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「和賀英良」獄中からの手紙(17)  『砂の器』その意味

―砂の器とお流し神事―

そのようなことを繰り返しながら、やがて海や川など水辺も近くに参りますと、わたくしたちは次のような「お流し神事」をいたします。

まず海であれば海岸の砂で小さな器を作ります。
これは「うつわ」という「罪穢れの入れもの」をいくつも作るわけでありまして、それらは行く先々の家で受け取った穢れの数だけ作ります。

器というものはその器自体が役割でなく、真ん中にある「くぼみ」が器の本質です。ですからしっかりと力を込めて砂によって器をつくり、その窪みのひとつひとつに思いをこめて強く息を吹きかけ、罪穢れを押し込めていきます。海岸の砂浜にそれをいくつも作り、次に短い祓詞をなんどもくり返し読み上げます。

「祓えたまい清め給え」
「祓えたまい清め給え」

その繰り返しです。なんども繰り返すことが大切です。

そうすると次第に潮が満ちてきて、その「砂の器」たちは崩れ去り、跡形もなく海の中に消えていきます。これによってお預かりした罪穢れも一緒に消え去っていくのです。

こうして私たちは祓戸の大神さまたちの下僕となったのでございます。

『砂の器』© 1974 松竹株式会社・橋本プロダクション

第18話:https://note.com/ryohei_imanishi/n/n956df6eb806e

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