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大英帝国衰亡史

今回は、大西輝政 (2004)『大英帝国衰亡史』PHP文庫を独断と偏見で簡潔にまとめる。

大英帝国の隆盛と衰亡

かつて陸地面積の4分の1,世界人口の6分の1を支配した帝国があった。それが大英帝国である。英国が歴史上最大の帝国を築き上げることができた理由を一言で表すなら、ノブレス・オブリージュの精神があったからである。

ノブレス・オブリージュの精神によるエリートたちの仕事ぶりは様々な史料にも記録されている。
エリザベスの時代、大陸諸国との軍事バランスを保つために均衡外交を行った。均衡外交を行うためには、膨大な量の情報収集が必要不可欠であった。複雑な情勢の中、エリート外交官は自らを持し、国家のために情報収集を続けた。実際、ネーデルランドの低地(国防上大切な地域)がスペインに支配されそうになった時には、外交官の情報を基に、議会で23項目の議論がなされた。

またウィリアム・テンプルやマームズベリー伯爵、モーリア―はジェントルマンとしてピットやカニングが憧れを抱くほど、勤勉に働いたという。このようなノブレス・オブリージュの精神があったからこそ大英帝国は歴史上類を見ないほどの大帝国を築き上げたのである。

逆に言えば、大英帝国が衰退した理由も、エリート精神の弛緩、欠落によるものである。
もちろん、自由貿易による食糧自給率の低下、無理な戦費拡大、アングロ・サクソニズムによる対米譲歩と反独外交、19世紀以降の過度な植民地支配の拡大など、事象ごとに細かく衰退原因を説明することはできる。

しかしながら、金に目をくらませて勃発したボーア戦争、米国譲歩、反独による外交バランスの乱れ、スエズ出兵での情報分析の不足、これはすべて、「自らの力で立つ」という自助の精神の欠陥によってもたらされたものである。つまり、ジェントルマンの高貴な精神の喪失が大英帝国衰退の一番の原因であると言える。


まとめ

今回は、大西輝政 (2004)『大英帝国衰亡史』PHP文庫を一分程度で要約した。

私の誤認により正確に表現できていない箇所があるかもしれないが、その点に関してはコメントでご教授いただきたい。

それはともかく、せっかくの機会なので私にとって人生最大の良書を紹介したい。
それはサミュエル・スマイルズの『自助論』である。

この書は大英帝国が最強であった時代にスマイルズが執筆した本である。
これは大帝国を築いた時のイギリス人の精神性がよくわかる本である。

明治四年には日本語訳として『西国立志編』が出版され、当時の日本の統計で100万部ほど売れたと言われている。欧米諸国による世界の植民地化が進む中、「天は自ら助くる者を助く」という言葉が明治の青年たちを奮い立たせたのである。

「天は自ら助くる者を助く」
国家の繁栄も個人の成功も案外この言葉で説明できるのかもしれない。


※皆さんにとっての良書も教えてください。
夏休み期間なので読みたいと思います。

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