日記形式の物語が面白い理由。
物語には色んな視点がある。
主観で描かれたり、
神様の視点(第三者視点)や多数の視点を使った群像劇など。
その中でも今日は、「日記形式」の物語が面白いというお話をいたします。
私が面白いと思った作品を交えつつ、
一体何が面白いのか、その長所短所も交えて考えていきましょう!
想像力があればあるほど楽しめる日記小説。
日記形式の物語とは、
キャラクターが書いた日記を読むように物語が進む視点で進む作品のこと。
一つ参考作品を出した方が分かりやすいかな?
ということで、こちらをどうぞ。
小説家になろうの作品です。
魔系学生の日記 著者:ひょうたんふくろう
https://ncode.syosetu.com/n4706cp/
こんな感じのが、日記だけで構成された物語になります。
書いてあることは主観的なものですが、
実際の視点としては日記を読んでいるあなた自身の視点とも言えるよね。
人の日記を盗み見るような、作品としては非常に珍しい形なのですが……
しかし意外に引き込まれるし、
何より想像力が豊かな人との相性が抜群なんですよ!
何故なら日記である故に「情景描写がほとんどない」から。
その代わり、全てが台詞風の地の文になっているんですよね。
あくまでも主人公が今日あったことを主観的に書いたものなので。
これは小説という面では欠点とも言えて、
情報が少ないからこそ普通よりも想像力が必要になる。
だけど逆に考えれば、
想像力の強い人にとっては無限の可能性を秘めてるんだ。
(妄想好きな自分としては超面白い)
日記の利点は、読みやすさにある。
さっきも説明した情景描写がほとんどないことによって生み出される、
最大の利点があります。
それは「スラスラと読めること」です。
例えば「テーブルを買ったこと」を書くとしましょう。
そのままだと小説としては微妙なので、
「なぜ買ったのか」「どんなテーブルなのか」「どこで買ったのか……」
といった理由付けや物の描写を足していかなければなりません。
しかしこれを日記にすると……
「テーブルを買った。実際に使ったらいいサイズだった」
くらいの内容で終わると思います。
出来事に対する文量が死ぬほど少ないので、スラスラ読めるんよ。
「でも、理由付けがないとユーザーは納得しないでしょ?」
と思いますよね。
でも大丈夫、だってそこに書いてある出来事は全て終わったことだから。
通常の小説ではリアルタイムに物語が進行します。
時間軸の前後はあったとしても、
そこで描かれているのは何が起こるか分からない今の出来事。
ユーザーも同じリアルタイムで見ていくから、
行動に対する理由付けがないと付いて行けなくなる。
しかし日記って出来事の後や1日の終わりに書くよね。
その性質上、ほとんどの出来事が過去のものとして語られるんだ。
これが納得に繋がると私は考えています。
既に行動があって結果が出ているのだから、納得せざるを得ないのだと。
あと日記って嘘を吐く必要が基本的にないので、
キャラクターの本音を見られるから納得しやすいのかも。
まあどれもユーザーが望む結果でないと難しいかもとは思うけどね。
そんな理由もあって日記形式の小説はスラスラと読めるし、納得もできる。
そこが最大の利点だと言ったのは、現代の文化に合っているから。
通勤通学を始めとした空き時間にスマホで気軽にちょろっと読む、
それがネット小説の文化の神髄だもんね。
そのニーズにバッチリ嵌まっているんじゃないか、と私は思います。
日記の欠点は、主人公以外のことが分からない。
日記形式では、主人公以外の情報がほとんど出せません。
他キャラクターの台詞なんて出せても一言二言で、
主人公が思い出しながら書くので本当に一字一句同じ言葉かも分からぬ。
情景描写も少なくなってしまうため、
他のキャラクターが何を考えているのかが伝わりにくいんです。
つまり端的に言えば、
「主人公以外のキャラを好きになる理由が作りづらい」
ということ。
しかしこの欠点を補っている小説は幾つもあります。
今日の記事は好きな2作品を紹介して終わりかな。
早速、1つ目はこちら。
一世を風靡したアニメ「ガールズ&パンツァー」の二次創作。
TS転生者がキャラクターたちの百合を見たがるが、
大体自分のせいでカップリングを壊れて、ヒロインに好かれていく話。
……なんか俺の紹介する小説、TS(性転換)ばっかだな。
自分でも書いてるし仕方ないか。
この作品では日記形式と通常の小説形式を使うことで、
主人公以外のキャラクターの魅力を出しています。
ハイブリッドだね。
これってネット小説の強みだと思うんだけど、
1話ごとにページをまたぐからこそ、
シーンごとの区切りがハッキリしてるんよね。
だから1話目で日記形式、
2話目で通常形式みたいなのが割と違和感なく可能なのです。
(別キャラクターに視点を変更するのも本より楽になります)
それに日記の時にあったことを、
通常形式でまた描くと……伏線回収にもなる。
こうしたハイブリッドならキャラクターもしっかり出せるし、
良いとこ取りができるね!
そして2つ目はこちら。
オリジナル(一次創作)で異世界の勇者が旅する話です。
こちらの作品にあるのは先ほどとは違い、日記形式の話だけ。
しかし複数視点の日記を見せることで、
ヒロインの良さがしっかりと描かれているんです。
つまりは主人公視点の日記を読んだ後に、
次はヒロイン視点での日記を読めるんですよ。
情報の捕捉と伏線回収だけでなく、
お互いの勘違いが分かったり、
何よりヒロインたちの考えや思いを知ることで彼女たちを好きになれる。
この作品も1話1話が短時間で軽く楽しめるので、
ぜひ一度読んでみてください。
これらのように欠点を補うことができれば、
日記形式の物語は現代に適した一つのスタイルとなるでしょう。
更に以前語ったハーメルン(小説投稿サイト)の機能を使えば、
スマホで気軽にいっぱい楽しめる物語が作れます。
ぜひ皆さんも創作活動に一度挑戦してみてください!
というか、うちも書いてみよう……面白そうだ。
というわけで今日は日記形式の物語についてでした。
また次回お会いしましょう。
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