッドシーツを握りしめ窓から香るは栗の花の香

南国の見たこともない花々の蕩けるような香り纏う君

首落ちた真っ赤な薔薇を睨みつけ我を好きだと吐き捨てる君

甘美さに背中粟立つ焼けた肌アスファルトには腐った向日葵

絡み合う蔦のようにほどけないふたりの身体影を落として

齧り付くふたつの牙に滴る赤素肌を伝った潰れたトマト

酷薄に植え付けられた甘やかな君の残滓は青葉の香り

雲ひとつない青空に見下ろされ君とふたり芝で眠りたい

植物に水やりをする優しさで我の舌を絡めとる君

太陽に焼かれて腐ってしまうなら我を忘れて刈り取られたい

明け方の薄闇の中映り込む鏡の中に無数の花々

遠い目で故国を思う横顔よヒスイカズラの花言葉は何

朽ち果てたコウモリランに差す夕日走る葉脈アレに見える

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?