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【GO TO ART】 東京の街で見れるアート

アートに触れられる場所は、美術館やギャラリーだけではない。

今回は美術館というアートの為の場所を抜け出して、いつも何気なく歩く東京の街で見られるアート作品を紹介する。

<LOVE> ロバート・インディアナ

誰もが知っている数字や記号、文字を主題に絵画、彫刻を制作するアメリカのアーティスト、ロバート・インディアナの代表作「LOVE」シリーズ。普遍的な言葉を平凡なフォントで表現するこの作品は、当たり前のことを一度立ち止まって考える機会を与えてくれる。

最寄り駅:都営大江戸線都庁前駅

<Tokyo Brushstroke Ⅰ> ロイ・リキテンシュタイン

インディアナの「LOVE」同様に、新宿アイランド前にあるアメリカを代表するポップアーティスト、ロイ・リキテンシュタインによる作品。題名にあるブラッシュストロークとは、筆跡の意。アメリカンコミックをドットで描くスタイルが有名なリキテンシュタインは、絵画の最小要素である「筆跡」すらもアートとして、キャンバスから独立させた。美術史の革新を大都会で体感できる貴重な作品。

最寄り駅:都営大江戸線都庁前駅

<Cloud> レアンドロ・エルリッヒ

金沢21世紀美術館にあるプールの作品で有名なレアンドロ・エルリッヒ。知覚と現実のズレを感じさせる作品を制作するエルリッヒは、東京随一のオフィス街に本来空にあるはずの雲を視線の高さに設置した。空にあるはずの雲。そもそも空とはどこからのことを言うのか。そんな当たり前で考えようとも思わないことを考えさえる作品である。

最寄り駅:虎ノ門駅、内幸町駅

<究竟頂> 杉本博司

人間、地球、文明の起源という壮大なスケールな主題をミニマルな表現に落とし込む杉本博司の作品は、接点が限りなく0に近接しながら永遠に交わることのない三次関数の数理模型にインスピレーションを受けたもの。物理的に永遠に続くものは制作できない代わりに、床面に繋がっていることを示唆する点が打たれているので探してみて欲しい。同様の3次関数の数理模型を題材にした作品が大手町プレイスにも存在する。

最寄り駅:表参道駅

https://otemachiplace.jp/

最寄り駅:東京駅、大手町駅

<White Deer> 名和晃平

生物の最小単位である細胞(cell)から着想を得た作品を制作する名和晃平の鹿を象った作品。3Dプリンターで製作されたような歪さを残す鹿はデジタルとアナログ、自然と人工の境界が不可視になっている今、なお存在する両者の非互換性を感じされる。

最寄り駅:永田町駅

UFO


ストリートアーティスト、UFOによるアイコニックな宇宙人のスプレーペインティング。親しみを感じさせる可愛いキャラクターだが、宇宙人が身近に存在するかもしれないというSFチックな恐怖も感じる作品。UFOの作品は一点だけでなく渋谷、代官山、中目黒あたりでいくつか存在する為、ぜひ探してみて欲しい。分かりやすいところだと、渋谷の宮下パークの近くにも。

最寄り駅:渋谷駅、中目黒駅、代官山駅など 都内各所

INVADER

ゲームなどのキャラクターをタイルで表現する作風が特徴のINVADER。ビットで表現されるデジタルの世界の構成ルールを持つ作品を都市に紛れさせることで、都市もビットのようにミクロな単位の集合体であることを考えさせられる。UFOもINVADERの見られる場所はあくまで私の見たことある場所なので、目撃情報があれば是非教えていただきたい。こちらは恵比寿で見かけたもの。

最寄り駅:恵比寿駅、代官山駅、御成門駅など 都内各所

<花尾> 松山智一


ピカソのキュビズムのように人であることは認知できるものの、様々な角度からの見え姿の集合体によって構成された松山智一による巨大な彫刻。冷たい印象を感じさせる金属の彫刻でありながら、花のモチーフや繊細な表情のあるこの作品は新宿という都市が連想させるイメージがほんの一面でしかなく、別の角度から都市を捉える視点と態度をもつ必要性を覚えさせる。

最寄り駅:新宿駅 中央東口から東口にかけてのロータリー内敷地

<つくしんぼう> 桑田卓郎

陶芸というジャンルを伝統的な技法を用いながらも、ビビッドな色使いで古典的なイメージを刷新さてくれる桑田卓郎による作品。完全で合理的かつ効率的なものをよしとする社会の通念に対して、不完全さをそれ自体の価値として認める懐の広さを感じる力強い作品。この作品のある丸の内ストリートギャラリーでは、草間彌生の作品なども見ることができる。

