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それをお金で買いますか~市場主義の限界~

今回はマイケル・サンデル(2014)『それをお金で買いますか-市場主義の限界-』(鬼澤忍=訳)早川書房を独断と偏見でまとめます。

市場主義がもたらした道徳的欠如

お金を払えば、すべてが解決できる。そんな世界を我々は、求めているのでしょうか?

ここ30年間、市場と市場価値がかつてないほど私たちの生活を支配するようになりました。
すべての物や人がお金に変換され、売り物に出される。そんな世の中になりつつあります。

例を出すと、売春婦、代理母への妊娠外注、レクサスレーン、ファストラック、転売、賄賂、示談金、市民権の売買、広告の拡大、などなど枚挙にいとまがないです。

性行為をする際には、「いくら?」と聞かれ、「ゴムあり2万円ね!」という市場取引が行われます。
需要と供給の法則、選択の自由権、社会の最大幸福という功利主義的に考えれば、第三者がこの取引に介入する余地はありません。

しかし、著者であるマイケル・サンデル氏は、この現象を「市場による腐敗だ」とし、警鐘を鳴らしています。

市場の腐敗化とは、あるものを扱う際に、本来あるべき規範よりも低級な規範になってしまう現象のことです。

先の例を挙げると、
先祖代々受け継がれ、母親が苦しんで産んでくれた自分という崇高な存在は、市場に出される事で、「商品化される」ということです。
私たちが持っている生殖器官は、生殖器としての役割ではなく、商品として扱われるようになります。人物が人材へと変換されます。

もう一つ、罰金と料金の例を挙げます。
罰金が道徳的な非難を表しているのに対して、料金は道徳的な判断を一切含んでいません。

ここ最近では、道徳的に反する行為がただの料金化されています。
スピード違反、ポイ捨て、駐車禁止などは、市民の安全、安心、道徳規範が無視され、ただの支払い作業になっています。

海外の事例では、汚染物質許可権、温室効果ガス、二酸化炭素排出なども、本来の道徳的規範や意味が蔑ろにされ罰金ではなく料金化されています。

このように私たちは、すべての物が売り物に出される市場主義の時代を生きています。

だからこそ、一人ひとりが道徳規範を問い直すことが大切になります。

まとめ

マイケル・サンデル(2014)『それをお金で買いますか-市場主義の限界-』(鬼澤忍=訳)早川書房を独断と偏見でまとめました。

実のところ、この本は、大学の教職課程科の先生に「先生を目指す人は、ぜひ読んでほしい!」と紹介していただいた本です。

マイケル・サンデル氏が言うように「市場の腐敗化」について私自身考え直す必要があると感じました。

市場主義により、道徳観が欠如しているのではないか?
もう一度、市場主義について考え直し、道徳規範を問い直すべきではないか?

皆さんも『それをお金で買いますか-市場主義の限界-』読んで、ぜひ上の問いについて考えてみてください。





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