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「和賀英良」獄中からの手紙(23)  不思議なピロートーク

―烏丸先生から聞いた話―

漢同士の交わりのあと、ベッドでのまどろみのなかで、烏丸先生が耳元で優しくささやきます。

「昔むかしね、こんな不思議な話を聞いたんだよ……」

先生がユニークなのは毎回かならず

「ねえ英良、聞いてみたい?」

と甘えるように尋ねることです。

私が「はい、ぜひお願いします!」
と元気よく答えると、とても嬉しそうな顔をして、
「よし、じゃお話を始めるよ!」
と、小さな子供にするように話し始めるのです。

先生にはご自身にお子さんがいらっしゃらないからでしょうか、その時だけは子供に話しかける父親のような語り口でした。私もワクワクしてとても嬉しかったのです。

これも俗にいうピロートークのひとつかもしれませんが、先生は話がお上手で、まさにストーリーテラーというべき話術の持ち主でした。

またその話がとても不思議で、荒唐無稽で面白いのです。

先生によると、音楽関係の人たちは奇妙なエピソードを持つ方が多いそうで、先生自身もそうだと言っていました。

まずは最初のお話しとなります。

旧東京音楽学校奏楽堂 (上野公園内)© Ryohei Imanishi

第24話:https://note.com/ryohei_imanishi/n/n85ee906c86be

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