最寄り駅:東京駅、三田線日比谷駅、千代田線二重橋前駅

<無題> ドナルド・ジャッド

アメリカで70年代に興ったミニマリズムの旗手であるドナルド・ジャッドの作品。アートと言うとアーティストが手を動かして制作し、一点物で、制作者、鑑賞者の両者に何かしらの情動があるものと考えがちだが、工業製品のようにアノニマスで大量に複製可能かつ、作家の手垢を感じさせないものをポップアートの流れからアートとして成立させようとした美術史の中で重要な立ち位置を占める作品を見ることができる。

最寄り駅:立川駅

<ママン> ルイーズ・ブルジョワ

六本木ヒルズを訪れた人が必ず目にする巨大な蜘蛛の彫刻はルイーズ・ブルジョワの作品。実はこの蜘蛛はお腹に卵を抱えており、ひと昔のイメージかもしれないが、カネと欲望の象徴のような六本木という街で見落とされる生という全ての生きとし生けるものの根源を考えさせる。ある種場所と乖離するメッセージを持つ作品を設置することで、作品の持つ意味が増幅されている。また、2021年5月までブルジョワの作品と向かい合うように村上隆の<お花の親子>という作品も設置されている。

<Kin no Kokoro> ジャン=ミッシェル・オトニエル

国立新美術館、森美術館を始めギャラリーが集積し、「アートの街」としてのブランディングが進む六本木。テレビ朝日前の毛利庭園には、繊細なガラス彫刻で知られる、ジャン=ミシェル・オトニエルのハートの彫刻が設置されている。先のルイーズ・ブルジョワに加えて、崔正化や蔡國強、宮島達男の作品やストリートファニチャーとして吉岡徳仁、ジャスパー・モリスンといった名だたるクリエイターの作品が至る所に。&nbsp;

最寄り駅:六本木駅

<Universe of Water Particles on the Living Wall> チーム・ラボ

定期的に入れ替わる吹き抜け部では過去、草間彌生や塩田千春などのインスタレーションが飾られ、楽しみにしている人も多いだろうGINZASIX。実は、館内壁面のいたるところに常設の作品が設置されている。チームラボによるデジタルの滝もその一つ。日本画のモチーフとして多く登場する滝が、デジタルの表現に入れ替わることでその神聖さは失われるのだろうか。ゆっくりと流れる滝の前で思案を巡らせて見てほしい。

最寄り駅:銀座駅

<妙夢>安田侃

東京ミッドタウンのスターバックス前に置かれる、素材の持つイメージを拭ってしまう安田侃の彫刻。本や様々なコンテンツがデジタルやクラウドに置き換わり、モノのリアリティや人間の触覚が近い未来、退化してしまうかもしれないし、その退化はもう時始まっているかも知れない。そんな現代に生きる人にとって改めてモノと向き合い、触れ、感じることは裸足の生活により触覚が優れていると言われる日本人の本来の性質を取り戻してくれるかも知れない。

最寄り駅:六本木駅、乃木坂駅

<キタコレビル> CHIM↑POM

もともと廃墟同然だったが、リノベーションされ、ファッション関連のテナントが集まるビルを、2014年アートコレクティブ・CHIM↑POMがビルのプライベートな空間を、24時間通行可能な道路としてパブリックに解放した。本来、「私」の空間である建物の内部が、「公」のモノとして晒される矛盾と、道の両脇には歌舞伎町振興組合ビルの残骸が運ばれ、スクラップ&ビルドの街・東京を強く印象づける。

キタコレビル: 東京都杉並区高円寺北3-4-11 最寄り駅:

<霧の森> 中谷芙二子

中谷芙二子は、霧という刹那的な素材を持って彫刻を作り出す。ここでは同じ形の幾何学的な小さな緑が規則正しく配置され、その間を人工的に作られた霧が天気、温度、風力によって異なる表情を持って自然と溶け合う幻想的な体験ができる。権力や永続、硬質なイメージを連想させる彫刻とかけ離れた、霧という素材による、生まれては消えていく彫刻を楽しんでほしい。

最寄り駅:西立川駅、立川北駅、立川駅

<明日の神話> 岡本太郎

JR線渋谷駅と京王井の頭線渋谷駅を結ぶ連絡通路に設置された長さ30メートル、高さ5.5メートルの巨大な作品。1954年、アメリカがビキニ環礁で行なった原水爆実験とその被害にあった第五福竜丸が描かれた、岡本太郎の反戦・反核の強いメッセージがこもった作品。もともとはメキシコシティのホテルに掲げられる予定で、それに合わせて右端がかけた完全な長方形ではない形をしており、2011年東日本大震災の際にCHIM↑POMがこの隙間に福島第一原発を連想させる絵を製作し、それをゲリラ的にその隙間にはめ、「付け足し」を行なったことでも知られる。渋谷では他にも、国立総合児童センター「こどもの城」の敷地内で、<子供の樹>という岡本太郎作のモニュメントを見ることができる。

作品詳細

LEVEL7 feat. Myth of Tomorrow / Chim↑Pom










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