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次の掌編小説集の布石

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まだ見ぬ新刊、レッドを作るため、書いてきた新しい掌編小説をまとめます。 わたしの性格上、真実性をもたぬものはあまり響きませぬ。
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#創作大賞2022

掌編小説「お茶とたこ焼き」

掌編小説「お茶とたこ焼き」

 それは月が雲で霞む朧月夜のなか起きた出来事であった。仕事が遅くまでかかり、一人で会社に居残らないとならなかった茂道は電車に乗って最寄駅に着く時間まで大分遅くなった。あと、数時間で眠りにつかなければ翌日の仕事に体調が優れなく仕事の成果に影響するだろう。とはいい、すぐに眠りについたあとに朝を迎えれば、絶えず仕事のために生きているように思えて、この未来が予測できることにやや絶望感さえ抱いていた。そうし

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