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お金よりも大切なもの

 
 私はかつて、日本の公務員は世界最強だと思っていました。

 何が最強かというと、まじめに働いていれば安定した収入を得ることができるので、世界で最もお金に困らない職業だと思っていました。

 たくさんお金を稼ぐことが目的であれば公務員よりも収入を得られる職業はいくらでもあります。

 でも、私のように人とうまくコミュニケーションをとることができず、何をやっても役に立たないダメな人間が家族を養うだけの生活費を稼ぐためには公務員以外にないと思っていました。
 役に立たないとはいっても、まじめにコツコツ事務作業をすることはできるので、なんとかやっていけるだろうと思っていました。
 自分の主張を一切せずにただひたすら言われたことだけをやるのが優れた人間で、公務員には特にそれが求められているという考えがあったので、自分は公務員向きだと思っていました。

 そこで、公務員になろうと決め、いくつもの公務員試験を受けましたが、次々と不合格になり、合格したのが国税専門官の試験でした。
 いくら公務員といっても、国税専門官というのは人と交わることのできない自分には向いてないとは思いましたが、せっかく合格したんだからチャレンジしてみようと思い、国税局に就職しました。

 国税専門官として働いた29年間はただただ苦しいものでした。
 職場の人間関係、パワハラ、納税者からの数々の苦情、満員電車での片道2時間の通勤など、いろんなものに耐えながら働いていました。

 自分はこんな人間だからどんなひどい目にあっても仕方がないし、家族を養うためには我慢するしかないと思っていました。
 定年まで無事に勤めあげる自信はなく、定年が65歳になることが検討され始めた時には、65歳まで働くことを想像しただけで気が遠くなりそうでした。


 そんな自分の意識が変わり始めたのは子供たちの不登校がきっかけでした。
 いい学校をでて、安定した職業に就くことが成功であり、幸せになるということだと思っていましたが、不登校の問題について学んでいく中で、そのことに疑問を抱くようになりました。

 そして、どんなに苦しくても自分を犠牲にしてがんばることが尊いことであるという考えから自分を喜ばせてあげてもいいんだという方向に考え方が変わり始めた時、ある起業家の方と出会いました。

 その起業家の方は、お金を手に入れるために仕事をしているんじゃなくて、誰かを幸せにするため、人を喜ばせるために仕事をしているのだというのです。
 仕事をする目的はお金を手に入れることで、お金が安定的に入ってくる公務員が最強の職業だと思っていた私にはすぐには受け入れられないような話でした。
 労働をし、その労働の対価として収入を得ることが生きるために必要なことで、労働というのは上司の指示命令に従うことであり、仕事で楽をしてはいけないとも思っていました。

 その起業家の方が言うには、公務員であっても将来的には安定して収入が得られる保証はない、起業した方が自分で安定した収入を得るためのビジネスを作ることができるというのです。

 人の言葉をすぐに信じてしまう私は、なるほどそういう考え方もあるのかと思い、公務員をやめることを考え始めました。
 仕事が苦しくてやめたくて仕方がなかったので、それから起業について勉強し始めました。

 子供の頃から自分が「普通」でないことに悩み、生きてるのが嫌で苦しんできた経験を生かすことができれば同じように悩んでいる人たちの力になれるかもしれないと思うようになりました。
 
 そこで、公務員をやめると決意し、「一年後に退職する」と家族に伝えました。
 退職すると決めた直後に「心屋」の存在を知り、心屋のカウンセラー養成講座である心屋塾マスターコースを受講し、心理カウンセラーとなりました。

 
 私は公務員が最も優れた職業だと思っていましたが、それはお金を得ることが全てだと考えていたからです。

 職業に優劣はなく、働くのも働かないのも自由です。

 自分が何をしたいか、自分が輝ける場所はどこなのか、自分の能力を生かせる働き方は何なのか、それを考えることで自分らしい働き方が見えてきます。

 お金のため、生活のために仕事をするよりも、自分の能力を生かして誰かに喜んでもらうことで結果的にお金が入ってくる方が仕事を楽しめるし、お互いに幸福感を得ることができます。

 
 公務員をやめて自由の身になった今は、自分らしい生き方、自分らしい働き方を探しながら、いろんなものにどんどんチャレンジしています。


#私らしいはたらき方

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