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花屋の1人あたりの労働生産性は?花屋業界について調べてみた_その1

ども、株式会社スマレジの新垣(あらかき)です。
「芋」が大好きです。娘から「芋兄ちゃん」と呼ばれています。

さて、
花屋業界について調べてみました。
今回はTKC経営指標「BAST」の数値でおよそ把握を試みました。

→5,000文字を超えてしまったので「この記事」と「その2」に分けました。

調べて解ったこと

  • 花屋は他の業界よりも従業員一人当たりの売上高が「低い」

  • 労働生産性(一人当たりの粗利益)だと八百屋よりは「高い」

  • 仕入れコストが上がっているっぽい

  • 人件費が上がってるっぽい

調べて「考察・仮説立て」したこと

  • スタッフにデザイン技術が高い人材や「フラワーデザイナー」が何名いるかによって売上に差が出そう

  • 仕入れた花をアレンジメントすることで高単価商品を生み出す、ある意味「製造小売業」に近いのではないか

  • 廃棄率が利益率に直結する、つまり商品管理、在庫管理が重要

  • 忙しすぎて、リピーターを増やすなどの施策に手を出せてないのではないか(企画する暇もないくらい業務過多)

  • シフト管理や給与計算などの勤怠管理をシステムで効率化することで、店長の働きやすさを作ることができるのではないか

  • 人材育成、定着が課題ではないか

  • 省力化、合理化しないと花屋さんの経営は向上しないのではないか

  • ビジネスユースで常連をもつことで売上を伸ばしたい


花屋業界の問題

・少子高齢化で、
生産者が減少
消費者が減少
働き手が減少
これらについては、どの業界にもいえることですね。

・特に人材
最近ではどの業界でも採用が難しく、さらには定着も難しい。

「働きやすさ」をつくるのも経営者の役割であることは今も昔も変わりません。現代では、ITやSaasで業務を効率化し、従業員のストレスを減らすことで「働きやすさ」を生み出すことも可能でしょう。

花屋業界は他の業界と比べて採用が特に難しいだろうと思います。
まず、花好きじゃないと応募してこないと思いますので分母が少ない。食べるのが好きなので飲食店に応募という方と比べるとまず分母が少ない気がします。

さらにいうと、花屋の店員は技術職に近い。
スワッグを作ったりアレンジメントフラワーやドライフラワーブーケを作ったりする技術が必要。フラワーデザイナーという職種もあるようで、店舗に優れたデザイナーがいるかいないかで労働生産性(粗利益)に差が出そうです。

花屋の経営者にとっても人材採用と定着が課題であることは想像に難しくありません。もしくは、少ない人材でも利益が出るよう業務効率化することですね。いずれにせよ、人口減少時代は人材面で課題が多そうです。


花屋、コロナの影響はどうだった?

コロナ流行期、まず来店者数が減りました。卒業式や入学式など学校のイベントや、婚礼、宴会、葬儀などの規模が縮小したことも売上減少に影響したようです。

一方、

ステイホームの流れから、自宅用に花を買う人が増えたそうです。普段あまり花を買わない私でも何度か買いましたからね。

自宅用ですからあまり高価な花は買いません。スーパーやホームセンターなどの量販店でサクッと変える安価な花の需要が伸びてたようです。
※参考:矢野経済研究所 フラワー&グリーンビジネス市場に関する調査(2020年)

2022年11月現在。
アフターコロナに入ってきてますから、来店者数が戻り、売上も回復傾向ではないでしょうか。
と思いつつも…
売り上げの回復具合は「地域」「立地」「店の特徴」「オンライン販売やってるか」「ビジネスユースを取り込めてるか」「フラワーデザイナーはいるか」などによるかもしれませんね。


花屋の一人当たりの売上高、労働生産性は?

TKC BASTをもとに、他の業界と比べてみました。
※2021年9月1日~2022年4月31日に決算を迎えた黒字企業のデータをもとに、推移や平均値を求めることで比較しました。

TKC経営指標(BAST)は、TKC会員(税理士・会計士)の関与先企業の経営成績と財政状態を分析したものです。

詳細はこちら→ TKC経営指標(BAST)とは

・従業員一人当たり売上高

  1. 花・植木小売業 9.759千円

  2. 食肉小売業   16,618千円

  3. 鮮魚小売業   16.375千円

  4. 野菜小売業   10.226千円

単位:千円

同じ農林水産系の食肉、鮮魚、野菜と比較して「花屋」が最も「一人当たりの売上高」が少ないという結果がでました。

食べる系消費である肉、魚、野菜とは異なり「花は嗜好系消費」であることから売上規模にも影響しているのでしょう。

労働生産性も比べてみます。

・従業員一人当たり粗利益(労働生産性)

  1. 花・植木小売業 4,949千円

  2. 食肉小売業   6,386千円

  3. 鮮魚小売業   6,307千円

  4. 野菜小売業   3,407千円

単位:千円

労働生産性で比べると「野菜小売業(八百屋)」よりは高い結果になりました。おそらくこれは間違いないでしょう。

というのも「八百屋」は仕入れた野菜をそのまま売るのであまり付加価値をつけれないため粗利益が低い

「花屋」は仕入れた花をスワッグやフラワーアレンジメントなどに加工することで付加価値をつけることができます。つまり、そのまま売るより高単価で販売が可能となり粗利益を上げることができるのです。カーネーションをそのままうるよりも、母の日ギフトアレンジメントとして販売するほうが粗利益が取れる。

野菜はそもそも単価が低いため一つ一つの粗利益率も低い。
花はというと、アレンジメント次第で高単価で粗利もしっかりとれる商品もある
でしょう。11月に入り店頭に並ぶようになったクリスマスリースなどは単価が高く、粗利益をとれる商品かもですね。
「八百屋」より「花屋」のほうが生産性が高い。想像に難しくありませんが、逆説的に言うと「アレンジメント」や「フラワーデザイン」という「技術」を持っているスタッフの数によって、生産性に差が出そうです。

花束や鉢植え、クリスマスリースなどで粗利は出せても、店頭小売りだけだと、これ以上トップラインを上げることは困難かもしれません。

例えば「ガーデンづくりコンサルタント」や「ブリザードフラワー教室」「ビジネスユースで高単価商品」を販売するとか「オフィス向けの月額サービス」などの新サービスに着手することで売上を伸ばしている花屋もありそうです。

長くなりましたので、続きは「その2」

ではまた。

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