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シナリオライターに校正・校閲を受注するのはいかが?

フリーランスのシナリオライターな私ですが、
以前会社にいた時も感じていた問題があります。

それは「誤字・衍字・誤用」などが製品版まで見つからないこと

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何度も自分で読み直したり、
スクリプターさんが発見してくれたりとかするんですが、
それでも漏れが生まれてしまう

ユーザーに届ける商品として、そういった部分が生まれるのは言語道断。
完全に確認しておくべきですがそれには時間と出来る人間が足りない

……いや、他の会社ならどうかは分からないんだけどね。
業界売上が右肩下がりな現状、そこに力を入れることが難しいのです。

お金

でもシナリオがゲームにおいて大きな割合を占める場合、
決して疎かにしてはいけない部分でもありますよね。

だから、これってフリーランスのお仕事になるのでは? と思い、
今日は「校正・校閲を仕事にするには」というテーマで考えてみます。


校正・校閲が仕事として成り立つポイントは3つ。

1.言葉のミスをなくす
2.物語における矛盾の有無
3.ライターの修正内容の確認

それぞれ分けてまとめる……前に。

まずは、校正・校閲が必要な理由について述べていきます。


違和感は、ゲームへの没入感を0にする。

まず、作品において没入感というものは重要ですよね。

没入感とは「他のことが気にならなくなる程に、対象に集中すること」
つまりは時間や食事すら忘れてゲームをしちゃうような状態だ。

ゲームをプレイする

プライムビデオやNetflixが普及した今でも、
映画館の人気が下がらない理由はこの没入感にあります。
(今はコロナで行けないけど)

映画館では強制的に没入感を生み出すことが出来るんだよね。
他のことが気にならなくなるというより、「他のことを排除している」。
だからこそスマホの光や咀嚼音などが邪魔になって度々問題化するけど。


そんな没入感を作り出す要素は無数にある。

シナリオなら物語の展開、キャラクターの台詞、文章の一つひとつ……
言い出したらキリがない程にいっぱいある。

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だから逆に考えてみましょう。

「没入感を消してしまうものは何か」と。

没入感が消えるというのは、他のことが気になってしまうということ。
つまり、集中力がなくなる

そして文章において集中力になくなる要素の一つが、
「言葉のミス」なのです。

パソコンを打つ

誤字や衍字、誤用などで読者が「ん?」と思ってしまうような、
読む上での違和感が没入感を消してしまう

だからこそ、校閲・校正という仕事が必要になるのではないでしょうか。

書類を見て頭を抱える

そもそも校閲・校正とは、
「読者の立場から確認し、間違いや疑問を提示すること」

書いた側の確認では、どうしても気付かない部分があります。
それ以外のディレクターやプロデューサーといった人でも、
事前情報の違いによって気付けない部分があります。

だからこそ「読者の立場」という部分が重要になる

だからこそ外部のフリーシナリオライターが活躍できるのではないか。
私はそう考えています。


言葉のミスをなくせる。

ここからは最初に挙げた3つのポイントを通して、
フリーシナリオライターが校閲・校正を仕事にするには、
何が出来ればいいのかを考えてみます。

まずは「言葉のミスをなくす」ことから。

ノートと鉛筆

言葉のミスとは、以下のようなことを指します。

誤字:文字が間違っていること
 (誤:言葉のシス → 正:言葉のミス)

脱字:文字が抜けていること
 (誤:言葉のス → 正:言葉のミス)

衍字:不要な文字が入っていること
 (誤:言葉のミウス → 正:言葉のミス)

誤用:言葉の使い方を間違えること
 (誤:馬鹿な行動を振り返って失笑する → 正:嘲笑する)
  ※失笑は「笑ってはいけない場で、思わず吹き出してしまうこと」

重複:同じ単語や意味が重なること
 (誤:頭痛が痛い → 正:頭が痛い)

