見出し画像

論理を壊し、感情を生み出せ。

「キャラクターに感情がない」

これまで何度かそう言われたことがある。
色々と教えてはもらうものの、ずっと腑に落ちなかった。

でも考えに考えて……ある日、ようやく理解したのは。

「感情」と「論理」の明確な違いでした。

キャラクターへ感情を生み出すには、
その逆に存在する論理と感情について深く知る必要があったのです。

という訳で今日はキャラクターを生かす為に必要な、
論理を用いて感情を書く方法のお話。

仕事をしていく上で学んだ経験なので、いつも以上に役立つ……かも?

※他の分野(脳科学や心理学など)はそこまで詳しくないので、
あくまでもシナリオ面での論理と感情になります。
ご了承ください。


論理と感情の違いを知る。

論理(ロジック)とは、思考を進める上での道筋

つまりは筋の通った考え方
数式で言えば「1+2+3は6です!」という感じ。

感情(エモーション)とは、無意識的に行われる思考や行動

こちらは刺激に対する反応となっています。
こっちだと数式などなく、
パッと思いついて「あっ、6です!」となるような感じです。

これらが論理と感情の簡単な説明になります。


そんな論理と感情の違いとは何なのか。

感情にも筋道、つまり理由はあります。

「人に怒られたから、悲しい」
「街を歩いていると、気分が良くなった」
「ストレスが溜まって、作業が手につかない」

こんな感じでね。
なので論理と感情が全くの別物……という訳ではありません。

その中で明確な違いを考えるとなると、
「精神」が関わってくるのだと思います。

つまりは人間の「心」という要素に、結果が左右されるか否か

それが論理と感情の違いなのだと私は考えました。


分かりやすく、数学の文章題で考えてみましょう。
例えばこんな問題があったとして……

たけしくんはリンゴを5つもらいました。
なので友達を3人呼んで、分けることにしました。
あまりはいくつになるでしょうか?

これを論理で考えると、

たけしくん+友達3人=4人
りんご5つ ÷ 4人=1つずつ……「あまり1つ」

こうなりますよね。
でもこれを感情で考えると、

たけしくん「りんご好きなんだよなあ……」
りんご5つ ÷ 4人=1つずつ……あまりは無し
1つは隠れて食べる

こうなる。
いいじゃないか、たけしくんだって人間なんだ。
所有権は彼にあるのだから、友達は貰えるだけありがたいと思え!

と、心を含めて考えるとこんな感じになるんだよね。
筋道は通っているけど、結局は心の動きで結果が変わってしまう。

それこそが、論理と感情の違いになります。


キャラクターの感情を描くには。

違いを知ったら、次は実用の方法を考えていきましょう。

本題である「キャラクターの感情」の書き方

これを簡単に言っちゃうと、
「論理の上で、論理を崩すこと」になります。

単純に論理じゃないものが感情じゃ駄目なの?
と思われるかもしれませんが……

論理崩しちゃったらユーザーが納得できないんですよね。

感情も納得を引き出せなければ、何の意味もありません
なので論理の提示というものは必須要素になります。

しかし論理だけだと感情とは掛け離れてしまう
そこで重要になってくるのが、
「論理の上で、論理を崩すこと」が重要になってきます。

これを分かりやすくパターンにすると……

「論理の提示 → 感情による否定」になります。

じゃ、もっと理解できるようにように、
実例を出して考えてみましょう。


参考にするのは「鬼滅の刃、第1話」

ここから試し読みができるので、
読んだことない人はちょろっと見てみてください。
https://www.shonenjump.com/j/rensai/kimetsu.html

よし、では20〜21ページを開いて!

主人公である竈門炭治郎が、
怪我を負った妹の禰豆子を背負って雪山を進むシーン。
ここが分かりやすい。

文章を羅列してみると……


禰豆子だけまだ体にぬくもりがある。
医者に診せれば助かるかもしれない。


なんでこんなことになったんだ。
熊か? 冬眠できなかった熊が出たのか?


息が苦しい。
凍てついた空気で肺が痛い。


前に進め。
もっと速く足を動かせ。


まだまだ町まで距離があるんだぞ。


死なせないからな。


絶対助ける。
兄ちゃんが助けてやる。

炭治郎の感情が分かりやすく伝わってきているかなと思います。

その理由は番号ごとに論理と感情が分けられていて、
「論理の提示→感情による否定」が2回行われているから。

① 現状に関する「論理」
禰豆子だけまだ体にぬくもりがある。
医者に診せれば助かるかもしれない。

② 過去に関する「論理」
なんでこんなことになったんだ。
熊か? 冬眠できなかった熊が出たのか?

③ 自身や環境に関する「論理」
息が苦しい。
凍てついた空気で肺が痛い。

④ 3に対して否定・反対をする「感情」
前に進め。
もっと速く足を動かせ。

⑤ 現状に関する「論理」
  =つまりは間に合わないかもしれない
まだまだ町まで距離があるんだぞ。

⑥ 5に対して否定・反対をする「感情」
死なせないからな。

⑦ ここまでの論理全てに対しての「感情」
絶対助ける。
兄ちゃんが助けてやる。

こうすれば分かりやすいかな?

当たり前だと思える論理を積み立ててから、
でも、それでも……と心で反論をする。

これこそが「キャラクターの感情」の書き方です。


しかし最近では論理を組み立てる時点で、
ユーザーが読む、見るのをやめることも多いですよね。

なので重要なのは、

説明的にならないように論理を組み立てること

言葉で「これがこうなので……」と書かずに、
キャラクターの行動や出来事を通して論理を提示していく。

その論理を提示する部分も、楽しめるように工夫していく。

そうやってユーザーのことを考えながら、
論理と感情を描いていくこと
が大事かなと思います。


という所で、今日はここまで。

皆さんの描くキャラクターがもっと生き生きと、
あなたの世界で感情を出せることを応援しております。

小説、シナリオで何か悩んでいることがあれば、
お気軽にコメントください。
分かることであれば記事にしてお返しいたしますので!

参考になったらフォローやスキをお願いします。

では、また次回お会いしましょう。


もしも記事が参考になったら、スキやフォローよろしくね! 気が向いた時はサポートで支援していただけると嬉しいです。