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水元公園ラプソディ[ショートストーリー]

僕は暖かくなる時期、休みの日になったら毎週行く所がある。

それは水元公園だ。

水元公園とは葛飾区にある都内で1番広い公園だ。

今住んでいるアパートから徒歩10分くらいの距離にあり、引っ越しですぐに水元公園の存在を知った。

水元公園はとにかく木や草などの緑が多く、その景色を見るだけで都会の喧騒を忘れ、故郷の田舎を思い出すほど心が落ち着くのだ。

今日もいつも通り池沿いのベンチに座る。
水元公園の池はとにかく大きい。湖と言ってもいいくらいだ。

ベンチに座ったらまず何をする訳でもなく目の前の池を眺める。
木や草といった緑が池に反射して1面に緑が広がり、それは素敵な景色となるのだ。

何も考えずに池を眺めていると嫌な事があっても少し楽になるような気がする。

しばらく景色は眺めたあとはパソコン開いて趣味の小説を書いたり、Netflixで映画を観たりと自分の時間を過ごす。

たまに心地よい風が吹きなんとも清々しい気分になれる。

昼になると行きに買ったサンドウィッチを目の前の景色を眺めながら食べる。外で食べるご飯はうまい。自然を眺めながら食べると格別だ。ひとりキャンプなどには行った事がないがハマる人が多い理由が分かる気がする。自分で作った料理を外で食べるともっと美味しいのだろう。

「やあ兄ちゃん、美味しそうだねぇ」

たまたま通りかかったご老人が話しかけてきた。お洒落な服を纏いいかにもダンディなご老人だ。さぞかし若い頃モテたのだろう。

「あ、はい!美味しいですよ」

サンドウィッチを口に入れたまま僕は返した。

「お、そうか!いいねぇ。」と言いながら老人は僕の横に腰をかけた。

「隣、失礼するよ。この辺に住んでるの?」

「はい!休日は大体ここに座ってのんびりしてます」サンドウィッチを頬張りながら返事をした。

「そうか。僕もねぇ、20年ほど前に定年退職したんだけど働いてた時はよく息抜きでここに来てたんだよ。そしてあまりに好きすぎて退職と同時にこっちに引っ越してきたんだ」

「え!わざわざ引っ越したんですか。でも確かにこの辺は住みやすいしいいですよねぇ。あとこの公園が落ち着くんですよねぇ」

「若いのに渋いねぇ」
と老人は笑いながら答えた。

「そうだ。デザートいるかい?ちょうどさっき柴又で買ってきたお団子があるんだよ」
老人は紙袋の中からお団子を取り出した。

「え、良いんですか?」

「もちろん。婆さんと食べる為に買ったんだけどねちょっと買いすぎちゃったから1、2本食べちゃって」

「じゃあ、、いただきます!」
僕はみたらし団子を手に取り口いっぱいに頬張った。

「うまい!」
思わず満面の笑みになった。しょっぱいみたらしとお餅の団子のハーモニーが最高だ。あと外で食べている分格別にうまかった。

「だろ〜?ここの団子はうまいんだよ。ほらもう一本お食べ」

「ありがとうございます!」

次はこしあんがのっているお団子を手に取り口に頬張った。

お団子を食べる僕に、老人は大手企業でバリバリのサラリーマンだった事、若い頃はやんちゃをしすぎてよくお嫁さんに怒られた事、趣味は旅行で良く夫婦で海外旅行に行っている事など楽しそうに話してくれた。

「僕はねぇ、もういつ死んでも良いと思ってるんだ。それくらい自分の歩んできた人生に納得してるんだ。」

そう言って老人は空を見上げた。

僕は長生きしてくださいよと言おうとしたが彼の優しく、満足をした笑顔見てすんなりとその言葉を受け止めた。

「次の時代を活躍をしていくのは君らの世代だからね。頑張れ!若者!」

「はい、ありがとうございます!良い話を聞けて、とても楽しかったです!」

「いやいやこちらこそありがとう。久しぶりに若い子と話せて楽しかったよ。それじゃあそろそろ行くね。また会ったら話そう。」
そう言いながら老人は立ち上がった。

「またぜひ話しましょう!」

僕がそう言うと、老人は
「おう!またな」
と言いは後ろを振り返り歩いて行った。

「カッコいいなぁ。。」
気がつくとそう呟いていた。

できれば連絡先を聞きたかったが、会ったばかりの目上の人に連絡先を聞けるほど僕はコミュ力がある訳ではない。

でもまた会って話がしたい。

またここで過ごしていたらきっと会えるだろうか。

今日のような出会いがあるから公園に行くのはやめられない。

さあ明日からはまた仕事だ。

僕もいつ死んでもいいと思えるような生き方がしたい。

そう思えるように今を必死で生きよう。


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