などなど。

こういったミスを確認して、クライアント(または著者)に提示する
それが校閲・校正というものになります。

上司に資料を見せる

読者の目線で一文字ずつしっかりと目を通し、
違和感がないかを確認していく必要があるでしょう。

なので前提として違和感に気付き、
一定の言語知識が求められる
仕事でもあります。


物語における矛盾の有無を知る。

ゲームにおいて、
一人でシナリオを書くという機会は意外と少ないですよね。

メインのライターさんがいて、サブのライターさんがいて。
それぞれが複数いる場合もあって。
(メインとサブの違いは明確ではないが、文量辺りが基準だろうか)

二人でスマホゲーム

そこで全部をまとめるシナリオディレクターが必要になる訳ですが、
ライター兼任とかだとチェックは曖昧になってしまいます。
……あと作ってる側なので気付かないミスも生まれます。

そういった時こそ、外部のフリーシナリオライターの出番です。

ペンギンたち

シナリオを読んで「矛盾がないか」を客観的に考えましょう。

キャラクターの台詞、信念、物語の流れ、時間軸……
様々な要素が複雑に絡み合うものを、しっかりと校閲していく。

例えば、とあるシーンで「歩いて公園に向かう」とあった場合。
また違う所で「バスに乗って公園に向かう」となったら大変です。
バスに乗る理由付けが必要なのか、それとも歩いた時間が長かったのか。

公園のカップル

そういった気付かれるかもしれない矛盾にメスを入れる。
これも仕事として重要でないかと思います。

……ま、できればプロットの段階から確認しておきたいことだけどね。
(企画によってはプロットがエグいくらい曖昧な時もあるのだ)


ライターの修正内容の確認。

修正を出して、修正されたやつを確認する
これって結構大変なんだ。

修正された箇所がどこなのか、修正指示は何だったか、
修正内容は合っているのか、そこから修正すべきか……

こういったことを考えながらやるから、脳の重労働なんです。

頭を抱える

ここも一部を分業できたらいいよね。
と考えたところ、校正の「赤字照合」がこれに近い。

赤字照合とは、
修正前と修正後を比べて読み、直っているかを確認する作業のこと。

無論、大きな修正であればディレクターが考えなければならないが、
小さな修正(一つ目の「言葉のミス」辺り)なら問題ないでしょう。

ディレクターは他の仕事に時間を使った方がいいし、
制作末期とかは外注にしてしまった方がいいんじゃないかと思う。

外で仕事するライター

一応大きな修正についても、修正箇所付近を抜き出し、
それがどう変わったのかをパッと比較できるように資料化
する……
みたいな仕事ならできそうかもね。必要なら。

なお1つ目の会社では何故か制作進行がこの辺りも受け持ってた。
地獄のように忙しくて辞める人も多かったけど。
(新しい人雇って教育する時間の方がもったいないアレ)


校閲・校正は、ライター陣の実力底上げに繋がる。

とまあ、ここまで3つのポイントで考えてみました。

作品の没入感を維持するためにもこういった業務を外注することは、
企業もライターもWin-Winではないでしょうか。

ガッツポーズ

これらを分業するのは単純に仕事の効率化という面もあるけれど、
それ以上に未来への布石になると思うんですよね。

人のシナリオを読んで、間違いを見つけていく。
この行動は非常に勉強になり、ライターの実力を底上げできます。

そして企業としては作品の質も上げられるし、
ライターとの縁を繋ぐことも、どういった仕事をするのかも理解できる。

そしたら「次の作品ではこの人を起用してみよう」という、
判断基準にもなるのではないでしょうか。

ノートパソコンを打つ2

……まあ最初に「校閲・校正ができる人間か」という判断も必要だけどね。

手始めに小さな仕事から振ってみて、良さそうなら次も。
みたいな感じなら出来るんじゃないかなと思います。

フリーシナリオライターさんもぜひ、
「校閲・校正もこんな風に出来ます!」
というアピールをしてみたらいかがでしょうか。

そもそも企業がそれを需要としてくれるかは分からないけど。


こんな文化ができれば嬉しいな、という所で今日はここまで。
(会社によっては既にあるかもしれないが)

では、また次回お会いしましょう。


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